実験開始
「これから実際に作る実験をしますが……」
「ぜひ見させてください」
食い気味に佐藤が博士へと答えた。
佐藤なら絶対にそう答えると、なぜか俺には確信があった。
それにここまでわざわざ来たんだ。
一つや二つ、実際のところを目にしてみたいという思いが、俺にもある。
「金属類は身につけてますか?」
「ずいぶん昔に着けた歯の詰め物が確か金属ですね」
「……まあ、それぐらいなら実験に影響はないと思います」
言いながら、それでも念のため、と大きな計器盤のところから離れないように、と博士は伝えた。
そして向こう側にいる誰かと連絡を取るため、計器盤についている大きなラッパのようなものに声をかける。
「実験番号、0081ハイフン0004開始。以後、マニュアルに従い会話を停止する。引き続き、マニュアルに従って行動せよ」
了解、という声も聞こえてこないが、この発言で十分ということなのだろう。
俺が知る中で、この部屋の中で唯一の金属製品の前で、博士はまるで指揮者のように、それぞれの装置を操り、最後に思い切りスイッチを押し込んだ。




