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郊外実験施設
空港から車で1時間かからないところ。だいたい3分の2は南へ、そこからは西へと向かって走ったところにあった。
いままでどこまでも広がる農村という雰囲気をしていたが、急に現代的な、まるで空港のようなフェンスに囲まれた巨大な土地が現れた。
車を運転してもらっている間にも、彼がテック・カバナー財閥顧問であり、量子分野の専門家として顧問に名をつらているカイツ・テイカーという名前だということも教えてもらった。
「ここが……」
「ええ、テック・カバナー財閥がもつ研究所の一つです。量子情報研究所といいます。副総帥からは、お二人には自由にすべての機器を扱っても構わないという許可をいただいておりますので、到着後すぐにでも使用することができるように手配しています」
車が研究所の正門に入るとすぐに警備員が3名で車を止める。
名札と名前を運転席側にやってきた警備員に伝えるとすぐに車止めは解除されて、車は中に入ることができた。