25/30
簡潔に
それぞれの挨拶も、定型文で終え、あっという間に実質的な内容へと入る。
「連絡はすでにいただいております」
副総裁は淡々と要件を話し始める。
こちらからの話は、確かにすでに伝わっているようだ。
「それで、お貸しいただけるのでしょうか」
「もちろんです、このような世界的な危機を目の前にして、動かないわけにいかないでしょう。当然、成功した暁には、その技術について詳しく教えていただくこととなるでしょうが」
交換条件、といったところだろう。
このあたりについては今は飲むしかないとは思う。
「緊急事態ですので、そのあたりの話はまたあとで話し合いましょう。もしも失敗したときの場合は、どうなるのか。それについてはすでにご存じでしょう」
前側氏は堂々として副総裁へと発言をした。
それをもってこの話は一度終わり、引き続いて量子情報のための装置の貸し借りの話へと続いた。