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量子
「見に行けないのは重々承知。しかしこれらを止めなければ、我々は遠からず将来にじかに目にすることができるようになってしまう。どうお考えなのか」
質問に対して、佐藤が答える。
「量子テレポーテーション、というのはご存じでしょう。遠く離れた量子同士であっても、手元のものともつれ状態であれば、手元の状態が確定すれば、遠く離れた量子の状態も確定できます」
「ええ、それは知ってます。それがどうかしたのですか」
「量子であれば確定できるのです。これを拡大し、マクロの状態でもできるようにします」
瞬間、佐藤の提案に対して否定的な意見を口々に叫び始めた。