DAY9(日)10月8日
今日も休日ということで、外に出向いた。中学生が行きそうな場所を考えながら歩いていたら、見たことのある少年を見つけたので近づくと、ハジメ少年だった。
その時のことがワンダーエッグの音声データが残っていたから書き出しておく。
「少年、久々だな。」
「お前はハラ!奇遇だな!」
ハジメ少年はこちらを見て、スマホをしまいながらそう言葉をかけてきた。
「その後、ワンダーエッグは順調か?」
「とりあえず温めてはいるけれど……。なぁ、どれくらいの温度で温めればいいんだ?」
不安そうなハジメ少年に、最適な温度は教えない。
「温め方は模索してみてくれ。それと、渡したいものがあって探していたんだ。」
「渡したいもの?」
私は発信機を取り出して相手に見せる。
「これは主従の首輪だ。これで自分のワンダーエッグだということを相手に示すことができる、つけておくといい。」
この少年に渡すための発信機を持ち歩いていてよかった。その発信機を渡すと、少年はニコニコとしながら受け取った。
「これで自分のワンダーエッグということを示せるんだな!」
「ちなみに、私が勝手にそう呼んでいるだけだが。変化した形のことをシャドーと言っているよ。」
「しゃどー……。」
「気に食わなかったらほかの呼び方でもいいぞ。」
少年が下を向いたまま何も言わない、しばらく見ていることにした。
「か……。」
「か?」
「かっこいいー!」
「そ、そうか。」
ハジメの反応を見た限り良い反応だったのが印象的だった。子供向けの名前にしてよかった。
「おれのシャドーを生み出せばいいんだな!?」
「まぁ、そうなるね。」
少年はガッツポーズをしながら何やらニマニマしている。
「アッこのことは秘密にしたほうがいいか!?」
それに少し考える。まだ被験体の情報が不足しているため、あまり増やしてもよいことはないかもしれないが、これからのことを考えると話を広めたほうがいいのかもしれない。
そう思考を巡らせていたら、少年が勝手に訳知り顔になった。
「わかってるよハラ、これは極秘なものなんだろ?」
「へっ?」
「だから、ほかの人には言わないでおくな!」
「あぁ、はい。」
色々な人に配っているとは言えなかった。
その後、少年と別れ、帰宅。ハジメ少年が発信機をワンダーエッグにつけたことを確認してから、卵に訓練を施し、この日は寝た。