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DAY56その2

そんなこんなでお昼ご飯、適当に買い置きをしていたカップラーメンを食べながら、卵たちにご飯をあげる。


時間も午後で、パソコンを見ていたせいで目が痛い。


所有個体皆がお箸の使い方が上達したようで、教えなくてもよくなったというのが、目に見えての成長である。持ち方についてはまだ指導の余地があるが、素手で食べることはなくなった。


食後に食洗器を動かしてから、卵たちそれぞれに命令して訓練を施し、段取りを適当に紙に書き出していたらインターフォンが鳴った。


出てみたら、頭の上にスライムを乗せたヨリカだった。


その時の様子が懐にいた五号に入っていたから書く。


「おや、こんな時間帯にどうかしたのかい?」


私がそう尋ねると、ヨリカは困った顔をした。


「私のアクア、ここ最近ちょーしわるそーで、すこぉ~し、見てもらえませんか?」


ヨリカの言葉にスライムを見ると、頭の上に乗っているスライムのアクアは少し濁っている。黒い目が

こちらを見ているが、どことなく元気がないように見えた。


「そうだね、外にいるのもなんだし、家にあがりな。」


そういってヨリカを家に上げると、うちのやつらが興味を持ったのかこちらを見て来る、見られたまま廊下を歩きリビングに連れて行って、連れてこられたワンダーエッグのことを、診断するために見てみる。


濁り方は黒いように見受けられ、元々透き通っていたはずのワンダーエッグは、随分と濁り灰色がかっていたが、私の脳裏にある知識には、不定型は口がないため、色々なところから食べ物を吸収することがあるということが浮かんでいた。


「二三質問していいかな?」


思い当たるところがあったから聞く。


「うん、なに?」


頷くヨリカに質問をする。


「筆箱の中に、幼体の状態でずっと入れてたりした?」


尋ねられた彼女はそれに、黙ってうなずく。


「筆箱は中がごちゃごちゃしてる?」


相手はそれに対しても、頷いてみせた。


「……消しカスとか、シャーペンや鉛筆で筆箱の中黒くなってない?」


それにも頷いた。


「……うん、理由わかったわ。」


私は頭を抱えた。


「なに?わかったん?」


心配そうな顔のヨリカの目を見る。


「君のアクアは、消しカスとか黒鉛とかの、言ってしまえば鉛筆の芯や消しゴムを沢山食べちゃって、消化不良を起こしているね。」


確かに、それら食物でないものも食べるが、相性がある、不定形は節操なしに食べる個体がいるが、本当に食べられるか、つまり消化吸収するかはまた別問題なのだ。


「そう……なんだ。」


ワンダーエッグに心配そうな顔をするヨリカ、そんなヨリカを安心させるために私は、二階から持ち運びができる機材を持ってくる。


持ってきたのは、卵のメンテナンスを行うための機材で、卵が消化不良を起こした際に使うものだ。


つまり、デトックス用の容器を持ってきた。


「この中に、卵に戻してから入れてくれるか?」


説明を何も言わずにそういうと、ヨリカは何の疑いもなく卵に戻してから、円筒状の容器の中に卵を入れる。


それに特殊な液体を入れてから蓋をし、電源を入れる、するとデトックス用の機械が動き出し、モーター音と共に細かな振動をしながら、機械が作動し始める。


「ハラさん、これなに?」


もっともな質問だ、それに簡単に答えると、ヨリカは「ふーん」と言って、そのまま作動中のそれを見ていた。


「大体30分ほどで終わるから、それまでどうする?」


ヨリカは少し考えてから、持ってきていた通学カバンを開けて、筆箱を取り出し、その中を綺麗にし始めた。


ゴミ箱をそばに置いて、明日のための資料をその場でノートパソコンを開き確認する。


30分はあっという間で、すぐに機械は止まった。


中を確認する、そこには濁った液体に沈んだワンダーエッグがあった。


機材と一緒に持ってきていたトングで取り出して、適当にタオルでふく、それをヨリカに渡した。


「変身させてみてくれないか?」


ヨリカが変身させると、ワンダーエッグは元の透明な姿を取り戻していた。


「アクア!よかったー、透明になって!」


まず心配するところそこ?とは思ったが、喜んでくれてよかった。


「さて、試しに食事をさせてみるか?」


「うん!」


大きく頷いたヨリカにいつもは何をあげているか聞いてみる、そうしたら、色々なものをあげているという話だった、肉、魚、野菜、毒草まであげているとのこと。


ちなみにどうして毒草を与えているということが分かったかというと、ユリやスズラン、ヒガンバナなども食べるかどうか試してみたらしい。


毒タイプのワンダーエッグになったらどうするんだとは思ったが、今回のデトックスでどれほど、そのような不純物が取り除かれたかが気になった。


とりあえず、普通にキャベツや小松菜、ニンジンや残っていた焼いたひき肉を与えてみると、全てをすんなりと消化していた。


「食べたぁ!よかったぁ〜。」


「安心しているところ悪いが、アクアの事どうやって育てているんだ?」


明日が講習会だが、今聞いてしまってもいいだろう、そう思って尋ねる。


「たまごの状態よりもスライムの方が融通が利くから、スライムの状態にしているほうが多いかなぁ?」


それに、どう答えたか悩む。


「それだと、ワンダーエッグに負荷がかかると思うんだよね、何せ、アクアみたいな不定型は体全体が口みたいなものだから、なんでも吸収しちゃうんだよ。」


それに、「へぇ~、そーなんだ~。」と、なんとも聞いているかいないのか微妙な反応を返される。


「だから、全てを吸収しないようにずっとスライム型にしておくんじゃなくって、卵型にしておいた方がいいんじゃないかなぁ。」


「えー!スライムの方がかわいいのに!」


そう言われて、とりあえず頷く。


「そうだね、だけど、卵型は休眠状態でもあるんだよ、ヨリカだってずっと起きているのは辛いでしょ?」


それに、納得したような顔をするヨリカ。


「別にずっと起こしておいてもいいけど、食事の量が多くならなかったか?」


聞くと、何か考えるそぶりを見せた後に頷いた。


「どこにそんなに入るのかってくらいに食べ物を吸収してたよ~。」


それに対して、これもモデルケースの一つだと自分に言い聞かせる。


「まぁ、仲良くやっているならよかったよ、それじゃ、これからどうする?」


それに、ヨリカは少し考えた後にこちらを見る。


「少し話したい気ぃする〜。」


「そっか、それならそれでもいいけど、一時間以内でお願いね。」


「やっりぃ~。」


そのあとは暫く話し込み、今日は学校がまだあったんじゃないかと聞いたら、アクアが心配で早退してきたという、驚きの情報が出てきた。


「それはさすがにまずいんじゃないか?」


「別にどうってことないよ~、だって、だれもうちの事見てないもん。」


「そういうものか?」


「もーまんたい!」


「そうか。」


そんな感じに話していたら、一時間が立ち、トモミが帰ってくる時間帯になった。


「さて、そろそろ同居人が帰ってくるから、ご帰宅願えないかな?」


「あーい。」


素直に言うことを聞いたヨリカは立ち上がり、荷物と卵に戻したドリームエッグを持ち、玄関へと歩いていった。


「それじゃ、ハラさんあんがと!」


そういって外に行こうとするヨリカに、明日のワンダーエッグの講習会に来るようにと言ったら、「あーい。」とだけ言って出て行った。


「はぁー、少し疲れたな。」


そう言って自室に戻る、ベッドに寝転んで疲れた目を癒やそうと閉じたら、いつのまにかに寝てしまったらしい、目が覚めたら暗くなっていた。


一階に降りるとトモミが料理をしており、それをリオンとテリクスが手伝っていた。


「あぁ、すまない、寝ていたよ。」


「ハラさんただいま。」


頭をかきかき言うと、トモミからそう言われたため、「おかえりトモミ。」と返しておく。


「今日はレシピを見ながら生姜焼き作ってました。」


ニコニコ顔で言われて、思わず微笑んでしまう。


「トモミのご飯はおいしいからな、楽しみだよ。」


「ありがとうございます。」


そんな会話をした後に、思い出したかのように私は機材を片付けるためにリビングへ行く。


「ところで、その機材ってなんだか聞いていいですか?」


トモミに聞かれたため、適当に答えておく。


「これはデトックス用の機材でね、ヨリカからヘルプが来たからヨリカのワンダーエッグに使うために持ってきたんだよ。」


中に入っているものの液体をろ過したり、浄化したりするために持ち上げる、部屋に持ち帰ろうとすると、不思議とトモミのほうからの音が止まったため、なんだろうと思って振り返ってみると、トモミがこちらを見ていた。


「でとっくすようの機材、ってことは、その子に何かあったんですか?」


心配そうなその眼に、にっこりと笑いかける。


「なんてことはない、食べ物じゃないものを食べすぎて消化不良を起こしただけだよ。」


そう言って、機材を部屋に戻すために扉を開け、階段を上がり二階に持っていく、その間トモミはソワソワとしていたみたいだが、気にしないことにした。


その後はトモミの料理を食べて、風呂にも入り、明日の用意も終わり、寝るだけとなった。


疲れたため、なんとなくぬくもりが欲しくなる、どうしようか考えた結果、なんとなく人形を抱きたくなった。


結果、ツヴァイと三号を侍らせて寝ることにした。


別に、人型に添い寝をさせてもらってもよかったが、ベッドの大きさ的に窮屈になるのはあまり好ましくない、その点、猫の二匹は丁度良かった。


そんな感じに寝てみたが、寝づらくてすぐに起きることになったのだった。


猫に股の間と首の上に陣取られるのは辛い事を知った。

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