DAY45(月)11月13日
DAY45(月)11月13日
平日なためトモミは学校へ行った、トモミは成長期ということでよく食べるが今までの食事だと足りないだろうということに思い至り食材の買い出しに出かける、今日は会員制大型業務スーパーで買い出しを行ない家に帰った。
帰った後に連絡を確認するとChildから返信があり、報酬金額の引き上げ請求が書かれていた、どうやら詳細情報を得るとなったら一つにつき10万は欲しいそうで、そうでなければ情報は簡単なものになるとのこと、そんなにお金を組織から支給されていないため自分が欲しい情報を据え置きで敵対組織の情報、ワンダーエッグの詳細情報、ドリームエッグの詳細情報についてそれぞれに10万を出すことにして、その旨を組織に相談するとすぐに返答が来て、緊急インターネット会議を開くことになった。
そしてそこで語られたことをざっくりまとめると、敵対組織の詳細情報だけ10万を出して、ワンダーエッグ及びドリームエッグの詳細情報は5万ずつ出すという事で話がまとまり、その旨をまとめたものをChildに伝えた、その際にワンダーエッグとドリームエッグの詳細情報を概要だけざっくりと教えてくれという指定をさせてもらうことにした。
そんなこんなで午後となり、外でも散歩するかという風にした時間がちょうど子供たちの放課後と重なるように合わせた上で外に出る、そして子供たちから挨拶をされながら適当に歩いていたらドリームエッグを渡した女児三人組と、そこからかなり離れて歩く名前を確かトウカと言うはずの子を見つけた。
なぜトウカだということに気が付かなかったかというと、はるか後ろからこちらを見てはいるが、普段とは違い体操服を着ていたり、顔を下に向けてこちらを見ないようにしているように見えたからだ。
五号に記録をつけさせていたからそれを書き出す。
「アカリ、ユメカ、シオリ、おかえりなさい。」
「ハラさん、ただいまー!」
「ただいまー」「ハラおばさん久しぶり!」
そんな感じに三人が話すのを、遠くでトウカが聞いている。
「ところで、トウカちゃんは?なんで離れて歩いているの?」
不思議に思って問いかけると、二人がくすくすと笑い始めるがシオリは逆になんとなくバツが悪そうな顔をし始める。
不思議に思っていたら、アカリがニヤニヤと目を吊り上げながら楽しそうに説明してくれた。
「ケンザキね、あの子、私たちと違ってドリームエッグを拒否したでしょ?
だから、私たちと同じように選ばれたことを拒否して受け入れなかったから、私たちの方から積極的に離れるようにしてるの、そしたらあっちから勝手に離れてったわけ。」
ケンザキというのはトウカの苗字だろうか、だがそれとは別に話されたそれに対して眉をひそめる。
「勝手に離れていったって、つまり仲間外れにしているってことか?」
私が静かに問いかけるが、それにアカリは続けて答えてくる。
「うーん、そうね、そうかも。
だけどあの子のためでもあるんだからいいでしょ?
だって、特別な力を持ったドリームエッグをわざわざ拒否してまで持ってないんだよ?そんな考え方自体が私たちとはぜーんぜん違うし、いっつも無駄にクールぶっててなんかウザかったし、自分は大人みたいな考え方してますよ~みたいな、自意識過剰がだるくて異常でウザかったから、だから矯正するために仲間はずれにしてるの。
当然でしょ?だって私たちには元から特別な素質が存在してんだから、それに従わないやつは仲間外れにして考え方を叩き直さなきゃ。
私たちとおんなじじゃないんだから、性格を直すためにはそれくらいして痛い目に合わせなきゃ、あの子のためじゃないもん、ね~?」
性格の悪そうな笑みでクスクス笑うアカリに同調するユメカが笑みを浮かべるが、それ反してシオリはひどく傷付いた顔の上にそれを必死に隠しているような貼り付けた笑みを前面に浮かべている。
「シオリちゃんは、それでいいと思っているの?」
私の問いかけに、シオリが本来感じているらしい感情を表情に出して何かを言おうとするが、それを口の中でもごもごとするだけで暗い顔をして黙ってしまうが、すぐに笑みを貼り付ける、その様子を見たトウカは三人から目を背けて、そのまま横をすり抜けて走って行ってしまった。
横をすり抜けるときに、顔自体を三人からそらすように反対側を向いていたのを、三人は笑いながら見つめる。
「感じ悪ーい。」
「だから仲間外れにされてるのにねー。」
クスクスと笑うその二人にすごくカッとなり激怒が腹の中を動き回るが、それを抑えながら静かに話す。
「わたしは、あなたたちにいじめをしてほしくって卵を渡したわけじゃない。」
「えー?私たちいじめなんてしてないよ?ね?」
「うん!」「それは……うん。」
それぞれがそれぞれの反応をしてはいるが、その根底にある身勝手な物言いが泳いでいるその子たちに苛立ちがメスシリンダーに徐々に水を入れたとき並みに募っていく。
「いじめじゃないかは、いじめられている本人が決めること、トウカちゃんの傷付いた顔を見ていないのか、お前らは。」
自分が渡した卵がいじめの出汁に使われたこともそうだが、スケープゴートをわざわざ出して自分たちの結束を高めるという、私が心の根底から大いに嫌っていることを、自分たちが完璧に正しいという顔と思考をした状態で仲間外れを笑う三人を殺害するくらいの目力でギッと睨みつけると、三人はびくついた後に、アカリが調子に乗ったクソガキなことを言い始めた。
「ハラさんこわーい、そんな顔をしたらお母さんや先生に言いつけてやる!」
そんな、大人が自分たちに危害を加えられるわけない、知らない大人が自分たちを害したらすぐにその大人は警察に捕まる、自分たちは圧倒的安全地帯の中に存在しているという、自分たちのことを学校や親といったものが確実に守ってくれるという慢心からか、クスクスと馬鹿にしたように笑いながら指をさしてくるアカリとユメカに、苛立ちがそろそろピークを迎えそうになる。
「このわたしがそんなことで屈するという、そんな大人だと思うのか、お前らは。」
最近の子供は親にも先生にも怒られたことがないという、だからやっていいことと、本当にやってはダメな悪いことが、まったくわかっていないのだろうか。
私が苛立ちを口から出すが、二人はヘラヘラと笑い続けている、だが、シオリは違ったようだった。
「ごめんなさい!本当は悪いとは思っているんです!」
私の言葉を聞いたからだろうか、おもむろにシオリが謝り始める、それにアカリとユメカは面食らった顔をしたあと蔑みの目をアカリが向ける。
「なに謝ってるの?私たちは選ばれた人なんだよ?トウカは選ばれなかった、それが重要じゃない?」
その表情はまるで『お前も私たちに仲間外れにしてほしいのか』と言いたげなアカリがそう言うのに対し、シオリがいきなりアカリの頬を思いっきり叩く、そうするとアカリは驚いた顔をしたと思ったら涙が湧き出し、数秒後に泣き出した。
「あ゛ぁーーーー!しおりがぶった~!」
アカリがすごい勢いで泣き始めるのに対して、シオリが本気の剣幕でアカリを断罪する。
「そんなの重要じゃない!どうしてトウカのことを仲間外れにするの!?いろいろとおかしいってわかんないの!?」
それで見ていたユメカがアカリのことをかばう。
「そんなの、私たちと違うからに決まってるからじゃない!なに、いきなりアカリのこと叩いて、ただで済むと思ってるの!?」
ユメカがアカリをかばっているのに見られるのは、アカリと同じようで少し違う色が存在しているらしく、その色はトウカを仲間外れにするのは間違いを正すためという正義感からだというのが、アカリとは違う、自分が完璧に優位で選ばれしものだと考えているアカリとユメカの違いの根底にはそれがあるのだろう。
「私は、わたしはトウカと一緒にいたいのにっ!二人が勝手に仲間外れにしようっていいはじめたんじゃない!わたしはそんなことしたくないのに、ハラおばさんもそんなことは望んでいないって言った!絶対に言った!わたしは、トウカに謝りたいのに、私はトウカと遊びたいのに、二人がそれをよしとしてないじゃない!
全部、ぜんぶなにもかも間違ってるよ!ばかぁ!」
今までのことを吐き出すように吐き捨ててから、シオリは泣き始めてしまった。
「……と、いうことで、私もお前ら二人は全てが根底から間違ってると断定する。
お前ら二人はどうする?今すぐ過ちを認めてトウカちゃんに謝るか、それとも、たった今から卵をはく奪されるか。」
私が苛立ちから強い口調で脅すように声を吐くと、シオリがそれで泣き出す。
「やぁだぁぁぁぁぁぁああ!ドリームエッグは絶対わたざないいー!ぜんぶケンザキが悪いんだもぉぉぉおん!」
本当に、渡されたおもちゃを無くしたくないあまりに泣き出すとは、これはいかにも相手がすべて悪いと考えているものの泣き方で、非常に身勝手だ、そして、ここはほとんど人がはけた場所とはいえ往来のど真ん中、往来とはいっても広いだけの道路なわけだから人はそんなにいないがそろそろ私の立ち位置が危うくなってきた。
「私は本当に怒っている、ドリームエッグは選ばれしものに与えられる特別な力でも、それを出汁にいじめるためのものでも、なんでもない。
確かにお前ら三人を選んだのは私だが、そんな最悪ないじめに発展するなら、あんなもの渡すんじゃなかった、それを私が全て悪かった、なんていうと思うのか?
お前たちは明らかに自分のやった史上最悪の悪いことを認識しているのか、トウカにやっていること、私がお前たちに期待をしたことへの裏切りを、一体お前らはどう落とし前をつけるつもりなんだ!
一から全ての何もかもが間違っていることを、お前らは理解できないのか!自分のことを選ばれたと過信した馬鹿のおまえらはなぁ!」
私の腹の底からの怒号を浴びた三人の泣き声が大きくなる、私の声は本気で出したので爆音だが、子供たちのそれは爆音の超音波だ、それを無視して続ける。
「泣くんだったら今言え、たった今言え、自分の何が悪かったか、自分はいったいどんな悪いことをしたのか、自分がやった相手を傷つけるだけの行動についてを、自分が正義だと誤解していたその行動を、その行動がいかに間違っていたのかを。そして、それの改善方法、自分がこれからやるべき直すべきこと、自分が直さねばならないと思ったことを、たった今言え。」
私が三人の中の特に二人、アカリとユメカの目を真剣に交互に見つめながら、相手のことを少しでも嘘を吐いたり反省をしていなかったら、今すぐにでも渡したものを強奪し、お前らを殺すとでも言いたげな目で見つめるが、二人は泣くのをやめない。
「さっさと言えや!!!」
私が出せる中でも最大級の低音のそれに、恐怖にすくんだ三人のうち、ユメカが答える。
「け、ケンザキに、あやまる。」
ユメカがひとまず逃げようとしているのか、簡単な理由を述べるが、その逃げをふさぐ。
「なにを、あやまるんだ?」
ゆっくりと、威圧的にいうと、ユメカが答える。
「ひとりにして、ごめんなさいって、あやまる。」
ユメカの答えは確かにあっているが、それ以前に大きすぎる問題点が存在しているが、気が付いてなさそうなので、ヒントを与えながら圧をかける。
「ゆめか、お前は独りにすれば間違いを直せると、本当におもっているのか?
その方法が、本当に合っていると思っているのか?」
私の言葉に、ユメカは首を横に振る。
「そして人というものを、今回においては友達という存在を、正義感からお前は、自分と同じものを拒否した相手を悪者だとしているが、それがお前自身をワルモノとしているのに、本当に気が付いていないのか?」
脅すように言うが、難しかったのかユメカは理解していなさそうだが、さらに言葉を続ける。
「トウカが全て悪いのだと、どうして言い切れるんだ?おまえ自身の悪い心、全てを同じでないと気が済まない心というのは、それ自体が相手にとってのつらいことだと、ただの押し付けだとわからないのか。」
そこまで言ったところで気が付いたが、ユメカは半分も理解しているとは見えなかった、それでも理解したところはあるらしく、ユメカが口を開く。
「トウカに、持たないことを悪く言ってごめん、って、いう。
仲間はずれにしてごめんって、ちゃんと、いう。」
ユメカの言葉に、私は睨みつけるのをやめずに静かだが恐怖をあおる声で告げる。
「そうだ、そうしろ。
ついでに言うが、全てを許容し許せとは言わないが、正しい道徳や倫理を学ぶことが大切だぞ、ただ自分が理解できないからという理由だけで、全てを排除することは、悪とされるだろうことを覚えておけ。」
正直ポリコレ云々全てを許容することを推奨はしていないため伝えたが、現代においての道徳や倫理というものは、一体だれが基本となっていて、誰が教えることとなるのだろうか。
「今一度言うが、トウカちゃんは今までにもっと、はるかにつらい目をお前らに遭わされているんだ、トウカに比べればたった少しだけしか被害のないお前たちにはこれくらい、なんてことないだろう?」
睨みつけながら言うと、三人がおびえた顔をして一時的に声が小さくなった。
「シオリ?」
私がシオリの方に目線を送ると、びくっと体をこわばらせたシオリに目線を合わせてから、優しく頭をなでる。
「シオリは、トウカちゃんと仲直りしたいんだよね?」
優しい声色問いかけると、シオリは当然のことだと言いたげにコクコクと、何度もうなずく。
「よく言ったね、本当は二人のことが、仲間外れにされることが怖かったんでしょう?」
頭をなでながら言うそれにもトウカは黙ってうなずく、泣き止ませるように手を置いたまま心のこもった敬意と最大級の尊敬をもって語り掛ける。
「仲間外れにされる恐怖に打ち勝って、よく謝りたいって言ったね、偉いよ、そんな勇気のあることをいじめグループの中じゃ普通宣言できないし、怖くてできないのが普通だ。
本当によく、恐怖に打ち勝ったよ、ありがとう。」
最後に心を込めた優しい、無邪気にも見えるだろう笑顔で言うと、心を開いたらしいシオリは自分を責めるような辛さを抱えた顔をした。
「わたし、トウカとしんゆうなの。」
静かで小さく、罪悪感であふれ叫びに似た声が、ぽつぽつと話始める。
「それで、いっしょに、はなしたいのに、あそびたいのに、かえりたいのに、いっしょにいたいのに……ふたりが、ふたりが!仲間外れにしようって!いきなりそれで、ひとりにさせて……。
ひとりにさせたのは、こっちなのに、悪いのはわたしたちなのに!それなのに、それなのに、わたしは、わたし自身が、ひとりになるのを、いやだった、わたしがひとりになるのがいやだったから、みんなからいじめられるのがいやだったから、それがっいやで、そんなわたしで!」
ひっくひっくと泣きながら告げるそれに痛々しさを感じて頷きながら目線を合わせて聞き続ける。
「とうかと、なかなおり、したい、したい、けど、ほんとうは、本当はなかなおりしたいげど!
いじめられたくだい!あだしはもう、もうどうやっで!トウガとながなおりずればいいが、ぜんえんわがらない!わがらないおぉ~!」
大声で泣きながら告げたシオリのことを見ながら、その勇気を元気づける様ににっこりと笑う。
「仲直りしたい、それだけでいいと思うよ、私は。」
「えっ?」
シオリが面食らった顔をしたから、立ち上がりながら理由を述べる。
「そうやって泣きながら謝ればきっと許してくれるよ、だけど、ドリームエッグはのことは嫌っているかもね。」
私が自分で言ったそれには困った顔をしてしまうが、言葉とは別に正直こんなことでデータが取れなくなるのはただの損失でしかない。
「それならドリームエッグいらない!返す!」
私の言葉を全力で信じたらしいシオリが私に強い意志を持った目で宣言する。
「それだとお姉さんは困るから持っていてほしいけど、そう言うことなら仕方ないね。」
宣言を受け入れた風を装うが、本音を言えばいじめに発展するのはこのご時世やばい、確かにそれで得られるデータもあるかもしれないが、それで他人の人生を狂わせてしまうのは違うと言い切れるのだ。
「ドリームエッグも動物だから、飼い主から離れるのはすごく嫌がる、誰か代わりの人が飼ってくれるなんてことも考えてはいけない、それに、一回飼った生き物は責任をもって育てなきゃいけない。いいかな?」
優しさはあるが、芯を通すよう諭すように言うと、シオリも思うことがあるのか、息を殺すレベルで黙る。
「だからね、期限の一年間は持っていてほしいんだよ、そのあとは返してくれていいからさ。
その間にさ、トウカちゃんとは仲直りするために全力で頑張ろう?ね?」
暫くの沈黙の後、シオリはうなずいた。
「二人は?どうする?」
私がシオリにかまけていたせいで放っておいてしまったアカリとユメカは、泣きべそをかきながらぼそっと呟く。
「アカリはわたしのだもん。」「トオルは大切だもん。」
その顔はいかにもおもちゃを取られたくない子供だった。
「みんなに仲良く育ててほしかったんだよ、私は、それなのに一人だけ貰わなかったとかいうくだらない理由でのけ者にして、自分たちは特別だって、それで育てられても気分が悪い。
卵のことを自分が選ばれて授けられた特別な力だなんて思い違いして、挙句他人を、それどころか友達という身近な人までもを言葉や態度でいじめるなんて、身近な人だけじゃなくて仲間さえも攻撃する、なんていう行動はまさしく悪の組織の所業だ。
そんな嫌な子たちは、正義のヒロインである、ラブキュアには一生なれないだろうな~。」
アカリの自分こそが優位であり、全て自分が正しいということを湾曲しつつも正そうと、大人気女児向けアニメを引き合いに出してそんな嫌味を言ったら、それが意外と効き、意外とユメカが泣き声を大きくした。
「ラブキュアになれないのやー!」
ちなみに、アカリも絶望した顔をした。
「ラブキュアって、正義の味方なんでしょ?正義のそれとかけ離れた、友達を一人にして相手を正そうとするって行動自体がラブキュアとはかけ離れている、そう思わない?」
「やぁだぁぁぁ!!」
だが、私がラブキュアになれない発言が強かったらしく、泣いたままとなってしまった、こりゃ話を聞いちゃいないな、それに追い打ちとしてアカリを叱ろうしていたら、警察の人が来た。
「すみません、少しよろしいでしょうか?」
警察の人が私に声をかけてきて、アカリは助けが来たとでも言いたげに泣き声を大きくして嗚咽を漏らす。
「いじめの現場を差し押さえたところです、邪魔しないでください!」
私は説明するためにその後は長々と職務質問の時間を取らされて、子供たちは職務質問中に解散と相成った、そして警察がいじめについてのことを詳細も聞かずに小学生たちを解散しようとしたところで、私は大声で「トウカちゃんに謝れよー!」と子供たちに向かって叫んだのだった。
職務質問中に様々なことを言われたせいで疲れた顔をして家に帰ると、既にトモミの通学用自転車が置いてあり、それがトモミが家に帰っていることを知らせていた。
家に入りトモミに帰ったことを告げてから料理を始める、その時にトモミが後ろにつき料理を手伝ってくれたおかげで、今回はとてもまともな食事になった。
今日も今日とてトモミはドリームエッグにお箸の使い方をレクチャーしている、だんだんとうまくなる箸使いにどことなく育児を感じて少しにやける、子供を育てるってこういうことなのだろうか。
トモミと話しながら食事を終えて食器を食洗器に突っ込み洗う、思い出したかのようにおもむろに洗濯物をこみに外に出ると寒風が体を突き刺してきて、そろそろ冬なのだということをまざまざと思い知らされた。
洗濯籠を抱えながら玄関に入るとトモミは既に一階にはおらず、お風呂を沸かし始めてからなにか連絡がないかを探ってみる、そしたらどうやらシオリは明日トウカに謝りに行くらしい、緊張するとあったので『仲直りできるようがんばっておいで、自分がいかに思っていたのかを言えばきっと仲直りできる、必要なのは恥じゃなく自分の中にある勇気だけだよ』とだけ返してほかの連絡を見てみたが、どうやら叱ったことがアカリとユメカの母親に伝わったらしい。
二人の親それぞれ面倒くさそうだが、特にアカリの母親が面倒そうだ、アカリが泣いて帰ってきたのを全て私のせいだと思っている、確かに私のせいだと思われるが、発端は全て仲間外れにしていた三人組が悪いんだろうに。
「はぁー、なんだかなぁー。」
体が重だるいような感覚に襲われて呻くような呟きが出てしまった、色々な意味を含むこれは、記しておいてもいいだろう、責任の擦り付け合い、あぁ、汚らしい、汚らわしい。
思わずトモミに愚痴を言うためにトモミの部屋をノックし、入っていいか聞くと、暫くののちにどうぞと言われたため入る、中は前よりも人の手が入っている感じだったが、ティッシュとゴミ箱がなかったため後日買ってやらねばと、ふと思った。
そしてトモミに今日の事を愚痴る、そんな私のことを見ているトモミは、じっくりと聞いてくれた後にこちらに話しかけてくる。
「ハラさんは正しいことをしたと思います。」
「ほんと!?」
「ですけど、あんまり首を突っ込まない方がいい案件でもあると思います。」
「それはそうだよねー……。」
トモミの上げて落とすようなそれに思わず半泣きになる、訴えられても勝てる見込みがない。
「ですけど、これでそのトウカちゃんという子が仲間外れにならなくなればいいですよね。」
「できればそうなってほしいよねー。」
トモミの言葉がごもっともすぎて、ため息を吐いてから遠い目になってしまう、学生時代の記憶があるような気もするしまったくないような気もするような私は、記憶があまりないにもかかわらずいじめを受けていた感覚だけは記憶しているから、今回のことはなおさら許せなかった、どうか、これ以上のいじめに発展しないことを祈る。
「ハラさん。」
「なに?」
多分に弱った私がトモミの方を見ると、今までで一番大人びた顔をしたトモミがこちらを見ていた。
「そんな、正義感が強いハラさんが、私は好きですよ。」
微笑むトモミがこちらを優しく見て来るのがむず痒くなり、つい顔をそむけてしまう。
「それはどーも。」
照れ隠しにそれだけを言って立ち上がる。
「愚痴聞いてくれてありがとな、元気出たよ。」
「それはよかったです!」
満面の笑みでトモミが言ってくるのに、ニッと笑ってから扉にまで行き、遅くならないようにとだけ言って部屋を出た。
その後は研究を少しやって寝ることにする、今日は動物型の卵を近くに置いて寝ることにした、これでどんな効果が出るか楽しみだ。
にしても、ついトモミに愚痴を言ってしまったが、本来大人が言うのはダメなのだろうな、既に頼りにしはじめているのだろうか私は。
読まなくてもいいあとがき「わからないかもしれない用語説明」
すみませんが、ここで一つ用語説明をさせていただきます。
小説内にあるスケープゴート、意味は他人の罪を負わされていけにえになる者、となります。
簡単にいえば、一人ののけものを出して、そののけものを集団で非難、差別、孤立させることで、全体に一体感を出すことでお互いの共感性や結束力をまとめる方法の一つです。
難しければ、下に例を出しますので、気分が悪くなるかもしれませんので飛ばしたい方は飛ばしてください。
例
とある集団内にほかの者たちとは違う性質のものや、ある種の異質さ、ほかにも様々な理由からその一人がほかのものとは違うとされました。
その一人はほかの人たちに話しかけますが、ほかのものはその人を自分たちとは違うものとして認識、はじいて中に入れません。
そのうちに、一人のその人が孤立しているさまを見たり、集団から被害に遭っているところを見て、その集団は言います。
「あの人のようにならないようにしようね。」
これで、私たちの結束力は保たれ、一人の人が被害に遭い続ける限り、自分たちのグループの中での自分の立場は担保されます。
ですが、その一人がいなくなった場合にはどうなるでしょうか?
この、のけ者である一人の人が『スケープゴート』と呼ばれるもので、集団の中のいけにえ的な存在となり、それにより集団はなりたつという仕組みです。
ですが、この方法には穴があります、それが例の一番最後の問です。
のけ者の一人がいなくなったとき、人は自分のことを守ったり、自身が強いということを感じるための楽しみのために、また一人のスケープゴートを作り、それで遊びという名のいじめが起こります。
それは、断ち切ることが難しい鎖のように、その場に常に悲劇をもたらします。
その円の中にいるものは、それを断ち切るための力があるかどうかを理解も確認もせず、我関せずを貫くことが多く、この円はよそ者によって断ち切られることがあります。
円の中にいるものは、猛獣の檻の中に入れられた獲物のように、ほかのものが食べられているのをただ見ているしかないのが、よくあることなので、自分が獲物になりたくないという生存本能がスケープゴートの周りで見ている人にはあるように思えます。
このような状況なので、心理状態的に常に緊迫状態となるため、集団自体がろくでもないものへと変貌しますが、まぁいじめをやってる本人的には楽しい可能性が高いです、自分に自信も能力もなかったりして他者を追い詰めることで強いと錯覚していたり、逆に権力などの自分に不相応な力を持った時に振り回したがる子供のことが多いので、力を誇示するというのは、本人にとっては楽しいことが多いのでしょう、本当に〇んでほしい。
十中八九ろくでもないですが、スケープゴートとは違いますが、変に力を持つとどうなるかという心理学の実験があり、「スタンフォード監獄実験」というものがありますが、「囚人と看守」という名前で私は覚えていました。
人が状況によって変容する良い参考文献となりますので、もしよかったらどうぞ。
ですが、私もにわかで素人なので、心理学の知識はほぼないことを言っておきます、もしそのようなことで間違っていたとしても、どうか質問や非難はしないようお願いします。
ですが、知っていることをなるべくネットで調べつつ書いておりますので、出所が間違っていたら、本当に申し訳ないです。
では、読まなくてもいいあとがきを終わります、長々と知識もないのに申し訳ありませんでした。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます、まだまだ小説は続きますので、おこがましいと思うかもしれませんがよろしくお願いします。




