DAY43(土)11月11日
DAY43(土)11月11日
今日は土曜日ということで、学校が休みだ、トモミが家にいるため行動が制限される、そのため年末年始に向けての予定を立てるために組織に連絡を取ったところ、組織が管轄している宿を複数教えてもらった。
そのなかでも、組織からの依頼などが入らない上にここに泊まればしばらくの休暇扱いとなる宿を紹介してもらった。
ワンダーエッグもドリームエッグも連れていける上にこの宿に泊まっている間は仕事をしなくてもいいというお達し付きだ、そして、料金が格安で温泉宿、色々と好条件がそろっている。
山奥にある宿で、大きいがあまり有名ではなく、ネットには上がっていない宿らしい、知る人ぞ知る宿だということみたいだ。
静かにゆっくりとできるという点でいいとは思ったが、難点として携帯電話などの通信機器が基本的に使えない環境らしい、電波が入らない上にその宿全体にジャミングがかかっているらしく、固定電話やワンダーエッグの通信、郵便などしかその宿では使えないらしい。
いわば、陸の孤島だ。
だが、仕事が年末年始に入らないのはいい、連絡できない旨を各方面に言っておいて、それから旅行に出かければいいだけの話だ。
とりあえず、トモミに一緒に行くかどうかの旨を聞くことにした、その時の話の音声があるから書くとする。
「トモミ、年末年始はどうするか決めたかい?」
和室の隅でゴロゴロとしながらスマホを弄っていたトモミに聞くと、トモミはスマホをやめてこちらの方を向いた。
「まだ先の話なんじゃないですか?」
「いや、宿の予約とかは今のうちじゃないときついからね、とりあえず予定だけ聞いておこうかなと思って。」
私がそういうと、トモミは不思議そうな顔をしつつも答えてきた。
「年末年始ですか、特に予定はないですね、どこかに旅行に行くのですか?」
「そうだ、いい温泉宿があるから、そこに行こうかと計画中だ。」
そういうと、トモミは明らかに残念そうな顔になった。
「そうですか、いってらっしゃい。」
その顔には明らかに今年も一人になるのだろうということが顔面に出ていたから、それを即座に否定する。
「いや、いってらっしゃいって、トモミも行かなきゃ話にならないだろう。」
「え?私も?」
トモミの顔に驚きの色が浮かぶ。
「家族旅行とか、行ったことないの?」
思わず聞いてしまった後にしまったと思った、トモミの顔があからさまに暗くなる。
「ずっと家族仲が悪くって、離婚する前の両親は喧嘩ばかり、離婚して再婚してからは私のことを置いて旅行に二人だけで行っていましたから。」
その顔にはそのことには関わるなとあからさまに書いてあって、何を言えばいいのかわからなくなる。
「そうか……悪いことを聞いたな。」
言うと、その場にいたアリスがトモミの顔に体をこすりつけて慰めるみたいな行動をとる、それに習ってなのか、リオンも頭をなでていた。
「なに?ふたりとも、くすぐったい!」
暗い雰囲気がすぐに吹き飛んだから、つい先ほどの事を吹き飛ばすかのように話を元の宿に戻す。
「とにかく、だ、一緒に年末年始旅行に行こうという話だよ、どう?」
それに、トモミは目を輝かせるが、すぐに委縮する。
「私なんかが一緒に行っていいのですか?宿をとるって、高くつくんでしょう?」
それに、笑いながら告げる。
「三泊四日、全部の食事つきで二万円、二人合わせてね。」
どうやら腑に落ちないらしく、トモミは一瞬不思議そうな顔をしたが、計算機を引っ張り出して計算した後にやはりわからないという顔をした。
「それ、二十万の間違いではないですか?」
「いや、本当だ。」
「何を言っているんですか?」
そんなトモミに集まりのところを会社にして、会社の方のグループで格安で宿を使っていいと言われたと言ったら、驚かれた。
「ハラさんって大企業のエンジニアなんですか?」
「まぁ、そんな感じ。」
実際には各種様々なマッドサイエンティストが集まる小規模な何でもありの組織の一員で、組織の中には宿を経営している親族がいる研究者もいるため融通してもらったというのが正しい、科学者コミュニティの村社会的な感じの副産物だ。
いわば、宿も研究所なわけだ、そんなことを伏せたまま話を進める。
「そんな感じだから、気を使わなくても大丈夫だよ、格安で泊まれる上にワンダーエッグもドリームエッグも荷物として持ち込みOKで、ペット同伴の許可を受ければお値段そのまま、卵への料理付きで旅館内を歩き回ってもいいと来た。」
そこで一旦言葉を切ってタメを作る、そして、トモミが息をのんだところで言う。
「こんなお得な話、他にはないだろ?」
「馬鹿なんですか?」
トモミにバッサリと切り捨てられた。
「そんなうまい話、この世にないですよ、お得な話は大抵裏があります、それを考えないでそのまま話を進めて痛い目を見たくないです。」
それを聞いた後に、色々と調べてみたら、料金を上乗せすればおいしいご飯が食べられるとのこと、それらを踏まえたうえで料金を提示する。
「確かに足代とかもあるけど、料金を一人千円上乗せすればご飯デラックスになるって、行かない?」
そういうが、トモミは頑なに首を縦に振らない、仕方ないから組織から提示された旅行の提案のページを読み上げて、ようやく納得が行ったらしい、トモミが頷いてくれた。
「一人三泊四日で一人一万千円で泊まれるんですね?」
「そ、会社も慰安旅行などに行ってこい、だとさ。」
「ハラさんがそういうなら、乗ります。」
「そうこなくっちゃ!それじゃ、予約入れちゃうね。」
そう言って12月29日から1月1日までの四日間をその宿で泊まると連絡を入れて組織に送り付ける、名前は極楽の宿、藤納戸の里に泊まることにしたのだった。
「12月29日から1月1日まで宿を取ったから、それまでに荷物を用意しておいてね。」
いうと、トモミが照れくさそうな顔をしながらぶつぶつと何かを言ってきたから聞き返したら、比較的大声で話してくれた。
「楽しみですね!りょこう!」
「そうだね、今から用意しなければね。」
クスクスと笑いながらノートパソコンを閉じて、トモミと出かけようと声をかける。
「これから君の防寒服買いに行こうと思うけれど、行きたいところどこかあるかい?」
そしたら、トモミは驚いた顔をした。
「いきなりですね、旅行先に着ていく防寒具ですか?」
聞いてきたから頷く、とりあえず適当に近場の洋服屋を言おうかと思ったら、トモミはおずおずとよくあるリーズナブルな価格で質の良い製品を提供する無難な服を展開しているお店を指定してきた。
「確かに、良い洋服があると思うよ、そこは。」
トモミがパッと明るい顔をしたため、そこに行こうとスマホで検索をかける。
「今日のところはそこに行くとして、他に行きたいところはあるかい?」
聞くと、首を横に振った。
「いえ、別にないですね。」
「そうか、それじゃ用意して。」
「はい!」
そのあとは大体30分ほどかけて用意をした後に車で衣料品店に車を走らせる、そして、スマホで検索した結果複数の店が集合したアウトレットパークに印が付いていたため、そこにナビをセットして目的地にまで向かった。
アウトレットパークに到着してトモミと共に車から降りたら、トモミのテンションが上がっていた。
「ハラさん!すごいですねここ!」
「トモミは来たことがないのかい?」
「はい!初めてです!」
そんな顔をほころばせて喜ぶことでもない気がするが、それでもトモミが喜んでくれてよかったと思うことにする。
目当ての衣料品店に足を向ける途中、様々なところに目移りするらしく、トモミが楽しそうにウィンドウショッピングをしていた、ごくたまに欲しそうな顔をしているから、トモミに欲しいのかを尋ねたら曖昧な回答をしていたから、感情を少しは共有しているであろうアリスに聞く。
そしたら、欲しいと素直に反応が返ってきたため買ってやることにする、その他のお買い物を上限4万円と決めて買おうとしたら、トモミに止められた、もう少し見て回ってからにするとのこと。
当初の目的通り無難でリーズナブルで機能性を持った服が売っている洋服屋に到着した、名はCU、近場にユニオロもある。
CUに入りどのような服を買うのかを見ていたら、今着ているものに合わせるのと、他にも防寒具としての機能と見た目の良さも考えられているダウンコートを買うか、ダッフルコートを買おうか悩んでいた。
私が口出しすることではないため黙って見守っていたらトモミに聞かれてしまった。
お洒落でいうならダッフルコートだが、寒さで言ったらダウンの方がいいとは思う、個人的な好みだとケープが付いたようなダッフルコートが好きだが、それを言っても仕方がない。
「もしも着ていくとしたらロングのダウンコートの方がいいとは思うぞ。」
「そうですか?」
「あぁ、寒いだろうからね。」
そんな会話をしながら商品を選んでいく、そんなこんなで選んだ洋服は10着、全て防寒具だ。
困った顔をしながらお礼を言われた後にトモミから、そんな気にしなくてもいいのにという言葉がきた。
今のトモミの保護者は私なんだから甘えればいいと突っぱねてやればなんとも複雑そうな顔をしながらついてきた。
その後は一旦買ったものを車に置いた後色々な雑貨を見たり、様々なカバンや髪飾りなんかを見たりして過ごした、私もお気に入りの帽子なんかを見つけて買おうかどうか悩んだりした。
こんな女子同士の楽しみみたいなお出かけができるなんて思わなかったから、思いのほか楽しんでから家に帰った。
家に帰ったら、訓練のため筋トレをしていたワンダーエッグの一行が見えて、思わず笑った。
ちなみに、五号は懐の中で今までの会話などを記録するために同行していたため筋トレには参加していない、そもそも、精密機器なところを有している五号は、他のワンダーエッグと違って繊細なのか、力がない、今度、体力づくりをさせてみようかな。
そして、お留守番組のドリームエッグは雑誌を読みながらマネキンに洋服を作って着せていた。
一体一体が順にマネキンに洋服を投影というか、様々な効果を周りに繰り広げながら裸のマネキンに洋服が着せられる様は、まるで魔法少女が変身するみたいだとか、変身ヒーローが変身するときみたいだとか、色々な感想があるが、そんな感想を頭から追い出して今一度変身の様子を見てみる。
今洋服を着せようとしているテリクスの場合、テリクスから白い光の帯のようなものが出て、それがマネキンに巻き付き、どんどんと洋服が形作られていく、テリクスはというと、光の繭のようなものに覆われてどんどんと小さくなってゆく、帯に色が付き洋服になったところで繭から小鳥になったテリクスが出てきた。
本当に、面白いというか、不可思議というか、物理法則どうなっているんだというか、色々と言いたいところはあるが、これが我が家での日常だ。
個人的に研究していたら、合言葉なしでも変身ができるようになったのは驚いたが、どうやら合言葉がない状態だと長い時間投影できないらしい、現に3分たった今、マネキンに着せていた洋服が光の粒となり消え去り、テリクスは元の姿に戻っている。
おまけに、洋服の耐久力もなく、少し触っただけで指がすり抜けるのだ。
トモミはそれを知らない状態で見ているらしく、ほかのドリームエッグがマネキンに洋服を着せるのを嬉々として見ていた。
「さてみんな、帰ってくるまで訓練お疲れ様、ご飯作るから休んでていいよ。」
そういうと、卵たちは作業の手を止めてダレ始めた。
「ハラさん、みんなのこと見ていていいですか?」
「ご自由に、みんなと一緒になって宿題でもやったらどうだ?」
トモミが私の卵たちのことを心配するようなことを言ったから、いたずらを思いついたみたいな顔で言うと、トモミが面倒くさそうな顔をした、が、頷いて訓練所と化している和室の端に置いておいたちゃぶ台を引っ張り出して広げてから二階に上がっていった。
それを見届けてから料理をするために台所に立つ、適当に全ての料理を作りながら作り置きも同時に作り、明日の分も用意してしまうことにする。
料理が完成するまでにできた料理貯金は全て冷凍庫に入れ、全員分の料理が出来上がったのは19時を回っていた。
和室へ行くと、トモミが宿題をしており、それを興味深そうに卵たちが見ていてかなりやり辛そうであった。
ご飯ができたことを告げたら、卵たちは嬉々としてこちらにやってきた、それにトモミはため息をついた後、勉強の手を止めて食卓へとやってきた。
今日も今日とて肉魚野菜、様々な食材を使った適当な料理が並ぶ、料理名はわからない、食べられればいいを基本としているため、何がなんだかわからないのだ。
そんな料理を卵の前に置き、我々の前には昔買ったパスタにたらこを絡めてたらこパスタ、みたいなものとこれまた料理名がわからない卵たちに作ったやつのあまりのご飯をお皿に盛り付け出した。
トモミが渋い顔をする。
いただきますをして食べ始める、味は悪くないと思うが如何せん見た目が悪い、トモミが渋い顔をするのもうなずける、明日は卵焼きでも作るか。
「ハラさん、私もやっぱり料理しますね。」
「そうしてもらえると助かる。」
そんな会話と共にご飯を食べ終えた。
その後はお風呂を沸かし、トモミを入れてから一日動かしっぱなしだった研究室のパソコンの前に座る。
休日ということもあり、子供たちも卵に触れる時間が長いのだろう、配ったワンダーエッグもドリームエッグもいつも以上に順調な成長を見せている。
それにしても、ハジメとアマチャンの成長がかなり複雑なことになっている。
アマチャンはついこの間私の卵と触れ合わせた後から成長がよくなり、ハジメはやはり自分の血液をあげているのか回復系になる数値が爆上がりしている。
小学生女児たちや男児たちもそれなりの数値を見せており、どうやらそれぞれがペットというよりはおもちゃとしての側面を見せているのだろうか、という数値が出ていた。
なぜペットというよりはおもちゃとしての側面があるのかという見解を見せたかというと、ストレス値は上がっていないがダメージが入っているためだ、これは、四六時中遊んでいるのであろう、という数値だ。
ちなみに、私のところで鍛えているワンダーエッグ、及びドリームエッグは感情の値はかなり良いことがこの数日でわかった。
多少のバグはあるが、許容の範囲内だろう。
そんなことをまとめていたら、トモミが出てきたらしい、ノックが部屋に響く。
「はーい。」
「お風呂出ましたよー。」
「今行くー」
そんな会話がここ最近の日課になりつつある。
研究室に鍵をかけてから風呂に入り、その後トモミが勉強のために部屋にこもった後、卵を呼び寄せ今日の活動を記録するために機械にセットしようとしたら、疲れからかふらつきが出た。
今日はこれくらいにしようと卵を全て卵置き場に連れていき、卵の状態に戻して所定の場所に置く、ことにしようとしたら、駄々をこねたため私の部屋で寝させることに、私から見える場所に使っていない布団を敷いてその上に卵状態のものを置き、休ませる。
そして、トモミの部屋に行きノックした後寝ることを告げると、部屋からわかったと声が返ってきたため寝ることとする。
最近、トモミと暮らしてから日記が長くなった、もう少し短くしたいが、書くことが多くなっている。
仕方がないのか?




