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こどもの日その2

それは石なのだが、なんとなくパワーストーンのようにも見えるので、思わず近づいてしまったが、それが何なのかがいまいちわからない。


真っ黒のくせ、ピンク色も見え隠れする石、そして持つところのような銀色の金具が出ている、みたいな、なんとなくパワーストーンの中でもあまり見ないような種類で、なにかやっているのだろうなというのがわかる、そんな感じのものが落ちていた。


手にとってはいけない雰囲気を感じるので、ただ見ているだけだが、これが一体何なのかがよくわからない、パワーストーンのようにも見えるが、それ以外の物質であるようにも見えるそれは、たぶん持ち主がいるのだろう、『パワーストーン 浄化』で検索をかけたら、川でパワーストーンを洗うようなことが書かれていたので、気にしないようにしようとしたのだが、トモミたちの方を向き、そのまま歩こうとした後に、どうしても気になってしまい、ふと振り向き、軽くその物体が何なのかを手に取って解析かけてしまう。


持ってきているものは少ないが、それでもできることはある、スマホには様々なアプリが入っていたのだが、その中に解析データを記録するアプリが入っていたので、それを使い、外に出るときにトモミに持つように促された五号を取り出して、その物体を確認してしまう。


だが、解析をかけたのだが、その物体が何なのか、何でできているのかでさえ全くわからなかったので、せっかくなので持ち帰ることにした。


落とし物だし、何かあれば警察にでも持っていけばいいだろう、そんな軽い考えでポケットに入れたが、その時に真後ろから、声を掛けられた、それも至近距離のような気もする距離感で。


しかしその言葉は、今まで聞いたことのないくらいに不明瞭で、私に対して声をかけたこと、しかわからない、がさがさとした声であった。


驚いて振り向けば、そこには黒い服を着た人がいつの間にかに立っていて、その人がたった今、私がポケットに入れたものを指さし、がさがさな声で尋ねてくる。


「おまえは、ちからをもとめるものか?」


その言葉に、なんだ同業者かと思いながらも、私は首を傾げる。


「力って、なんのことだ?これのことを言っているのか?」


ポケットから拾ったものを出さないままで、私が応対したのに対し、その人は再度同じことを問いかけてきたが、この物体が何なのか、何でできているのかもわからないので、そもそもこの人のものか?と返すのも考えてしまう。


「あー!例のふしんしゃ!おばさん!話してた不審者その人だよ!」


後ろからの叫び声で振り向けば、私が来なかったせいで戻ってきたらしい子供たちが、そこにはいて、声の主はマサトシのようであった。


「この人が不審者?まさか、あの不審物を持っていたものか。」


研究室にあった資料のことを思い出すと同時に、すぐに警戒態勢に入り、応援を呼ぼうと五号に指示を出そうとしたら、その人物が突如動き、私のことを拘束してくる。


「なっ?!」


その拘束の仕方も異様で、突如として相手の服が伸び、触手のように体にまとわりついてくる、そのまま体を覆われそうになるのだが、現在の私は丸腰で、正直打つ手がない状態だ。相手にぶつを返せば解放してくれるだろうかとも思ったが、そのぶつも含めて体を黒衣で覆われる。


「なっ?!こんのくそ野郎!ハラさんを解放しろ!」


トモミの言葉と共に、トモミの卵たちが展開され、それに続くように三人からもそれぞれの卵が展開される。武器になったことから、それらがワンダーエッグだと理解したが、今はそれどころではない。


黒衣はますます変に動き、私の手足を完全に拘束したと思ったら、手を使って謎の物ではなく、五号のことを取り出そうとしてくるので、それに対し体をひねり、何とか拒否、阻止する。


現在五号の逃げた先はブラの中だ、その中で五号が必死になって拘束されないよう、いろいろな姿に自らなって、それらを拒否している。


「くそっはなせ!」


そうやって抵抗しているうちに、トモミたちがこちらに斬りかかってくるが、それを私のことを前に出し、人質にする形で攻撃を逃れている。


「ちからがほしいか」


再度問われるその言葉、私はそれに大声で答える。


「おまえの持つ力なんて!誰が欲しいかよ!ばぁーか!」


すると口を覆うように黒衣が巻き付き、何もいえなくなってしまう。


その時、黒衣の存在に異変が起こったのか、ショウ、タカマサ、マサトシの三人が動きを止めたのだが、私も突然黒衣の動きが止まったので、何も理解しないままになんとか解放されようとしたが、黒衣自体を覆い隠すように何かによって体が覆われはじめ、驚きすぎて口を覆われたまま叫ぶ。


「はぁ、まったく。ハラさんも後ろの謎のやつも、本当に救えないですね。」


気付けば、後ろから聞こえてくる、声。それはトモミの声だが、なんとも冷めた恐ろしい声色である。


「ねぇ、謎の何かさん、この力使うの、あなたが初めてなんです。


なので感想を、存分にくださいね。」


その言葉と同時に後ろのやつが苦しみだし、私も同様にその何かによって覆われていたが、私を拘束するように覆っていた黒衣のみがぐずぐずに溶け、私自身はそのままその場に落下する。


「ッゲホッゲホゲホッ!ゲホッ、すぅー、はぁー、い、一体なんなんだ?」


ほぼ口どころか鼻まで覆われていたものが外され、息ができるようになり、せき込んでから這うように移動したら、ショウとマサトシによって保護された。


「おばさん!大丈夫?」


「あぁ、ありがとうマサトシ、ショウ、一体今どうなってる?」


私がショウに問いかけると、ショウは驚いた顔をしつつも、状況を教えてくれる、タカマサは目の前のことが怖いのだろう、顔が引きつっている上、その場にうずくまっていた。


「えっと、なんというか。


黒衣の何かが、何かに覆われて、暴れてる。」


「は?」


私が立ち上がると、後ろから叫び声が聞こえ、更にトモミの声も聞こえてきた。


「ねぇねぇ、黒いなにかさん、あなたは一体どういう目的のもと、生まれた存在なの?


ハラさんのこと、邪魔しに来たの?力って何?そんなもの手にさせて、何をしようっていうの?


ねぇ、答えられない?そりゃそうだよね。


だって、体中に電気流れているものね。」


その言葉に呼応するように、体が硬直したと思ったら弛緩し、再度硬直を続ける黒衣の人のようななにか、その断続的な声はやはりかすれており、もう何十日も水を飲んでいないかのようなカスレ具合であった。


「ちkkkkらgaほssssいか」


「なにいってるのかわからないけど、さっさと死ぬか、消えてくれない?


あるいは、情報渡してくれたら、見逃してもいいけど。」


言いながらトモミはワンダーエッグで装備した棍棒を相手にぶち当てる、それも鬼の金棒のような、とげが思う存分飛び出ている代物を相手にたたきつけているので、硬直と弛緩のどちらであっても、体をゆがませる攻撃であることには変わらなかった。


「うわぁ……ゆめにでそう。」


私が呆然と呟けば、頭を抱えたタカマサが泣きそうな声で叫ぶ。


「こ、これは夢だ!ゆめなんだ、そんな、幽霊が、こんなところにいるわけがないんだ!」


どうやら、タカマサは幽霊やそういったものが無理のようで、ほぼ泣いていた。


「うん、これは確かに、ゲームとかとはまた違う、迫力が……。」


マサトシも同意していたが、様子がおかしいのはもう一人いた。


「なぁお姉さん!俺にもそいつ殴らせてよ!」


ショウが自らの得物を変化させ、モーニングスターのようなものを作り、トモミに問いかけたが、トモミはそれに目配せをし、すぐに目線をそらす。


「大丈夫、任せてくれれば。」


言いながら相手を殴り続けるが、その攻撃が最後の決定打となったらしく、謎の存在が突如として掻き消えた。


「ぁ゜」


「あ、恐怖でタカマサが死んだ。」


掻き消えたのをしっかりと視認したタカマサが、その場でそれだけを呟いてうずくまるのを、そんな冷静な声色で、マサトシが理解を説明してくれたが、この中でも特に心に毛が生えた存在なのであろうショウが、トモミに駆け寄り言葉を交わす。


私はポケットの中にそのものがあるかどうかを確認したのだが、その物体は消えており、そこで相手があの物体のことを重要視しているのが、自分の中で確定された。


「あ、あれはなんだったんだ?」


そのとき、私は相手が去ったからかホッとしたらしく、同時に恐怖が胸の内から湧き出てきて、あの存在が何なのかが理解できず、目からぼたぼたと涙が出てきた。


「あぁ。ハラさん、泣いちゃったか。」


平然とした顔でそんなことを言ってくるトモミに、四つん這いの足ががくがくしながらも近づき、その場で座り込む。


「あ、あれは何者だったの?」


腰が抜けてしまい、震えが全身にでて仕方なくなってしまった私だが、トモミが私と同じ目線になって頭をなでてきた。


「それ、今から三人に聞きましょっか。」


私の方がお姉さんだとでも言いたげなトモミの反応に、複雑な気持ちになるが、今日の初めに言っていたことを思い出し、私はうなずいて、トモミに三人を呼ぶようにお願いする。


そして二人がタカマサを引きずる形でやってきて、彼を砂利の上に寝かせた後、ショウとマサトシが説明してくれた。


なんでも、あの黒い人は学校周辺にしょっちゅう出てくる謎の人らしく、その正体は不明。子供たちに「力が欲しいか」と尋ねて回り、そして「欲しい」という言葉やそれに近しい言葉を答えると、謎の物体と共に力が与えられるそうだ。


その力が何なのかはわからないが、それが学校の間で流行っている都市伝説として、語られ始めたらしいが、それの初出がいつなのかは、特定できていないらしく、初めは私が関わっているのだと考えていた卵を持っている勢が、アカリが消えたことにより、別の勢力が関わっているのだと気が付き、その人物が危険だということを、学校に広げ始めたタイミングが最近の出来事だったそうだ。


しかし、既に「力が欲しい」と答えた幾人かが何物かを手にし、卵を持っている勢と謎の物体を持っている勢で、力の勢力が分かれているそうだ。


「俺たちは少数派の方に追いやられてて、その謎の物体を持っている方が正義、みたいな風潮があるんだよな。」


「謎の物体を持った奴らは、おれらみたいに使役獣を持たず、謎の物体使って、喧嘩ばっかしてたり、妙に感情が高ぶって、適当な奴に当たり散らしたりして、弱いものいじめばっかしてんだよ。


おれらは逆に使役獣を使ってそれを止めたり、いじめに介入したりしてっけど、正直キツイなって思うことは、ある程度あるんだよな。」


自分たちのほかにも謎の物体を配っている勢力がいるのは確認されているようだが、そのようなことになっているとは資料になかった。


アカリという少女も、負けた結果吸収されたことが記載されていたが、その詳細については不透明だ。


「そうか。その謎の物体が何なのかが、まったくわからないが、それでも情報提供ありがとう。


このことを情報として上に流すから、君たちもこれから先、気を付けてくれ。」


正直私としても、ここまで危険なことがあるのかと驚きつつ、謎の物体についてのデータは一応とれているので、それをほかの研究者に流して解析してもらうことにする。


「ところで、おばさんはどうやってついさっきのやつを呼び出したの?」


ショウからの質問に、そのことについて共有せねばと答える。


「見た目はパワーストーンみたいな、真っ黒な石にピンク色のさしが入っている、金具が付いたキーホルダーのようなものだ。


正直、ペンダントトップにも見えないことはないが、とにかく石だと、私は認識したな。


形も水晶みたいな、三角の頭をした五角形の柱、みたいな形をしていた。


それが川べりに落ちていて、誰かの物かと思いつつも、どうしても気になってしまい手に取った。


そうしたら、あいつが出てきたわけなのだが、結局あれはなんだったのだろうか。」


トモミにぐちゃぐちゃにされていたあの姿を思い出さないよう、慎重に詳細を言えば、男の子たちは顔を見合わせた。


「やっぱ、一人ひとり全然形違うんだな。」


「それ自体がトラップじゃないのか?」


二人が顔を見合わせてそんなことを言っているので、気になり話に割り込んだ。


「とらっぷ?なにかあるのか。」


私が問いかければ、相手は答えてくれたが、その答えがなんとも不思議なものであった。


とあるものは丸い球体をしており、とあるものは複数のとげが出ている星型、とあるものは四角形で、とあるものは三角形と楕円を組み合わせたような形をしているそうだ。


そしてそれらに共通する色味は黒、銀、しかなく、あとは何色かのさしが入っており、黒と赤、黒と白、黒と橙色、黒と青、黒と灰褐色、黒と緑、黒と黄緑だってあるし、黒と黄色ももちろんある。


アカリのものは透明だったそうだが、その色のものもあるらしく、本当に学校に蔓延しているのだと、困った顔で教えられた。


様々な系統の黒との組み合わせで、それらによって力も異なっているらしいが、その物体を持っているものが、ボスとなって人を従えがち、なのだそうだ。


「なんか、物体を持っているものが強気にほかのやつらに声をかけて、その声に応じなかった奴をいじめている、みたいな感じ。


俺らの学年二クラスしかないのに、自分たちのほうが強いんだってやつが、ほかの学年にもいろいろと広がっているらしくてさ、手に負えないって、先生が嘆いてんだよ。」


「おれらみたいなの、ほかには本当にいなくて、使い魔を連れている奴を敵対視したり、逆に使い魔を奪おうとして来たりで、本当に困るんだよなぁ。」


ショウとマサトシが悩んでいる中、今日の初っ端に話していたことを思い出す。


「そういえば、このはな戦隊って言ってたけれども、あれはもしかして?」


私が問いかければ、ショウとマサトシが笑顔でうなずく。


「俺らが学校の治安を守る、風紀委員のこのはな隊として!学校を守ってるんだ!」


「謎の物体を持った奴らを仲裁したり、いじめられている奴を保護するのがおれらの役目だからな!


正義は悪にいつだって打ち勝つし、正義は少数派だってのは、昔っから決まっているからな!」


二人が笑顔で言っているのがまぶしいが、どことなく無理をしているのが見てとれた。


なので、私としても腹を決めることにする。


「わかった、これからは小学生たちの方にも卵を配ることにしようじゃないか。」


「「本当か?!」」


二人が笑顔でそんなことを言うが、私としても考えねばならないことがたくさんある。


「だが、すぐには渡せないし、小学生の方に意識を向けていなかったから、随分と大変なことになっているのは理解している。


だから、少し時間をくれ。」


悩んだような言葉に落ち込んだような表情を見せる二人だが、トモミがフォローしてくれる。


「大丈夫ですよ。ハラさんの代わりに、中学生のお姉さんお兄さんを向かわせます。


お二人とも近しい、心強い中学生のお兄さんがいるじゃないですか。」


「それは、機械オタクのフジキお兄ちゃんと、頭がすごくいいユシタお兄ちゃん、体力お化けのトモシゲお兄ちゃんのこと?」


そんな三人組がいるのかと、脳内に記憶させているうちに、話は続いていく。


「そう、その三人。いざとなれば、三人を呼んでくれれば、きっとどうにかしてくれるよ。


あとは、切り札となる二人。


ハジメ君とヨリカちゃんのことは覚えてる?」


二人の名前も知らないので、この場で覚えてしまうが、二人は理解したように頷いた。


「あの二人なら強いね、いろんな意味で。」


ショウが納得したように頷くのに、マサトシも同意するように頷く。


「だから、何かあったら、二人も呼んでね?


きっと助けてくれるはずだから。」


トモミの言葉に、二人は元気が出たのだろう、大きく頷いていた。


「さて。ハラさん、そろそろ立ってください。家に帰りますよ。」


トモミが手を差し出してきたから、目を拭ってからその手を掴んで立ち上がり、二人はタカマサの意識を取り戻させようと、顔をペシペシ叩いて起こしていた。


その後私たちはお菓子の空袋を持ち、私の家へと戻り、その過程でハマノとシンリュウにも連絡を取ったので、家では二人が待っていた。


私と三人が事情聴取を受けているあいだ、トモミはシャドー達に食事を作ってあげ、それをシャドー達が食べ終えたところで解放となった。


「まさか、小学生どもの方でそんなことがあったとは……。あまりに盲点だったため、うかつだったとしか、言いようがないな。」


ハマノが頭を抱えているのに、シンリュウも顔を覆って悩んでいる。


「正直、中学生たちを強化できればいいやー位にしか考えていなかったから、そりゃ小学生の方が狙いやすいよねー。


やっば、完全に盲点だった、バカだったわ私。」


「自分もそうだ、小学生どもは真っ先に狙われるっていうのにもかかわらず、その謎の物体が配られている時点で、ちゃんと情報収集しておけばよかった。


くそっ!こんなにも自身が愚かだったことなど、未だかつてないぞ!」


二人が苦しんでいるのもわかるが、私は研究資料を読み込んだだけなので、ヤバさはわかるが、その物体のヤバさ自体はよくわかっていない。


「えっと、これからは私、どうすればいいんだ?」


完全に現在の私は愚者の体をしているので、聞くしかない自分がむなしいが、それにより的確な説明がなされる。


「おまえは、いつも通りに、研究を続行しろ。」


「は?」


「かおりんはいつも通りでいいからね?これらの処理は、私たちがするから!」


「馬鹿にしているんだな?」


二人が保護者のような様相をするから、私としても怒りが芽生えてくる。


「確かに私は今現在、記憶喪失ではあるが、ワンダーエッグとドリームエッグの研究者でもある。


そのものにこの件に関わらせないというのは、いささか馬鹿にしすぎではないのか?


あまり舐めていると、ひどい目に合わせるぞ?」


言いながら、私がシャドーを呼び寄せると、近くに短髪で青い毛のシャドーと、赤い髪のシャドー、ショートヘアーに一筋の金メッシュが入った、それぞれ人のシャドーがやってきたが、それに対し二人は笑顔を向ける。


「おまえのことを軽んじているのではない。


ただ単に、研究のかなめとして機能してほしいと言っているんだ。」


「当然情報は渡すし、そのことを研究してくれればいいから。


戦闘とかももちろんやってもらうけれども、基本的には私たちの行動に任せてほしいの!


大丈夫、馬鹿にはしてないから。」


「絶対に馬鹿にしてるだろうが!」


ニコニコの二人に対して怒鳴れば、一緒に居た男の子三人組は、面倒くさそうな顔でこちらを見てくる。


「よーするに、いつも通りでいいってことは、使役獣のことをお世話する手伝いをしてくれるだけでも、十分に価値があるってことじゃん?」


「別にいいじゃん、使役獣のお世話が大切なのは本当だし、それ以外に仕事がないのはさ。」


「俺は講習会好きだから、いつも通りで良いと思うけどなー。


忙しくなったらさ?仕事で追われて講習会できなくなるんじゃないん?」


適当なことを言うショウ、マサトシ、タカマサ、そこにトモミも加わって、私にいつも通りで居ろと言ってきたので、私も音を上げた。


「わかった!わぁーかったよ!普段通りでいりゃいいんだろ?!


はぁ、どうせ私に仕事が回ってくるんだし、そのあたりは気にしないことにするよ!」


降参を告げれば、みんながホッとした表情をするので、それにムカムカするが、もうこうなってしまえばどうしようもない。


それぞれが会話しているあいだ、食事を終えた私のシャドー達と戯れ、気分を発散する。


「そういえば、こいつらの卵の情報はとったのか?」


近づいてきたハマノにそうやって聞かれ、私が首を横に振ると、相手は深いため息を吐いた。


「お前は自身の仕事をすっかり忘れている上に、しっかりと仕事内容も把握できない無能だったとは。


その様子だと、未だに自身の日誌内容も深く読み込めていないと見た。


いつから無能のくせがついたのだ?あぁ、記憶喪失になる前から無能だったか。


仕事内容が書かれた資料を読み込まず、一番大切を忘れているお前に、教えてやる義理もなかったか?」


大いに嫌味を言われ、私としても反論が出る。


「わ、私はただ!未だに記録を読み込んでいないというだけであって、忘れていたわけではないからな。」


「ならばなぜ、家に帰ると同時に読み込みを行なわなかった。


その時点で自身が記憶がないことに胡坐をかき、仕事を放棄しているという風にとられても仕方ないことだということを理解した方がいいぞ?


あぁ、自分は親切だなぁ?こうやって仕事のことを思い出させたのだからなぁ。


まったく、無能相手に話をするのは疲れる。」


相手の言葉にイライラしたので、反論する前に行動に起こし、すぐに卵を回収、そして解析機の使い方を確認しながらポッドに入れ、そしてデータ吸出しをしたら、とんでもない量のデータがパソコン内に入っていくのが見てとれた。


時間にして一つ30分、どれだけデータを取っていなかったんだといえば、数週間にはなるだろうが、それだったとしても、超高速のデータの読み込み速度の割には、情報が大量すぎる。


何百何千ギガにもなるデータを読み出し、それらの解析をするとなったら時間がかかるだろう、だからあいつは無能と言ったのだということを理解するくらいには、機械がオーバーヒートしていた。


とにかく吸出しが終わり、三人にデータを渡せば、お礼を言って受け取り、三人は帰っていった。


その後、色々と会議のあとにシンリュウとハマノも解散となり、我が家には平穏が戻ってきたので、料理を作って皆に振舞う。


「それにしても、今日のあの黒い何か、何だったんでしょうね。」


食事をしながらトモミが問いかけてきたが、思い出したくなさ過ぎて身震いをする。


「言うなよ、思い出したくもない。」


「ですが、今後ああいったやつと渡り合わなきゃやっていけないですよ?」


そのことを言われ、私としても嫌な気分になり、ご飯を掻っ込んで食べ、飲み込んでから結論のように言葉を出す。


「正直、考えたくないから、何も言うな。


あと、一人だと襲われるかもしれないのが怖いんで、トモミ。


一緒に風呂に入るか、出るまで話しててくれないか?」


真面目な顔で言えば、トモミは笑顔で応じてくれる。


「わかりました、なるべく別の話を提供しますね?」


「本当に、お願いだぞ?」


「はい!」


しかし、風呂に入ってからは、黒い何かの話が続いたせいで怖くなり、誰かに添い寝をしてもらいたくなった結果、シャドーは卵状態で寝かさねばならないので、トモミから等身大のクマを借りて、寝ることにした。


なんとも滑稽ではあるが、仕方ないことだと理解することにした。

次からは普通の日記となりますので、よろしくお願いします。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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