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DAY218(土)5月4日

DAY218(土)5月4日


朝からシンリュウがたずねてきて、私の化粧をトモミに指示したあと、どのようなスマホケースを買いに行くのかを話し合った。


私としては群青色が好きなので、そういった青紫のようなものを購入したいと言ったら、トモミは茶色や黄色、あるいは赤がいいと言ってきたので、色も決まったことだしと化粧も終えた私たちは、ヨモバシカメラとブラックカメラがある駅へと、シンリュウの車に乗り込み向かった。


私たちがたどり着いたそこは、様々な施設が入っている駅ビルといえばいいのだろうか、その場所に入っているヨモバシカメラで、スマホケースコーナーに行くと、多種多様なケースが売られているのが目に入った。


手帳型、クリアケース、動物を模したもの……様々なケースが売られているが、その中でもひときわ目を引いたのが、スピリチュアルや中二臭い星座の書かれたスマホケースであった。


12星座を模したものらしく、スマホケースには様々な星座が書かれており、ストラップ部分にはそれぞれの星座がついているようだ。


おまけにストラップを引き抜けば、スマホ用のペンが出てくるようで、細かい作業などをするのにとても良さそうだ。


自分の星座を見つけ、トモミのことも呼び、どれか良いものがあるのかを尋ねたときに、音声が残っていたので、それを記録してしまうことにする。


「トモミトモミ!星座の書かれたスマホケースがあったぞ!トモミのはどれだ?」


私が手を振りながらトモミのことを呼びよせ、自分のスマホケースは手の中にしながら問えば、トモミは複雑そうな顔をする。


「私のは……ふたご座です。」


「ふたご座かぁ!えっと、ふたご座はぁ~……これだな。」


そういって私がスマホケースを手に取ると、トモミが嫌そうな顔をしているのに気が付いたので、手に取っていたものを元に戻す。


「あ、ごめん……いやだった、か?」


どことなくしょんぼりする私に対し、トモミが私のスマホケースを指さしてくる。


「ハラさんのスマホケース、なんの星座なんですか?」


「うん?あぁ、てんびん座だよ。


トモミはなにか、良いなって思うスマホカバーはあったかい?」


トモミからの疑問に答えた上で、トモミに聞けば、トモミはとあるカバーを見せてきた。


「どっちにしようか悩んだのですが、私は普通のクリアケースにします。」


そういって見せてきたケースは、確かにクリアケースで、何の装飾もないものであった。


「なにかデコったり、チェキでも入れるのか?」


私が何気なく問いかけてそれに、トモミは首を傾げて不思議そうな顔をする。


「デコるはわかるのですが、ちぇき?チェキってなんですか?」


私が何気なく問いかけたそれへの返しに、ボディーブローをくらったところで、シンリュウが合流してくれた。


「おっ!ジェネレーションギャップで死んでる大人がいる。」


シンリュウがそうやって私の状態を説明してくれたのちに、なんとか回復した私は、トモミに簡単に説明をすることにした。


「ち、チェキっていうのはな?四角い写真だったり、ポラロイドというカメラを使い、写真を撮る、みたいな意味だ。


要するに、即席で現像できるカメラで撮った写真、即席写真だな。」


トモミに説明したら、聡いらしいトモミは理解してくれたようだ、それを見たシンリュウが指を一つ鳴らし、こちらにとある提案をしてくる。


「そうだ!二人でプリクラ撮りなよ!ぜったいそうした方がいい!」


「ぷ、プリクラ?なんでだ?」


満面笑顔のシンリュウに若干戸惑うが、シンリュウは気にせずこちらに話しかけてくる。


「二人はさ?かおりんが記憶喪失だとはいえ、家族なんでしょ?


だったら記念にプリクラ撮りなよ!そうすればスマホに入れられるし、いい思い出にもなる!


めっちゃ名案!よっしゃ決まり!二人とも、そのケース買ったらすぐにゲームコーナー行くよ!」


「りゅ、リュウちゃあ~ん……」


リュウちゃんがそんな感じなので、私がそれに続くと、トモミの独り言が聞こえてきたが、それがその時にはどういっているのかが聞き取れなかった。


しかし、五号にはとれていたようで、今聞き返すが、どことなく気になるフレーズがあった。


「まだ、急いじゃいけない、一気に距離を縮めたら、また嫌われる。」


「トモミ?」


聞き取れなかった私の声も入っているようだ。


「はい!今行きます!」


私たち二人がスマホケースを買ったのちに、同じ施設内にあるプリクラコーナーへとやってきた。


私はプリクラなどとは縁のない人間だったので、こうやって目の前にすると委縮してしまう。


「こ、これがプリクラ……すごいキラキラオーラだ……」


私が圧倒されている中、トモミも同様らしく、二人して戸惑っていれば、シンリュウがさっさと暖簾を潜り抜け、ついてこないことを気にしたらしい、こちらに手招きしてきた。


「ほらぁ!早くはやくぅ!」


「あ、あぁ!」


私が声を出し、トモミが後ろからついてくる形で暖簾をくぐり、そうやって二人して入ったブースの中は、見たことのない場所であった。


一通り撮り終わり、プリントされたものを見てみたら、トモミとシンリュウが必死になってイラストを描いたものが随分とすごいことになっていた。


私の頭には猫耳が追加され、『ハラさん(はーと)ちゅっちゅっ』と書かれていたり、トモミには犬耳が追加され『だいちゅき(はーと)トモちゃん』と書かれていたりする。


そして二人だけで映ったものには、相合傘が間に書き込まれているが、丁度トモミが男性側、私が女性側の相合傘で、これを書いたのはシンリュウであるという事実。


というか、シンリュウ自身はほぼフレーバー的な立ち位置で、私たちを引き立てるようなポージングでばかり写っているという、チェキ風のプリクラが取り出し口からは排出された。


「な、なぁ……なんとなく、恥ずかしい……の、だが……?」


軽く赤くなっているだろう私だが、トモミが抱き着いてこないのが不思議ともの寂しくて、こちらからその肩に頭を乗せ、そこで顔をぐりぐりとなすりつける。


「は、ハラさん?!」


「おまえはどう思うんだよ~ともみぃ~、ちょっとだけ恥ずかしいって思うのは、仕方ないだろ~?」


そんな感じにじゃれついている私に対し、リュウちゃんが言葉をかけてくる。


「そんなこと言って、本当は一緒に撮れてうれしいくせに。


私知ってるんだよ?かおりんが本当は誰かと一緒にプリ撮りたいって思ってたこと。」


「ちょ!それ言わなくてもいいじゃん!確かに本当は嬉しかったけどもさぁ、こちとら人生でプリクラとは縁のない人生だったんだし!元からの陰キャには、プリ機はまぶしすぎて入ることでさえためらわれたんだからさぁ?!」


シンリュウがニヤニヤと告げたそれに顔をあげ、その顔を赤くしながら反論したが、トモミの声で意識が引き戻される。


「ハラさん、誰かとプリクラ撮ったこと、ないんですか?」


そんな言葉に対し、すぐに即答する。


「当然だろ?友達だっていなかったし、こうやってプリ撮る相手なんて、誰もいなかったんだからさぁ?」


「シンリュウさんとも?この3人でたった今一緒に撮ったのが初めてだったんですか?」


意外そうなその言葉に、少々けなされた気がして不貞腐れてしまう。


「言っただろ?初めてのプリクラだったんだって、別にトモミは誰かと一緒に撮ったことあったかもしれないけどさぁ、きっと私は人生で初めてのプリクラだよ。


記憶がなくなっているから、なんとも言えないけどさぁ、それでもこれが初のプリクラなのは確かだよ。」


再度トモミの左肩に顎を乗っける形でムスくれると、トモミの手がこちらに伸びてきて止まり、下ろされたのを見て、私も顎を乗せるのをやめる。


「まぁだけどさ?いい思い出にはなったじゃん、サクラさんのスマホの裏に入れられるわけだし、オールオッケーじゃない?」


「ちょ、なに言ってるんですかシンリュウさん!馬鹿なことを言わないでください!」


シンリュウの言葉に反論するトモミのことが不愉快で、ムスッとした顔のまま後ろを向く。


「べつに、トモミに喜んでもらうためだったし、私も楽しかったけど、トモミが嫌ならべつにいいし。


確かにそこに入れるのは普通好きなキャラだったりするし、私との写真入れたくないのもわかるし、べつにいいし。」


後ろを向きながら存分に口を尖らせれば、シンリュウがからかってくる、そのままその場を離れようとすると、誰かに手を握られたので振り向く。


「なに」「私はハラさんのこと大好きなので!ずっと離れたくないくらいには大好きなので!」


そこにはトモミが必死の顔でいたが、それだけで気分がよくなるのはおかしくないだろう、きっと顔にも出ていたそれに、トモミも嬉しそうな顔をした。


「ハラさんと一緒に撮ったものは、私の机の引き出しに入れておきます、そして残りは筆箱などに忍ばせるので、それでいいですか?」


排出口から吐き出された複数に分かれたそれらを手に、そんなことを言うので、そのうちの1枚を抜き取る。


「これは私のもの、拒否権はないからね。」


全員に行きわたるように分けられたそれは、今日のことを如実に示していて、気分が良い。


「はい!わかりました!」


トモミが笑顔をむけてくるので、それだけでうれしくなってしまい、こちらも照れてはいるが笑顔を向ける。


「おやおや?私のことは忘れているねぇ、ね~え~、そろそろ移動するよぃー」


シンリュウがそんな感じに近くから話しかけてくるので、私たちも移動することにした。


みんなしてどこの店で食べるかを考えた際に、ラーメンということになったので、何系とかはまったくわからないままに飛び込んだラーメン店は、白湯スープのおいしいお店だった。


そのあとに車に乗り込み、家に帰るまでの間、シンリュウからはこれからの研究計画を教えられた。


どうやらリュウちゃんも子供に卵を配り、その研究を任されているということで、ワンダーエッグをクラスにばらまくのだそうだ。


ゴールデンウィーク明けにそれを行ない、私同様に講習会を行なうのだそうだが、それを週に一回、総合的な時間に行なうとのことで、最近の授業計画ではみっちみちなはずの子供たちの時間のうち、金曜日に設けられたその時間を使い、講習会を行なうのだそうだ。


そして、私には七不思議の立場として君臨してもらい、『学校に出る鞭女』の七不思議を『合言葉を言えば不思議な卵をくれる人』という設定を付け加える、とのこと。


それはシンリュウ、学校ではトウサカリュカ先生と呼ばれている人の本名フルネームを知っていて、自分にそれを知っていて、訪ねてきたうえで、合言葉である『狐の関係者で、卵を持つ人を知っているか』を言ってきたうえで、多少の面談を終えた後、私のことを呼びだし、私の面談を行なった後、卵を受け渡す手筈となるそうだ。


自分のクラスにはある時間にばらまき、その後別のクラスの者にはその手筈で受け渡しを行なうとのこと。


組織には既に命令を受けているそうで、そうやって私と連携して、研究を進めてほしい、とのことであった。


車の中でその手のことを一通り聞いた後、家にたどり着き下ろしてもらい、リュウちゃんは去っていった。


トモミと二人で家の中に入れば、いつも通りであろう風景がそこには広がっている。


動物たちも人も歓迎してくれて、一部の者は楽しそうに探し物絵本を見ている、夏が近くに感じられるような、そんな光景の中、私が感じた違和感を追及するために、未だに読んでいない日誌を読むことにはしたのだが、やはり読もうとすると気持ちが重くなってしまい読み進めることがなかなかに難しいのはなぜなのだろうか。


また日誌を閉じ、午後のまだ日が明るい中、研究をしてしまおうと研究室に入る。


つい先日から再開し始めたそれらをもっと精度を上げるために、私は色々と資料を読み込みつつ、止まっていた研究についても手を付け始める。


むやみに手を付けるのではなく、情報の収集を基本とした作業の自動的な部分が終わるまでの暇なあいだに、できることをやってしまう。


それは、きっと記憶をなくすまでの私が溜めていたであろう情報整理の作業、つまり解析の作業の手作業の部分と、それのグラフなどを作ったりしての資料作り、そしてそこから観測される意味などの確認といったところだが、私が丁度成長期ラッシュのところで何らかの不調をきたしたのだろう、結構仕事が滞っている。


その部分を色々としていたら、いつの間にかに夜になっていたらしい、扉のノック音とトモミの声により気が付いた。


一緒の食事というものを久々にしたような感覚に襲われたが、別にこれまでも一緒に食べていたはずだと感覚を否定したりした。


寝る前には、再度研究の確認などもしたが、ヨリカにハジメとそれぞれマーカーがなされた卵が様々な動きをしているのが見てとれるが、それよりも更に異様な動きをしているのが、ついこの間来たアマチャンと言っていたから、きっとあの者なのだろうマーカーの動きだ。


アマチャンが移動しているのが、県内の田舎の方、それも市内ではなく市外、自転車で行くには遠い場所に、点滅するマーカーがなされているのが見える。


そして途中でそのマーカーが途切れ、いなくなったことが確認された。


あの者が一体どこに行ったのか、そしてマーカーが途切れた場所である森には、一体何があるのか、それを確認せねばならない。


マーカーが途切れた場所を記録してから、寝に入るとする。


日誌も記録したし、今日は終わりにするか。

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