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DAY23(日)10月22日

DAY23(日)10月22日


今日はドリームエッグの講習会だ、今日も適当に作った名簿を見ながら点呼を取る、その時の参加者の中に、これまた親御さんがいたため、その人たちが納得するような説明をした。


基本的にはワンダーエッグと大体流れは同じで、内容もあまり大差がない。


それを思いながら、前日に作った資料を元に説明をしていく。


今日はすんなりと終わりそうだと思ったが、やはり小学生の子達は飽きたらしく、こっそりと遊び始めたから、連れてきていたドリームエッグを変化させて、その子たちと遊ばせることにした。


その時の親御さんの反応が、持ってきていたワンダーエッグの中に入っていたので書いておく。


「あら、本当に服装が思い通りに変わるのね?」


ドリームエッグで子供の服装を変化させることができると、改めて教えたときに、誰かの親が感心したかのように声を出した。


「はい、合言葉を言うだけで、その日の格好が決まります。


ですが、その際にドリームエッグのシャドーはそのままになるので、そのシャドーが近くにいなければ、変身は解けてしまいます。」


その親は、なにやら考えるそぶりを見せた後、こちらに問いかけてきた。


「それで?この配られたドリームエッグは、今すぐにでも、子供の服装を変えることができるのかしら?」


ちなみに、この時は食事と卵に戻す方法、何故食事が大切かを伝えたところで、まだ飼育方法などは話していない。


「それは無理です。服装を覚えこませたり、しっかりと確実な変身をするまでには大体、3か月はかかります。


それまでの間に変身方法を覚えさせるため、何回か鍛錬を積ませることはできますが、幼体の間は基本的に様々な洋服を覚えこませる為の、勉強期間だと考えてください。」


私が説明すると、親は途端に声を荒げ、こちらを非難し始めた。


「その間に季節は変わるじゃない!それだと遅いわ!」


そんな、ある種の理不尽さに対して、あぁ、この親は面倒なタイプの親だと直ぐに分かったが、それを顔に出さずに否定する。


「このドリームエッグは見た目が変わるものです。


寒暖差には対応していないので、防寒対策などは各自で行ってください。」


私がそう説明するが、親は苛立たし気にこちらを見て来る。


「防寒対策にならないなんて、そんなの不良品じゃない!」


なんだかヒステリックな感じに怒り始めるその親に、どうしたものかと頭を悩ませる。


「いや、不良品だと言われましても……」


そう困っているとどこからか、こちらに対してであろう、チラチラとした視線を感じ、そちらを見てみる。


その視線の正体は、どうやらアカリらしく、なにやらこわごわとこちらを見てくる。


つまりこの人は、アカリのお母さんか、親が謎のクレーマーだと大変だな。


そんなことを考えながら、ドリームエッグの使える理由を適当に述べる。


「その代わりに、子供の情操教育にはうってつけな代物となっております。


家族で育てたペットと一緒に、様々な体験を共に積み、そのうえで自分がしたい格好に変身も、()()()


女の子が好きそうなワンピースやスカート、ブラウスだって、一式全てセットアップでそろえることも可能なのですよ。」


私がこう言っても、この大人は話を聞いていないのか、聞いていて聞かないのか、どちらなのかはわからないし、知らないが、こちらに噛みついてくる。


「それでも防寒対策にならないなんて!やはり不良品と言って、過言ではないですわ!


防寒対策には、自前でそういったものを用意せざる負えないんでしょ?


それにやはり、子供に着たい服装を選ばさせたりしたら、きっとろくなものにならない。

私が選んだ、機能的で、かわいらしい服装が一番!


おまけにお世話だって大変!こんなもの、すぐに返します!」


そんなの、子供の自由意思を奪っているうえに、何も考えずにただ、ドリームエッグをお世話したくないだけじゃないか、アカリだっておろおろしている。


「一番のメリットはありますよ。」


ため息を抑えつつ、相手の怒りに対して、譲歩を促すための笑顔で相手に接するが、相手は怒りを抑えずに唾を飛ばしてくる。


「何を言われても!私の意見は覆りませんよ!」


そうアカリママがプリプリしているのを遮って、私は利点を伝える。


「こちらを育てたうえで、変身している間は、車に引かれようが、高いところから落ちようが、クマやイノシシといった野生動物に襲われようが、何されようが大丈夫、という点が一番のメリットですね。」


私の話したそれを、疑いつつも気になったらしく、アカリママは動きを止める。


「ふ、ふん。そういって、私のアカリによくないものを渡したんでしょう?

そんなの、嘘に決まってます。そんな都合のいいものなど、この世に存在などしないですし!」


こちらに疑惑の目を寄越(よこ)している割には、興味の先行が見て取れるアカリママに対し、私は首を振る。


「いえ、真実です。

それではやってみましょうか。


シン、おいで。」


そういって、子供たちと遊ばせていたドリームエッグの一体を呼び寄せる。


トコトコと歩いてきたシンが、こちらを見て来る目は、指示されるのを純粋に待つ、純粋無垢な色をしている。十分にドリームエッグが近づいたのを確認してから、合言葉を言う。


「ドリームチェンジ。」


そうすると私の姿は、エフェクトのようなもので覆われ、エフェクトが静まった時には、今まで来ていた黒のジーンズに白のシャツから、下が膝丈(ひざたけ)フレアスカートで、上がパフスリーブの、かわいらしい長袖のシャツ姿になった。


どちらもCUの服を模倣したものだが、これが一番少女趣味で、防御力が紙であるように見える、無難な服である……と思う。


実際、ユニオロのような地味な服装でいいやと思っていたのだが、こうなったのはある種事故ではあるが、それは気にしないことにする。


「こういった、一見何らかの衝撃を受けたら、すぐ破れたり、あざが出来たりしそうな服装ですが、これでも相手からの衝撃を吸収し、人体への影響が出ないようになっています。」


ドリームエッグは、近くで二頭身の犬のぬいぐるみみたいな、某女児アニメのマスコットキャラのような姿になった。


「試しに私を攻撃してみてください、そうですね……。」


そういって、懐からワンダーエッグを取り出す。


「シャドーチェンジ。」


すると、卵の状態から直に、ガラスのボトルにしか見えないような状態に変えて、おもむろに相手に渡そうとする。


「はい、これで私のことを、思いっきり殴ってください。」


「は?」


満面の笑顔で渡そうとすると、アカリママは固まった。


そりゃそうか。いきなりガラスのボトルで、殴れなんて言われて、はいそうですかといえる人がいたら、そいつは異常者だ。


まぁ、そんな異常者が使役者には沢山、いるんだが。


「そんな危険なこと!できるわけないじゃないですか!」


アカリママが動揺で叫ぶのに対し、私は内心残念だなと思いつつも、顔色を無くしながら静かに答える。


「そうですか、それでは。」


そういって、ワンダーエッグをカッターナイフの形に変えて、思いっきり腕に向かって垂直に突き立てた。


「「「きゃあああああ!」」」


複数の悲鳴が聞こえてきたが、そのままカッターナイフを前後させたり、何回か突き刺してから引き抜くが、カッターには血がついていない。


「はい。いま私の腕にカッターを突き立てましたが、血はついていませんね?」


そうして私は、腕まくりをして、突き立てた場所を見せつける。

とにかく複数回刺したそこには、何の跡もなかった。


「腕に刃物の跡はありますか?」


それに、そこにいた全員が確かめるように腕を見る。そして、なにかのマジックを見るような、ギミックを解こうとする眼をしはじめた。


「どんなトリックを使ったの!?或いは、元から刃が引っ込む様な、そんな仕掛けがあるんでしょう?」


疑わし気なその顔を見て、どうすれば信じてくれるのだろうかと思いながら、持っていた余分な紙を手に取る。


「トリックも何も、衝撃を吸収したのです。簡単に言えば、身代わりに吸収させました。」


そう言いながら、何枚もある紙にカッターを突き立てたり、紙を切り裂いたりして、色々とやった結果、カッターが切れるという事を信用してくれたらしいアカリママが、目を丸くする。


「身代わり、ですか。」


「はい。」


やっと信用してくれたアカリママの目の前で合言葉を唱え、ドリームエッグの変身を解く。


「変身解除。」


ドリームエッグのシンが、人形(マスコット)型から人型に変わり、私がハサミを突き立てた個所に対応する場所を、シンが着ている服をめくり、確認すると、突き立てたり引いたりした結果である、赤い無数の線がなっていた。


だが、そのどれもからも血は出ておらず、カッターほどの太さでひっかいたような、そんなひっかき傷になっている。


「このように、怪我をした時などの衝撃は全て、ドリームエッグに行きます。

なので、致命傷になったとしても、その時に使用しているドリームエッグの大破で済むのです。」


そう説明をすると、親御さんは納得したみたいな顔をして、子供たちは青ざめる。


「確かにこれだったら……子供に持たせたほうが、いい、かもしれない、わね。」


多少の動揺を見せつつも、納得したような顔をする親たちをかいくぐり、トモミが明らかに動揺したような顔で近づいてきた。


「ハラさん!そんな、ドリームエッグにそんなのって……ドリームエッグがかわいそうなこと、しないで下さい!」


トモミが心配そうな、泣きそうな顔で嫌がる。どうやら、ドリームエッグが感じるであろう痛みに対して、かなり気にしているようだ。


「大丈夫。ドリームエッグはこの程度、屁でもない、少し引っかかれた程度だ。それに、そんなに心配ならば、日ごろからダメージが行かないよう、気をつけて行動をすればいいだけの話だしね。」


私が心配いらないといった具合にいうと、トモミの顔は曇ったが、理解はしてくれたようだ。


「それは、そうだけど……。」


どもるトモミを無視して、親御さんにこれも言っておく。


「大怪我の衝撃はある程度は吸収しますが、完全に衝撃を吸収することはできません。


ですが、怪我が残るような怪我はしないようにできています。


なので、多分ビルから落ちても、クマに襲い掛かられても、理論上は五体満足で生きてはいるとは思います。」


私が反社から奪ってきた資料にあったことを思い出しつつ、そう答えれば、アカリママ以外の親の一人が、感心したようにため息をつく。


「それは、すごいわね。」


ため息をついた親が言うのに対し、私は軽く「そのように言っていただき、幸いです」と、お礼を告げる。


更に言うと、やろうと思えば空も飛べるようにもなるので、ちょっとした高さから落ちても大丈夫だということが言えますね。


とも言おうかと思ったが、今はやめておいた。まだ完全にそうと決まったわけではないからだ。


「それもこれも、しっかりと育てた先にある、副産物のようなものですね。どう育てるのも自由ですから、どのような感じに育つのかは、そのご家族次第、ということにはなりますね。」


区切りながら告げたことで、親たちの関心が良い方向に行ったのを確認したので、シンを子供たちのほうに向かうように、遊ぶように指示をすると、嬉しそう、かついたずらっ子に感じられる笑みで、にっこりと笑って、子供たちの方に走っていき、楽しそうに輪の中に混ざっていったため、手に持っていたワンダーエッグも元の卵の形に戻すことにする。


「シャドー解除。」


元の形に戻った卵を懐にしまい、今日集まった人たちに顔を向ける。


「卵自体は大体、時速100kmの車に10回轢かれたくらいで、一週間の療養期間を頂くくらいには、最終的になりますね。


そして、最終的に完全に壊れるとされるのは、休ませずに何度もダメージを受けて、最後に電車に轢かれたくらいの衝撃を受けたら、になるとは思います。」


私が反社の研究結果のレポートを見た限り、今までで最大の、壊れるまでダメージを受けたドリームエッグが、どれくらいの強度なのかが書かれた研究結果を見てみた結果、そのくらいになると書いてあったはずだ。


「あくまで目安です、実際には試さないでくださいね?」


やらないとは思うが、一応、そうやって釘をさしておく。


「それなら、子供たちを守る上でとてもよさそうね。情操教育にもよさそうだし。」


「ちなみにいえば、変身したとしても、触れた感覚や多少の衝撃などはわかりますので、ずっと変化していることによって、痛みに鈍感になってしまい、危機回避ができなくなるわけではないので、そこはご安心ください。」


そうして、ほかの親たちの評価を受けたからか、アカリママは悄然とした様子で、不服そうに引き下がっる。子供達も何やら言いたげだが、そのまま説明を続ける。


その後は飼育方法と別の形態への変化方法、最終目的を伝え、期間はワンダーエッグ同様一年間ごとに区切りをつけることと、この講習会を1か月に一回行うことを伝えた。


なお、最終目標のところは研究のためではなく、子供たちの情操教育の一助になるようにの、テストサンプルの無料提供ということにした。


こちらにも、1か月に一回の講習会の際に、交流会の場も設けることとすると伝える。


ワンダーエッグでは、戦闘の披露宴になるかもしれないが、こちらは覚えさせたものによるファッションショーになりそうだ。


そんなこんなで講習会も終わり、解散としたが、そのあとすぐに親御さんから複数質問があり、それら全てにも答えた。


なんだか、子供の子守りに使えるのかという質問が多くて、そういった需要が高いことがわかったが、共働きがニュースで見た通り、多いのだろうか?


親たちが納得を多分したであろう、それぞれがそれぞれ散り散りに去っていくので、その後に家に帰ろうとしたら、残っていたトモミちゃんが話しかけてきた。


「ハラさん。この子達は危ないことから、私たちを守ってくれるのですか?」


おずおずといった感じに話しかけて来るトモミに向かって、素直に頷く。


「うん、そうだね。この卵はそういう目的で作られたものだからね、それで正しいよ。」


正直、まだわからないことが多いけれども、それは言わずにそう返しておく。


「おまけに、ご飯を与えてお世話をするって、完全に動物ですよね。」


それに対し、フム、と顎に手をやって、つい思考が飛んでしまい、考え込んでしまう。


「どうぶつ……確かに動物なのかもしれないね。」


基本的に、卵なんかには感情なんてないと思っているから、正直動物なのかもわからないのだ。


「私、ずっと生き物係をしてきました、今でもです。


なので、二回目になりますが……ハラさんが使役しているシャドーたちのお世話を、私にもやらせていただけませんか?」


トモミが決意を目に込めて言ってくるから、思わずため息を吐く。


「あのねぇ……まだお世話をしていない子からの言い分なんて、聞くと思って?


まずは自分のドリームエッグを、ちゃんと責任をもって、お世話できるようになってからね。」


私がなるべく突き放すように言うと、トモミは明らかに残念そうな顔になった。


「やっぱり、そうですか。」


明らかに残念そうな声色ではあるが、納得もしているらしい。


頷きながら、意思を持った目でこちらを見て来るのを、まっすぐに見ながら頷く。


「そうだよ。まずは自分の子を大切にしな、それが大前提。


それが出来てから、ほかの個体のお世話をやらせてあげるよ。」


正直、お世話役が増えるのはありがたいことではあるが、軽い気持ちで手伝われても困る。かなり長いスパンのお世話になるし、世話自体意外と大変だ。


それに、そのお世話というのも、別に私が使役している卵である必要もない。多分この子は、私の研究を手伝いたいのではなく、複数の動物に囲まれた生活がしたいだけであって、個体は関係ないのだろう。


まぁ、家出場所に私の家を指定してきているから、本当に私の家にいる個体の世話をしたいのかもしれないが……たぶん私の家に住まわせることはないだろう。


「やはり、ハラさんは優しいお方ですね。」


私が思考を飛ばしていると、そんな言葉が聞こえてきたので、目の前の存在に意識を戻すと、優しい顔をしたトモミが、私の意識が自分に来たことが嬉しいのか、にこりと笑って、こちらを凝視してくる。それに、自意識過剰かと思いつつも、本気で首をかしげながら答える。


「なんでそう思うんだ?」


自分のどこに優しさなどあったのだろうかと、理解できずに内心、目を回していると、トモミが笑顔で理由を述べてくる。


「しっかりとお世話できないものには、テリトリーに入らせないようにする。つまり、卵たちを危険な目に遭わせたくない、ということですよね?」


その目はすでに、思考はそれで確定しているとでも言いたげに、とても尊敬していますと顕著(けんちょ)に言っていて、どこがどうとは言えないが、体がむず痒くなる。


「あ、あぁあ~……うん……、そうだね。」


自分でもどう返せば良いのかがわからずに、適当にうなずいておく。正直触られたくないものが多いのも事実だ。


「わかりました!しっかりとお世話をしてハラさんに認められるように頑張りますね!」


私のすべてを理解したとでも言いたげなトモミは、嬉しそうにそれだけを言って後ろを向く。


「よろしくな。」


私もトモミの後ろから、それだけを言って、振り向かないその背に手を振った。


そして、最後まで残っていたトモミが帰った後、卵たちを呼び寄せ帰る支度をする。


その後は帰りに適当に買い出しをしてから家に帰った。


今日はお肉が多めに手に入った。あとは葉物野菜を多少手に入れたから、卵たちに手伝ってもらいながらご飯を作り、みんなして食卓を囲み食べた。


こうしていると、まるで大家族のようだ。


食洗器に食器をかけたあと、今日と昨日のことを報告書にまとめて組織に一括送信した。


これによって、第一弾の子供達の卵の状況が一部の情報を除き組織に行ったはずで、事前に説明済みであった情報の補強として使われるこれは、研究費と密接な関係のあるものだ。


子供たちの情報は、組織によってどのように扱われるかはわからないが、今後の支援をあらかじめ願っておいたので、何かあった時の保険として聞くだろう。


あと、情報を渡したことにより、組織からの支援が入ると思うので、子供たちが敵対組織に襲われるの防止にもなるだろう。


敵対組織に子供たちのことを知られるのは危ないので、先に情報を自分の組織に言っておくことによって、牽制にはなるだろう、守ってもらう際に情報が行っていれば応援を呼ぶときにも楽だ。


一日の業務を終えたので、今日は寝るとする。

明日は子供たちの卵についた発信機の情報を見ながら、自分の卵の調子を見るとするか。

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