(6)
とりあえず、その夜は、王宮に泊まり、翌朝、目が醒めると……。
「靴が……無い……」
「あ……お嬢様、ボクのもです。あっ……服も……どこ行ったんだろ?」
その時……。
「どうも、偽の王女様。私どもが偽王女様の身の回りの御世話をするように言いつかっております」
その声と共に部屋のドアが開き、メイドさん達が、ゾロゾロと入って来て……。
「あの……私達の服と靴は……?」
「さぁ……? 誰か知ってる?」
「知りません」×複数。
「覚えが全くございません。ああ、ただ、ちょっとゴミ捨ては……え……?」
「ちょっと来い」
ボクはメイド達のリーダー格らしいヤツの首ねっこを掴んで……。
「あ……あの……何、する気よ、エイミー?」
「大した事じゃないですよ。すぐ終りますから」
そして……。
どげし。
「うぎゃ〜ッ‼」
ボコッ。
「やめて〜‼」
どすん♪
「だ……誰か……助けて……」
ホントに、朝食前に聴くクソ野郎どもの悲鳴は最高だ。
「な……何、やってんの、あんた達?」
その時、寝間着姿の……変な顔したドラゴンのヌイグルミを持った小さな女の子がやって来て、そう叫んだ。
「あ……ひ……姫様……こ……これは……その……」
「えっと……ひょっとして……この子に命令されて、ボクとボクのお嬢様に嫌がらせをしたの?」
「ああああ……」
「お前ら、何やってるッ⁉」
その時、昨日の女騎士の怒鳴り声が響いた。