(4)
ボクたちを助けてれた謎の3人組が姿を消してから、間もなく、王都中に刻告げの鐘の音が鳴り響いた。
そして、開いた。
王宮の門……それも「王宮で出た急病人・急死人を運び出す為の門」が……。
出てきたのは……ボクたちと同じく、黒いフード付のマントに暗めの地味な色の服を着た2人組。
俗に言う「不浄門」にピッタリのこれから葬式にでも出席しそうな格好だ。ボクたちも他人の事は言えないけど。
ところが、その2人組は……あたりをキョロキョロと見ているばかり。
両方とも首を傾げる。
そして、その2人は……何かをブツブツと話し始め……。
「あ……あの……この手紙に書かれている方でしょうか?」
お嬢様は、その2人に近付き、手紙を渡す。
「おい、灯りを頼む」
「ああ……」
片方が掌を上に向けると、そこに魔法で作られた光の玉が出現。
両方とも口調は男っぽいが、声は女。
そして……。
手紙を読んでいた方は……何度も何度も何度も……手紙を見てから、お嬢様を見て、また手紙を見て、またお嬢様を見て……。
「すまないが、被り物を取っていただけないか?」
「は……はい……」
相手の顔は……フードに隠れて良く見えないが、愕然としている事だけは判った。
「あ……あの……失礼だが、本当にシュミット子爵の御令嬢?」
「は……はい……」
「え……えっと……御母上は建国八功臣の御一人にして初代国王の妹婿にあらせられるタルガ将軍の御子孫と聞いていたが……」
「え……ええ……分家のそのまた分家ぐらいの出ですが……」
「まさか……その肌と……髪は……御父上似なのか?」
「は……はい……髪と肌と目は……父親似です」
そんな話をしながら……案内役らしい女が見ているお嬢様の顔は……。
この国が建国される前から、この地に住んでいた、俗に……嫌な呼び名だけど……「病人肌」と呼ばれる白い肌に明めの色の髪と目の人種のものだった。
「早速、手違いか……」
魔法の光を作り出した方は……そうボヤいていた。