(3)
「何で、あたしが洗濯なんてやんなきゃいけね〜の? どうやってやりゃいいか、さっぱり判んね〜よ」
「あのさ、キミ、今まで、どう云う生活してきたの?」
獣化能力者をブッ殺せるらしい魔法の剣をどうするかは、とりあえず保留。
王女様(2人居る片方は偽物だけど)の侍女には仕事が多い。
しかし、この新入りが、侍女軍団をブチのめして面白い顔に変えてしまった。
今、無事な王女様付きの侍女は、ボクと、この新入りだけ。
そして、今日は……青い空に暑からず寒からずの気持ちのいい気温。
絶好の洗濯日和だ。
「ところで、何で、この手の服って意味の無いヒラヒラだらけなんだよッ? 洗いにくいッ‼」
「文句言わないッ‼」
「何で、下着までヒラヒラが付いてんだよッ? 人に見せないモノに手ぇかけて何の意味が有んだよッ‼」
「そりゃ、女の子同士で見せ合う為に決ってるでしょッ‼」
「そうなの?」
「まさか、キミ、同性の友達居ないの?」
「居るよッ‼ それぐらいッ‼……って思ってたけど……」
「けど……?……何?」
「あたしが友達と思ってた奴らは、義理であたしに付き合ってくれてたのかも知れない」
「ラートリー達の事?」
「うん……あの姉妹は……本当の母ちゃんの代りに、あたしを育ててくれた女性の娘……。赤ん坊の頃は2つのおっぱいを3人で奪い合ってた……らしい。覚えてないけど」
「え……えっと、あんまり似てないけど、双子だったの、あの2人?」
「まぁな……」
何かがおかしい。
王女様の護衛の魔法使いの妹だったよね……あの2人。
その母親に育てられた……けど実の娘じゃない……ちょっと待って、誰なんだよ、この新入り?