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(6)

「あ……あの……」

 続いて、ボクも、ある事に気付いた。

「な……何だ……?」

「何書いてあるの?」

「『そっちの手紙は受け取った。言う通りにする』とだけ……」

「その割には、文章が長かったわよ」

 更に第2王女も指摘。

「そんだけの内容にしては……顔色悪いけど……ひょっとして、その手紙、意味が判ったら、風邪でも引いちゃう呪いがかかってたの?」

「大丈夫だ。変な魔力の気配は無い。見せてみろ」

 魔法使いのサティさんは、ボクの冗談に大真面目に答えつつ、女騎士のウシャスさんから手紙を奪おうとするけど……。

「ちょっと待て……」

「何だ? ホントにマズい事が書いてあるのか?」

「……」

「何で、黙る? まぁ、これ以上、無茶苦茶な事なんて、そうそう……」

 すぅ……。

 はぁ……。

 すぅ……。

 はぁ……。

 ウシャスさんは深呼吸を繰り返し……。

「あ……ああ、その通りだ。さっきのは嘘だ。冗談だと思いたくなる程に、マズい事が書いてある。心を落ち着けた上で読め」

「安心しろ、あたしも魔法使いの端クレだ。修行の過程で平常心を保……」

 即オチってのは、こうゆ〜事だっけ?

 サティさんは、たった、一瞬で「平常心を保ってるフリをしてるけど完全に失敗してる」状態になった。

「何が書いてあんのよ?」

「あ……あ……大し……大し……あ……えっと……。す……すぐに、その……えっと……どの部隊に連絡すりゃいいんだ、こんな事?」

「に……偽物の王子様にも……言った方が……」

「と云うか……王都に向こうの国の正式な外交官が常駐してただろ……和平交渉以降は……」

「あと、こっちの大臣を全員集めた方が……」

「だから、何が起きてんのよッ?」

「く……く……く……」

「く? 何?」

「く……くま……」

「熊がどうしたのよ? 熊が王都内に現われて、向こうの国の酋長の息子が食い殺されたとでも言うの?」

 カクカクカクカクカク……。

 ウシャスさんとサティさんは……放心したような表情(かお)で……首を縦に振り続けていた。

「と……とりあえず、王都警固隊に連絡して……事実関係を確認させる。その後に国王陛下に奏上だ」

「あ……そうだな……まずは、事実関係を確認だ。ちょっと……私が警固隊の隊長んとこに行って……」

 どう考えても、テンパってる人が陥りがちな考えだ。

 借金の催促状が何かの間違いだと信じ込めば、借金そのものが存在しなくなる……みたいな。

 ボクの本来の雇い主である貧乏貴族の殿様も、借金の利子の返済日が近付くと、こんな感じになる。

「気を付けろと伝えろよ……。見付かったら、完全武装の警固隊の一〇人や二〇人でも、あっさり殺されるぞ」

「だ……だから、誰が何をやったのよッ?」

「えっと……その……通称……」

「通称? 何?」

「通称『熊おじさん』なる人物に率いられたヤクザ者達に……」

「はぁ?」

「何?」

「えっ?」

 お嬢様・第2王女・ボクは、そのマヌケな通称を聞いた途端、ほぼ同時にポカぁ〜ン。

「隣国の王子が人質になった模様です」

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