表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/59

(2)

「変な服じゃないよな?」

 女騎士のウシャスさんは魔法使いのサティさんに、そう訊いた。

「知らん」

「お前の妹だろ。どんな服を着るかとか知らんのか?」

「妹だが、半年に1回会うかどうかだぞ」

「着替え終ったぞ。何だ? 痴話喧嘩の最中か?」

「その服って……?」

 ズボンに膝まである詰襟・長袖の青い上着。

 腰には緑の帯。

 胸の中央には……丸の中に白地に黒(ぶち)の豹。

「ああ、東の草原の遊牧民の礼服だ」

 着替えが終ったラートリーは、そう答えた。

「でも、変じゃないか? なら、胸に描かれるのは、普通は部族の守護聖獣(トーテム)だろ。ウチの先祖は王家と同じ『狼』の部族だし……まだ、東の草原で先祖代々の生活をしてる連中に……『豹』の部族なんて居たか?」

「ああ、たしかに、草原の遊牧民の内、この国の王家に臣従を誓ってるのは……『グリフォン(ガルーダ)』『鹿(ボガ)』『(バール)』『野牛(ウヘル)』『クズリ(チョングロ)』『(ションホル)』の6部族の筈だが……」

 その時……。

「どうしたの?」

「えっ?」

 やって来たのは……妙に肌がツルツルで髪が濡れてるお嬢様と第2王女。

 しかも、着てるのは、2人ともバスローブ。

「あ……あなたは……あの時の……」

「あ……ああ……」

 お嬢様は走り出して、ラートリーの手を握り……。

「あ……ありがとうございました。あの時は本当に……」

「え……えっと……」

「誰?」

「ウチのお嬢様の……新しい侍女をやってもらう事になった……」

「ふ〜ん……」

「あの……何で、こんな時刻にお風呂なんですか?」

「武芸の稽古で汗が出たんで……『仮のお姉様』に、髪洗って、背中流してもらってたの」

「ところで……王女様。王女様が何で、わざわざ、武芸の稽古なんかをやってるんですか?」

「そりゃ……決ってるわよ。私が姫騎士になって……病弱な本当のお姉様をお守りする為よ」

 その時……。

 何故か、その場の空気が……。

 女騎士のウシャスさんと、魔法使いのサティさん……ついでに、ボクが連れて来たラートリーまでが……「えっ?」という表情(かお)になり……。

 そして……3人がそろって、口に手を当てた。

 何故か、ウシャスさんとサティさんは……吐きそうな表情(かお)で……ラートリーだけが必死で笑いを堪えてるような表情(かお)だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ