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「おい待て、冗談でも何でも無いんだよな?」

「え……ええ……」

 何1つ口にしてない昼食が終り、今度は、ホントに食物を口に出来る「第2昼食」。

 でも、何かが喉を通るような……心の余裕は無い。

 ボクとお嬢様が……王女様の偽物を演じる為に、王宮に入る直前……御忍びで飲み屋街に居た隣国の王子様が、たまたま、ボクとお嬢様を娼婦か何かだと思って「買」おうとしたのだ。

 世話役の女騎士と魔法使いに、その事を説明。

「バレてる可能性は有ると思うか?」

「判らん……向こうの王子が御忍びで飲み屋街に繰り出してたなら……こっちの王女様も同じ事やってると勘違いしてる可能性も……」

「でも、あの時間に、飲み屋街に御忍びで居る王女様って、どう言う王女様だ?」

「ああ、そうか……向こうの国では……男の御乱行にはクソ甘いのに、女がちょっと羽目を外すとアバズレ扱いだからなぁ……」

 芝居ってのは、不思議な事に、そういうものだ……。

 脚本がちゃんとしてる芝居の方が、アドリブは活かせるし、多少のアクシデントが起きても筋書は大きく変らないまま劇を続けられる。

 脚本がいい加減な芝居の方が……役者がほんの少しアドリブを入れたり……ほんのちょっとのアクシデントで全体がしっちゃかめっちゃかになる。

「あの……」

 ボクは手を上げる。

「いい手が有るかも知れませんけど……」

「どんな手だ?」

「あの……ウチのお嬢様付きの召使は2人まで連れて来て良かったけど、ボク1人しか居ませんよね? もう1人を連れて来ていいですか?」

「何の話だ? そもそも、誰を連れて来れば……この状況をマシに出来るって言うんだ?」

「向こうの王子様達を牽制出来そうな人を知ってます……。それも……ボクと同じ位の齢の女の子」

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