満月
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あの初秋、僕は恋をした。身の程知らずだということは分かっている。だけど、この気持ちは止まらない。もう一度でいいから、今度は、、君に、、
「ピピピッ、、ピピピッ」
「もう朝か。」
目覚ましに起こされた。なにか、大切な夢を見ていた気がする。最近何かを求めている。そんな事を考えていると。
「朝ごはんだから降りてきなよ〜」
「分かった。」
もう朝ごはんができたとお母さんの声が聞こえた。僕は、身支度を済ませて一階へと向かう。
僕の家は、普通の4人家族。お母さんにお父さん、そして妹。自分で言うのは何だが、僕は冴えない。何なら、クラスで端っこにいるタイプだ。会社だと窓際族。とか、その辺のいわゆる陰キャだ。
「はぁ〜、あんたのせいで味噌汁が冷めちゃうんですけど。」
「ごめんな。」
昔は、仲がよかった妹(菜葉 なのは)も今では毒舌を吐いてくるようになった。
「やばっ、遅刻する。」
急いで朝ごはんを食べて家を出た。
「遅刻、遅刻。」
走って学校まで向かった。
ギリギリ間に合った。
「遅かったね。」
「ちょっと寝坊した。」
こんな僕にも幼馴染の日野 結衣は、話しかけてくれる。このクラス唯一の話相手だ。
「ホームルーム、始めるぞ。」
「君は?誰なんだ。おい、待ってくれ、いなくならなでくれ。」
「キーンコンカーンコン。」
学校の鐘の音で僕は、起きた。あの夢の彼女は、誰だったのだろうか。
「やっと起きたか、ねぼすけ君。」
「見てるなら起こしてくれてもよかったんだけれどな。」
辺りを見回すと僕と日野以外いなかった。
「帰ろっか。」
日野と帰っているとき、あの夢で見た彼女が忘れられなかった。
「おーい、聞いてる?」
「悪い、聞いてなかった。」
考え事をしていると、日野が覗き込んできた。
「私といるのに他の女のこと考えているのは失礼じぁないか?」
「なんで分かった?」
「長い付き合いだからね。それぐらいお見通しだよ。」
日野と談笑していると、あっという間に家に着いた。
「じぁ、またね。」
「あぁ、また明日。」
日野の家は、すぐ横だ。家族通し仲がよく、よく遊んだおかげで今でも仲良くしてもらっている。
「ただいま〜」
家には、妹の菜葉しかいなかった。
「キモいからこっち来ないで。」
「はいはい。」
流石に妹から、言われると傷つく。
「はぁ、はぁ」
大体いつも現実を逃避したく、夜中にサイクリングをしている。サイクリングをしている時は、余計な事を考えなくて済む。
今日は、いつにも増して遠くに行った。気づけば。
「ここは、どこだ。」
どっかの山の手前まで来ていた。
「ガルルル、ガルルル。」
そんな犬が威嚇している音がして、音の方に向くと。
「何だ。お前は。」
自分の背丈よりも遥かに大きい犬がいた。
「ガルルル。ガァ。」
そう言ってこっちに向かって走ってきた。僕は、捕まったらやばいと思い自転車を放って走り出した。
「はぁ、はぁ。」
どんぐらい走ったのだろうか、山の木が生い茂っていてあの犬を、巻けたのだろうか怖くて振り返れない。木々の間から光が見えた。
「やっと出れた〜」
そこには、湖があった。その湖は、月が反射して綺麗だった。そして。
「君は?」
そこには、天使とも呼べるような綺麗な女性がいた。背丈は女性にしては高く、肌は透き通る様に綺麗で、そして、月とそっくりな綺麗な銀髪をしていた。
「綺麗だ。」
あまりの美しさに、つい見惚れてしまった。
「ガルルル。」
後ろからさっきの犬が付いてきている事を、すっかり忘れていて反応が遅れた。
あっ死ぬんだな。そう思った。
「クゥ〜ン」
さっきまで湖の近くにいた、彼女が犬をランスのような武器で倒していた。
「あ、、、あの、ありがとうございます。」
僕は、すぐにそう言った。そうすると彼女は、にっこり笑って。
「怪我はない?」
と言ってきた。僕は、黙って首を振る事しかできなかった。
「そう、ところで君は?」
「ぼ、、、僕は、出雲 宏といいます。高校2年生です。」
「私は、月神 空。」
そう彼女が言った後、沈黙になってしまった。何か言わないと、と思いとっさに。
「あ、、あの、つ、、、月が綺麗ですね。」