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第30話 尋問?

 ランデールで起きていた亜人種族の失踪と冒険者殺害事件の実態が、触り程度だが掴めてきた。


「亜人種族を拉致して、何をしようと企んでる?」


「そ、そこまでは……知らない」


「一人ずつ、首を刎ねてもイイんだが?」


「ほ、本当だ! 本当に何も聞いてないんだ! ただ亜人種族を集めろと言われているだけなんだ!」


 俺の質問に男が言葉を詰まらせると、グレッグがショートソードをチラつかせて脅しをかける……が、男の慌て具合を見ると本当のようだ。


「ターナス、どう思う」


「嘘は言ってない様だが、まだ信用は出来ないな。取り敢えずコイツ等の身包みを剥いで持ち物検査をしようか」


「はいよっ! シーニャ、パイル」


「「了解」」


 うおっ、二つ返事かよ。パイル、シーニャ、怖い子!


 シーニャとパイルは慣れた様子で手際良く男達の身包みを剥いでいくと、あっと言う間に全裸に剥いてしまった。

 裸のまま転がされる男達を横目に、剥ぎ取った衣類や装備品を点検していく。

 装束はこれといって特徴のない、何処にでもある冒険者が身に付ける衣類と革鎧らしい。それでもパイルは念入りに裏地なども調べてから傍らに置いて仕分けしているが、シーニャはバサバサと振って何か落ちてこないかを確認し、何も無いと分かるとそのままポイッと投げ捨ててしまう。

 二人の性格が良く分かるね。

 

「ガーネリアス教のネックレスが六個、全員ガーネリアス教徒ですね。一人は中央聖騎士団の指輪を持ってました。武器はダガーに、ショートソードですか。どれも新しいですねぇ。これは教会からの支給品ですね?」


 パイルが手にしたダガーを男達に向けて質問する。


「ほれ、拘束を解くから答えろ」


 首から上だけ呪縛を解いてやるが、誰も何も答えようとしない。

 ふと、パイルは立ち上がって男達の傍までやって来て、ダガーの切先を一人の喉元に突きつけた。


「聞いてます。これ、教会から支給された物ですか?」


「…………がっ!」


 男が声を上げる。

 パイルは男の喉元に突きつけたダガーの切先に、少しだけ力を込めた様だ。


「聞いてます。それとも言う気はありませんか?」


「……クソッ!」


 まぁ白状する気は無さそうだよな。

 すると、パイルがコチラを見て何かを求めている様な顔をするので、何となくコクリと頷いた……ら、そのままズブリと男の喉元にダガーを刺して息の根を止めてしまう。

 いや、まぁ、何となくそんな気はしたんだけどもね。一切躊躇いが無いな。


「教会な! そん武器はトラバンスト聖王国から買い付けた物ち、司祭はそんを使って亜人を集めろち……」


 喋る気が無いと分かるや否や、何の躊躇いもなく一突きで仲間が殺されるのを見て怖気付いたのか、強い訛りのある言葉で別の男が喋り出した。


「本当に教会が亜人種族を集めている理由を知らないのですか?」


「知らんや、本当に知らんや。我等は中央聖騎士団見習いやち、こん命令ば終わった暁にや正式に騎士団ち入団出来る言われとうち」


「コイツが指輪を持ってたヤツか?」


「いいえ、指輪を持ってたのは……あの鼻の大きいのです」


 パイルに中央聖騎士団の証である指輪を持っていたヤツを聞くと、訛りのあるヤツではなく、別の男を指差した。

 鼻の大きい……確かに大きいけどな。言われた男は何だか顔が赤いぞ。


「指輪は正規に入団しないと持てないのか?」


 訛りの男はコクコクと何度も頷いた。

 俺がそれを確認してからパイルに顔を向けて、再び尋問を促した。


「……あなた達の他に、ランデール内で動いてる者はどの位いる?」


「俺らの他な、中央聖騎士団が動いちうや。数な分からんちが、正規な中央聖騎士団やち」


 訛り男の話を聞いて、パイルは中央聖騎士団の指輪を持っていた男の傍らに行って質問を始めた。


「あなたなら、どれだけの騎士団がランデールに入って来てるか分かりますね?」


「……知らん」


「そうですか……」ガスッ‼


「はがあぁぁぁ……ッ!」


 俺とグレッグは思わず目を背けた。何故なら――強烈な足蹴りを男なら誰でも分かるアノ場所に喰らわせたから。

 パイルって羊獣人族だし、一見すると結構おとなしめな感じなのに、やる事が半端なくエグいんですけど?

   

「もう一度聞きます。ランデールに侵入してる中央聖騎士団の数は?」


「知らん!」


「……シーニャ、お願いしてもいい?」


「……ん」


 パイルに促されてシーニャが中央聖騎士団の男の所に向かったが、何をさせる気なのだろう?

 ――と考えていたら、シーニャは男の胸に鉤爪(クロー)を宛がうと、そのまま胸を切り付けていった。


「ぐああああぁぁぁ……ッ!」


「……うるさい」

「ぎぃああぁぁぁ……ッ!」


「……黙る」

「……ッ、うぐっ……がはぁッ」


 これはもう、尋問じゃなくて拷問だよな。

 <宵闇の梟>は、いつもこんな事をやってんのか。


「皮……剥ぐ?」


 シーニャがパイルに顔を向けて恐ろしい事を聞いている。


「ま、待ってくれ! 分かった、話す。全部話すから止めてくれ!」


 流石に皮を剥ぐと聞かされれば観念するか。

 しかしまぁ、見渡してみればアレーシアは絶句してるが、ハースはあまり気にしてない様子だ。人間族と獣人族では感覚が違うのだろうか。


「グレッグ、<宵闇の梟>は何時もこんな調子なのか?」


「ん~、まぁパイルにしてもシーニャにしても、人間中心主義に苦しめられて来たからなぁ。恨み辛みもあるだろうさ。正直言えば俺だって、最初はあの二人の行動にゃ引いたよ。けどな……亜人種族が人間族にやられてる事を思えば、気持ちが分からないでもないからさ」


「そうか。アレーシアはやはり引いてるようなんだが、ハースはあまり気にならない様子なんだ。やはり獣人族だからなのだろうか?」


「ああ、多分な」


 俺やアレーシア、グレッグ等人間族とも一緒に居られるのだから、全ての人間に嫌悪感を抱いてるワケじゃないんだよな。

 逆に、人間中心主義を信仰する人間に対しては……手加減する気は一切無いって事か。


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