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共感の器

作者: 道草 和音

あるよねー。

分かるー。

あーそれそれ。

誰も誰かに話したい。


昼間の公園には、大人と子供がそれぞれの領分をわきまえて、時間を過ごしている。

まるで、オーケストラの配置のよう。


この公園ではおなじみのメンバーが今日も揃うと決まってこう話し出す奥様が現れる。

それは「うちの○○がー」から始まる世間話。

それぞれの胸の内に秘め損ねた気持ちが出てきてしまう枕詞がこれ。

またかとやや呆れつつもそんな態度にならないよう気を付けて、自慢話に耳を傾けているふりをする。

適度なタイミングで「オホホホホ」。

頭に浮かんだのは別の思い出。


一家団欒の夫と子供、それから私の3人が揃っていただきますをした時の事。

うちの4歳児がいきなり『さっさと食って寝んだよ』なんて囀るんで、私と夫で大いに笑った。

というのも。このセリフは、私も好きでよく一緒に見ていた録画したアニメ映画のワンシーンのモノマネだったからだ。

ぶっきらぼうなおばあちゃんのキャラが、乱暴な感じで、愛情のこもってそうな料理を振る舞う時にいうセリフで結構人気のあるフレーズだったりする。「ちゃんとなんの真似なのか分かるなんてスゴイよね」なんて、夫と盛り上がったりした。


ニヤけた面をしていたのだろう。ちょっと感じ悪いよー? と感じ悪い事を言われたんで、意識を公園の中目の前のあなたに戻す。

「あぁごめんね。うちの子がさー」と今思い出したことを話始める。


たぶん、この話はそこまで受けなかった。多少笑ってくれたけれど、あぁ多分合わせて笑ってくれたんだ、そう思う。きっとみんな同じような経験をして、そんなのうちの子だって。なんて腹の底では思っているのかもしれない。


でも話してみたら、なんだかちょっとスッキリした。こういうのも悪くない。

分かってもらえて、一緒に笑えたらもっと嬉しい。

明日は誰とどんな話をするんだろう。

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