表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/41

5 信長様に会っちゃった

「おはようございます、八郎殿。先の戦でのあなたの活躍に上様は大層お喜びになっております。それ故に八郎殿に是非お会いしたいとの事です。」


「それは有り難きお話ですが上様とお会いする機会は?」


「フフフフ、ご安心なされませ。上様は既に備中に入っておいでです。明日にでもここ、吉田郡山城に入られるでしょう。」


えっ?マジ?リアル信長様に会えんの?


「私のような外様の者がお会いしてもよろしいのでしょうか?」


「上様は譜代や外様みたいな古きお考えではなく実力重視のお方です。八郎殿ならばご出世間違い無しでございます。」


そんなに褒めてくれるなんて照れるな。

俺は頭をかきながら思っていると忠家殿がやって来た。


「これは明智様。八郎殿は未だ元服されておらず妻もおりませぬ。明智様より上様に……。」


「フフフフ、分かっておりますよ。土佐の長宗我部殿のこともお口添えしたのは私です。きっと八郎殿もうまくいくでしょう。」


元服と妻?

信長様が烏帽子親になってくれるのか?

それは嬉しいな。


その頃、長門の小早川隆景は自害し残った毛利家の残党は秀吉と池田恒興に降伏した。

それを確認した2人も吉田郡山城に入り更に四国の織田信孝らも入城し、信長を饗す準備が始まった。

これが後で言う中国仕置である。


そして翌日、信長が堂々と入城した。


吉田郡山城本丸にて

とりあえず本丸の大広間に入った俺は末席に座ろうとした。


「八郎殿、こちらに来られませ。」


そう言って手招きしてくれたのは誰であろう信孝様だ。


「これは侍従様。わざわざお呼び頂き恐悦至極に存じまする。」


「お気になされるな。八郎殿の武功、聞いておりますぞ。誠に羨ましい限りです。」


「有り難き幸せにございます。この八郎、若輩者ながら上様や侍従様をお支え出来れば幸いでございます。」


「頼もしいお言葉ですぞ。ささ、お座りくだされ。」


そう言うと信孝様は隣に座るように言ってくれた。

え?めっちゃ前じゃん。まあ信孝様が言ってくれてるんだし別にいいか。


「上様の御成であります。」


小姓の森蘭丸の声が広間に響くと俺も含め皆、平伏した。

信長様はどんな感じなんだろう。

ドキドキしながら俺は頭を下げていた。


「面をあげよ。まずは皆の者、ご苦労であった。」


おお!肖像画で見た感じにそっくりだ!

大河の俳優で言うと反〇隆史に似てるかな?


「論功行賞を行う。まずはサル。」


羽柴殿が少し前に出た。


「新たに但馬を与える。その代わりに秀勝はワシの元に戻してもらう。」


羽柴殿は「え?」って言う顔をしていた。

まあ負けたとはいえ元々は中国征伐軍の指揮官だし但馬一国は少ないな。

しかも養子の秀勝様を織田に戻せって……。


「で、その秀勝、丹波を与える。」


秀勝様は少し困惑していた。

てか丹波って明智殿の所領じゃね?


「キンカンは丹波より周防、長門、石見を治め九州の備えとしろ。」


ああ、そう言うことか。

まあ自分の周りは一門で固めて起きたいのはみんなそうだ。


「備後と出雲は信澄に任せる。キンカンと共によく働け。」


つまり九州対策は明智殿が行うって事か。


「で、宇喜多八郎。」


「ははっ!」


「お主、元服もしておらんし妻もおらんようだな。」


「ははっ!仰る通りでございます。」


「で、あるか。ワシが烏帽子親になってやる。女も好きなのをやろう。誰ぞ良いのはおるか?」


え?烏帽子親になってしかも嫁もくれんの?

つまり一門衆になれるって事じゃん。

だから明智殿や丹羽殿がやけに丁寧だった訳か!


「ありがたき幸せにございます。この八郎、上様の一門より妻を頂きとうございます。」


「やはりワシの血が欲しいか。そうじゃな……。確か市の娘で八郎くらいの女がおった様な。」


「お江様の事でございますか?」


羽柴殿が聞いた。


「ああ、それじゃ。ワシの養女としてくれてやるわ。」


えっ?そんなすんなりと?

江って徳川秀忠の嫁だしマジでそれは嬉しいな。


「名前は信家殿で如何でしょう?」


明智殿が提案した。


「ああ、信家か。良き名じゃ。それとそれ相応の官位も近い内に与えるように内裏に働きかけてやる。これからも良く働けよ。」


なんか信長様、俺に優しくね?

めっちゃ笑顔なんですけど。


「八郎殿、いや信家殿。上様はお顔の綺麗なお方を好まれます故、良かったですな。」


論功行賞が終わってヘラヘラしてた俺にそう言ってきたのは忠興だ。

ああ、皮肉かと思いながら一礼して近くにあった鏡を見てみた。

てか、この鏡なんであるんだ?


自分の顔を見てみて分かったが俺は今、超絶イケメンだ。

しかも高身長で戦も強い。

なろう系主人公に必要な物がほとんど揃ってしまっている。


「おい、信家。」


そう思っ待てニヤニヤしてたら信長様に呼ばれた。


「こ、これは上様!先程は誠に……」


「そのような堅苦しい呼び方はやめろ。親父とでも呼べば良い。」


「よろしいのですか?」


「構わぬ。ワシは気にせぬ。」


「そうですか……。親父は心が広いのですね。」


「ふん!古臭い考えは嫌いだ。官位やら身分やらで物事を縛るくらいなら壊した方がマシじゃ。」


ああ、やはりこの時期のこの人は革新的思考だ。

元々は保守的だったらしいが。


「私もそう思います。形だけの幕府や朝廷なども……。」


「ははは、お主もそう思うか。だから幕府を滅ぼしたがさすがに朝廷は滅ぼせぬな。見てみよ、信家。」


そう言って親父は地球儀を見せてくれた。

え?持ち運んでんの?


「これが我が国じゃ。そしてこれが明、この下が天竺、そして向こうにあるのが南蛮じゃ。これを見ると我らは何とも小さな存在だと思わぬか?」


「国の強さは国土の広さでは決まりませぬ。例えばこの紅毛にて力を持っているエゲレスは日ノ本と同じく小さな島国でございます。」


案外これ言う人少ないよね。


「おお、確かにそうじゃ。面白いところに気がつくのう。」


「つまり国を動かすのは大きさではなく支配者の力でございます。そして今の日ノ本にはエゲレスを凌ぐ力があります。」


「その力とは?」


もうあんたしか居ないだろ……


「親父でございます。」


「で、あるか。ではお主はその力の後継者となるが良い。九州でも期待しておるぞ。」


親父はそう言うと俺の頭をポンポンして笑いながらどっかへ行った。

え?俺あの織田信長に頭ポンポンされちゃった?

どんなイケメン俳優にされるよりもかっこいい頭ポンポンだな……。

信家になってしまったのは本当の偶然です。

パクリではありません。

そもそも石高的にも立場的にも信の字が貰えるに決まってるだろ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 私事で大嫌いな古だぬき(家康)出てきませんね⚪極姫はメインヒロインであるときがありましたが!
[良い点] 宇喜多秀家とはなかなかいいチョイスですねー 江姫との婚姻は、驚きましたね! 柴田勝家と市姫も健在で繋がりがもてるし、他の浅井三姉妹の結婚相手とも義兄弟の関係に…(この世界線で茶々姫と初姫が…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ