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35 西軍✩集結


「うぉぉぉぉぉぉ!姫君がご懐妊とは誠にめでたいな!酒を持てい!酒を持てい!」


そう騒ぐのは後藤又兵衛。

うるせえなこいつは。

てかまず俺未成年なんですけど!?


「いいねぇ!今日は宴だ!」


又兵衛に乗っかるこのガキは長宗我部家親。

長宗我部信親の弟で人質として送られている。


「ダメに決まってるでしょうか!まだ昼間ですよ!?」


そう言って怒る凛々しい顔立ちのガキ、こいつが例の森吉成の子の森吉家、バカの2人と違って真面目でマトモだ。


「確かに、後藤殿はともかく家親殿は厳しいですな。」


苦笑いながら言ってるのは真田信繁。

滝川家家臣の真田昌幸から何故か送られてきた。


「これ!殿の手前で騒ぐでないぞ!」


そう言って全登が説教する。

そう、ここにいるメンツは誰であろう大坂五人衆だ。

初めこそはこのメンツを見れて感動したがどうも不吉で仕方がない。

更に俺の不安を煽るのは今から来る連中が余計厄介なのだ。


「はっはっはっ。やはり年が明けてもここは賑やかですな。」


笑いながら来たのは石田三成。

そして奴が抱き抱えるのは辰之助って名前のガキ。

こいつは何を隠そう後の小早川秀秋だ。

そしてその後ろには大谷吉継と小西行長に増田長盛、長束正家、更には立花宗茂、志賀親次と島左近に島津豊久。

そして極めつけには吉川広家と毛利宮松丸(毛利秀元)までいる。

そう、俺も含めこいつらは西軍オールスターなのだ!


なんでこんなにメンツが増えたのか、それは僅か1年で畿内、中国、四国を治めることになった俺は家臣不足に悩まされた。

そこで毛利の遺臣や九州から流れてきた島津の家臣やらを雇ったのだがそしたらここまでメンツが増えてしまった。


「いやぁ、みんなよく来てくれたな……。」


俺は苦笑いしながら言う。


「あら、皆さんお集まりで。お元気そうでなによりです!」


そう言って江がやってきた。

お前に関しては東軍の大将の息子の嫁だからな……。


「これは奥方様、お体の具合はいかがでしょうか?」


吉継が聞く。

こういう所でそれを聞けるヤツはイケメンだ。


「ええ、お陰様で元気な子供が生まれそうです!これからもどうぞ殿の事をお助けしてあげてくださいませ。」


そう言ってちょこっと頭を下げると江は戻って行った。


「やっぱ可愛いっすねぇー。」


家親が肩を組みながら言ってくる。

なんで兄貴は真面目なのにこいつはこんな馴れ馴れしいんだ。


「2人目は作らないの?」


宮松丸が聞いてくる。

お前まだ7歳なのになんでそんなこと聞くんだよ!


「いやぁーまだ考えてないかなぁ……。」


「これで女子が産まれたら世継ぎはどうするのです!?」


豊久は単純に声がでけえ。


「まだ気が早いと思うよ?俺14だし……。」


「御家のことを考えれば遅くはないかと。」


行長も真面目に分析すんな!


「そんなことより三成たちはなんの用で来た?まさかこれを言うためだけに来たわけでは……。」


「そんなまさか。大坂城が完成したのでそのご報告に。」


「それ先に言えよ……」


俺は呆れながら言う。


「ご覧になられますか?」


「見るに決まってる!行くぞ!」


こうして二条城を立ち俺の目の前に現れた大坂城はとてつもなく盛大なものだった。


なんだこれ……史実よりでけぇ!

そう感動しながら俺は城に入る。


「見事なものですな。四方を完全に要塞化しなおもここまで素晴らしい城が作れるとは……。」


信繁も唖然としている。


「これこそ天下の象徴。織田家から宇喜多家に政権が変わるということですな!」


行長も意気揚々に言う。

こいつが堺の商人共とのパイプ役になってくれたおかげで金が山ほど手に入った。


「ここは諸大名を集め挨拶させましょう。逆らったものは……。」


「焦るな全登。まずは譜代の家臣共にこれを見せて今までの労いの言葉をかけたい。諸大名に触れを出すのはそのあとじゃ。」


「なるほど、ならすぐ皆を呼び寄せましょう。」


そして1ヶ月後に譜代の家臣達が勢揃いした。


「皆よく集まってくれた。お主達がここまでワシを育て御家を守ってきてくれたおかげでこのような城を築く事が出来た。お主たちへの恩はこの信家、生涯忘れぬ。これからもどうかワシのことを支えてくれ。」


そう言って俺は一人一人に褒美を与えていった。

案の定みんな感動して泣いてたが詮家も涙ぐんでたのは意外だった。

どうもこの世界ではみんなと上手くやれそうだ。


「ところで柴田勝敏は何と?」


富川が聞く。


「うむ、佐々成政と共に勝信(秀吉に人質にされその後解放されてた秀勝)を立ててあくまで我らと戦う姿勢らしい。佐々成政もそれに同調しておる。討伐するしか無さそうじゃ。」


「いよいよ織田攻めも終盤ですな。直ぐに津田殿に使者を送りましょう。」


「任せたぞ、達安。先鋒は宗茂と親次に任せる。」


「殿、お言葉ですが近頃新規の者に戦を任せてばかりでございます。我らは力不足なのでしょうか?」


長船が聞く。

しまった……、いくら好きだからと言って今までの宇喜多を支えたのはこいつらだ……。


「分かっておる、されどお主らは九州で活躍してもらなわねば困るのじゃ。それまで待ってくれ。」


そう言うとみんな納得してくれた。

うーん、人を従えるって難しいなぁ……。

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