18 大友からの来訪者
某アイドルグループの新シングルの選抜発表があって私の推しが選抜に選ばれてました。
いやー嬉しいですね。
それと近々Twitterアカウントを作ろうと思うのでよろしくお願いします。
会津黒川城に滝川一益は堂々と入城した。
一月前に伊達軍を宇都宮にて完膚無きまで叩きのめした一益は怒涛の勢いで陸奥に侵攻し現代で言う岩代地域のほとんどを制圧した。
蘆名家は当主盛隆が自害し跡継ぎが無く滅亡した。
「華麗なる早さでしたな。」
一益の横で昌幸が言う。
宇都宮の戦い以来、昌幸は一益の軍師のようになっていた。
「伊達の小童も分かったであろう。我らに手を出すとどうなるか。」
「これより伊達領へ?」
「いや、それよりも北条がどうしたか気になる。徳川殿が上手くしてくれれば良いが……。」
「父上、信濃の森殿より書状が。」
一忠が書状を持ってやってきた。
「勝蔵が?相変わらずぶっきらぼうな字だな。」
そう言って笑いながら書状を見る一益の笑顔は一瞬で消え失せた。
「おのれ狸め……。逃げたか。」
「左近様、何か?」
一益から無言で手渡された書状を見て昌幸も驚いた。
「なんと!徳川家康が逃亡とは……。」
徳川軍が北条方と和睦し北条方は無傷という情報は直ぐに滝川軍に広まった。
「これはまずいですな。直ぐに対応を考えるべきかと……。」
「分かっておる。大広間に諸将を集めてくれ。」
一益の指示により諸将が大広間に集まった。
「各々方、此度集まって貰ったのは他でもない。北条の動きについてじゃ。」
一益はそう言うと昌幸の方を見た。
昌幸が説明を始める。
「北条は徳川と和睦し甲斐に軍を送っております。しかし下野、上野の国境にも一万以上の兵を展開させております。挑発行為の可能性もありますが油断は出来ませぬ。」
「今の我らには2つの道がある。このまま北条を無視して伊達を攻めるか関東に戻り北条と睨み合うかじゃ。無論関東にも必要最低限の兵は置いておるがあくまで必要最低限じゃ。諸将の中には家族を関東に残しておられる方もおられよう。もし家族が心配な方は関東に戻り北条方に降られるもよし、独立されるもよし。この一益恨みはせん。」
一益の発言に諸将は黙り込んだ。
しばらくの沈黙の後、春日信達が立ち上がった。
「ワシは北条に膝を曲げ頭を垂れることなど出来ん!このまま滝川様と共に天下の不安に乗じて世を乱そうとする不届き者を成敗いたす!」
「内藤昌月、右に同意!」
信達が言うと昌月も続いた。
「宇都宮国綱同意!」
「北条高広承知!」
「依田信蕃同じく!」
と言った感じで諸将も続き立ち上がらなかったものは誰一人いなかった。
「よくぞ申した!各々方への御恩、この一益生涯忘れぬ!これより我らは米沢へ向かうぞ!」
「おぉぉぉぉ!」
諸将の声が城内に響き渡った。
その頃、話題の北条軍は甲斐に侵入し躑躅ヶ崎館に迫りつつあった。
「父上、逃げますか?」
その知らせを聞いた河尻秀隆の嫡男、秀長は黙り込む秀隆に聞いた。
「うむ……。岩村へ帰るぞ。」
河尻軍は北条方と一切の刃を交えずに撤退した。
しかし道中、木曾に入った時である。
行軍中の河尻軍を大量の弓や鉄砲が狙っていた。
「放て!」
その声が聞こえると共に大量の弾丸と矢が河尻軍に降りかかった。
「なんじゃ!ぐっ!」
河尻親子はあっさりとその弾丸に倒れ馬上より崩れ落ちた。
「はっはっはっ!河尻を討ち取ったぞ!これを手土産に躑躅ヶ崎館に向かうぞ!」
そう言ったのはこの周辺を収める木曾義昌。
元々武田家の家臣だったので織田家に仕えて日も浅く自主的な攻撃だった。
「ほお、河尻の首か。」
躑躅ヶ崎館に到着した木曾義昌は早速親子の首が入った桶を差し出した。
北条軍の大将の北条氏照は興味深そうにそれを眺めた。
「ははっ。左様にございまする。我ら木曾は北条様に全面的に協力致します。どうぞ手足の如くお使いくださいませ。」
「良かろう!では飯田城攻めの先陣をそなたに任せる。」
こうして木曾家が北条方になったことにより北条方の領土と美濃の領土が接してしまった。
信雄も大焦りだ。
「筑前と北条に挟まれてはまずい!ここは北条と和睦するしかないぞ!」
「しかし北条はとんでもない条件を出してくるやもしれませぬぞ。」
長秀が忠告する。
「信濃は何としても渡してはならん。代わりに下野と上野でどうじゃろう。北条は関東が欲しいのであろう?」
「北条は納得するでしょうが左近(一益)が納得致しませんぞ。」
「左近はワシの家臣であろう!家臣なら主命に従うのは当たり前では?」
「しかし左近は今や破竹の勢いで陸奥を侵食しております。ここで兵を引けと言われ所領まで奪われては左近は納得致しませぬ。」
「ならどうすれば良い?戦をするのか?」
「権六に任せては?幸い越前と近江の国境とは違い北陸から信濃へは入れるようですし。」
「なるほど!それは妙案じゃ。すぐに権六に使者を送れ。」
早速信雄の使者が越前北ノ庄城に到着した。
「つまり我らは北条を討てば良いのだな?」
信雄の使者の浅井長時は勝家のオーラに圧倒され冷や汗を流していた。
「はっ!左様にございます。」
「良かろう。直ぐに他のものにも伝える。北条に目にもの見せてくれよう。」
「有り難き幸せ!我が主君もお喜びになられるでしょう。」
こうして遂に信長の死以降一切の軍事行動を見せていなかった最強の柴田軍団が信濃への進軍を開始した。
大将の勝家を始め加賀の佐久間盛政、能登の前田利家、越中の佐々成政、越後の柴田勝豊ら錚々たる面々である。
「ふっふっふっ。氏政め覚悟せよ……。」
信雄はニヤニヤにながら決戦の報告を待った。
その頃、岡山城の信家の元には5カ国の兵二万と秀勝の一万三千が集合していた。
「合計で三万三千。前回の2倍ですな。」
天守閣より集まった大軍を見ながら全登が言う。
いやーマジでこれ俺が指揮するのか。
一応大将は秀勝様だけど……。
「八郎様、大友家より使者が参っております。」
行長が入ってきた。
「大友だと?なんで?」
「とりあえずお通ししますか?」
「頼むわ。」
大友?マジで意味がわからん。
大友家の使者は若者ふたりだ。
現代の俺くらいの年齢で2人ともキリッとしてる。
「お初にお目にかかります、大友家家臣、立花繭七郎宗茂にございます。」
「同じく志賀太郎親次にございます。」
は?立花宗茂と志賀親次だと!?
びっくりして少し姿勢を崩してしまった。
「主君宗麟よりこちらを預かっております。」
親次が書状を渡してきた。
俺はそれを受け取り目を通す。
えっ?この2人は優秀なので天下に聞こえし武功を上げた宇喜多様の元で召抱えてください。by大友宗麟 (現代語訳) だとー!?
立花宗茂も志賀親次も俺は大好きだ。
特に立花宗茂は五本の指に入るくらい好きな武将なのでテンションぶち上がりだ。
笑顔を零しながら俺は言う。
「な、なるほど。あいわかった。無論お主らは召し抱えよう。されど今から戦ゆえおふたりは長旅の疲れを癒されるが良い。所領などのお話はその後で。」
「恐悦至極に存じ奉ります。」
2人とも平伏した。
あんまり感情を表に出さないな。
現代風に言うとクールだからめっちゃモテそうだ。
「まあとりあえずこの城の三の丸に部屋を用意するからそこで過ごしてくれ。」
「ははっ!これより我ら2人、備前守様の手足となり働く所存にございます。」
「頼もしい言葉じゃ。妻子達も城に入れてやりなさい。」
感情を一切表に出さずに淡々と話す2人はむしろ不気味にも見えたがその理由はすぐにわかった。
「なるほど……。大友家は滅びましたか。」
行長が残念そうに言う。
「まあそうだよな。しかしあの二人はなかなかの逸材と聞く。我らは喜ぶべきではないか?」
「八郎様の仰る通りですな。そろそろ出陣の時間です。」
全登が言う。
「よし、じゃあ行長。2人の世話を頼む。富川とも上手くやってくれ。」
俺は行長にそう言うと城の外に出た。
「出陣じゃぁ!」
今まで出したことの無いくらい大きな声で言った。
指揮官としての信家の初陣が始まった。




