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10 目指せ九州

秋月種実はすごいですよ

親父からのお土産の中で1番嬉しかったのは小型の鉄砲だ。

小回りが効くから暗殺するのに使えって言われたけど飾っておいてもマジでカッコイイ。

それとサーベルもくれた。

銃と一緒に持つと海賊にしか見えねえや。

あとは馬とか米とか貞成から聞いたのか宇治丸も大量にくれた。

どう保管しようか?


徳川殿は薬やら薬草やらを渡してくれた。

まあイメージ通りだけど暗殺に使えって毒薬までくれたのはびっくりだな。

やっぱ親父(直家の方)のイメージは拭えないな。


「なあ、全登。南蛮貿易を俺達も始めないか?」


「え?南蛮貿易ですか……。となると行長を呼び戻せば良いのでは?」


「ああ、確かに。次に来た時に声をかけるか。」


行長は堺の商人との繋がりが深い。

家臣になれば貿易で儲けてくれるだろう。


その行長は姫路城にいた。

城内には蜂須賀小六、前野長康、黒田官兵衛らを始めとした羽柴家の重臣が勢揃いしていた。


「行長、宇喜多はどうじゃ?」


「未だ去就不明です。八郎様は上様とは親しくしておられますが私が説得すれば何とかなるかと。」


「左様か。九州はどうだ、官兵衛。」


「鍋島殿と連絡を取りおうております。既に島津と同盟し大友に大手をかけておると。」


「よし。東北の連中はどうだ長政。」


浅野長政が答える。


「伊達と蘆名と最上はこちらに付いております。それぞれ南下して敵を抑えるとの事。」


「良し。織田諸将の動きは?」


秀吉が小六の方を向く。


「明智、池田ら中国勢は既に下関に向かっておる。四国勢は伊予を出て府内城に入ろうとしておるかな?」


「となると畿内におるのは上様と中将様ぐらいか。」


「丹羽と信雄は既に岐阜城に入っております。京にいるのは上様の供回り100人と中将様の500人程かと。」


弟の秀長が言う。


「良し、今日の夜にも我らは京に入るぞ。皆気を引き締めろよ。」


同じ頃、豊後の府内城には信孝ら四国勢2万が入った。


「これはこれは侍従様がお越しとは。お待ちしておりましたぞ。」


豊後の大友義統は信孝を上座に案内した。


「状況は?」


信孝が早速聞く。


「島津は既に国境付近に兵を集中させております。龍造寺は筑後を落とし豊前を目指して進軍中でございます。」


「思ったより早いですな。」


雪渓が言う。


「はい。我らは二方面からの攻撃を食い止めるのに必死でして面目ない。」


義統が申し訳なさそうに言う。


「別に大友殿が悪い訳では無い。悪いのは我らに逆らう島津と龍造寺よ。まあ我らが来たからにはひと捻りにしてくれよう。」


信孝が意気揚々に言う。


「それで我らはどこへ行けばよろしいので?」


信親が聞く。


「鶴ケ城から救援要請が来ております。織田様はそちらを救援して頂ければと。」


「あいわかった!明日にでも出陣しよう!」


信孝が快諾すると他の者も頷いた。


同じ頃、下関。


「私達は丹波(秀勝)様が来るまでに周辺の地ならしを行います。よろしいですね?」


評定に集まった諸将に光秀が説明する。


「筑前は龍造寺配下の秋月が守っております。既に当家の者が門司城に入り秋月に睨みを聞かせておりまする。」


光秀の従弟の明智秀満が説明を始める。


「我ら明智勢と津田様の兵は筑前より秋月と正面から戦いまする。池田殿、中川殿、高山殿は豊前を南下し豊後より大友軍と合流して秋月の本拠を目指してくだされ。」


「承知した。」


3人が頷く。


「龍造寺、秋月共に手強い相手ですが大友家からはかの立花道雪殿がお味方に来られるとの事。厳しい戦ではないでしょう。フフフフ。」


立花道雪は大友家随一の武勇を誇る名将だ。

彼がいれば百人力というものだろう。


その頃、筑後古処山城


「わざわざ本拠地を貸していただいて申し訳ないな。」


そう言って感謝の言葉を述べたのは龍造寺隆信だ。


「いやいや、大友を叩き潰せるなら出来ることは全てやるつもりじゃ。」


隆信が感謝した相手は秋月種実。

弱小大名の秋月家を36万石の大大名にまでした実力者だ。


「既に筑後と筑前の大友勢力は片付けた。この戦が終われば誠に秋月周辺と畿内の2カ国が頂けるのだな?」


「公方様がそう仰ってるし朱印状も渡しただろ。ワシは信用出来ないか?」


「いや、そういう事ではない。」


「で、秋月はいくら出せる?」


「2万じゃ。かなり無理をした。」


「2万!?」


隆信含め龍造寺の一同は仰天した。


「失礼ながらそのような軍勢をどこから?」


隣にいた直茂が聞く。


「中国からの流れ者と大友に虐げられてきた者共を集めたのじゃ。そちらの4万には到底及ばぬがな。」


「合計で6万もあれば十分よ。これなら島津も潰せてしまえそうだな、直茂。」


「それはおいおい。一先ず我らがすべきことは織田を撃退することです。」


「そうである。本来の目的を忘れてもらっては困るぞ、山城守殿。」


種実も釘を刺す。


「ああ、分かってるよ、全軍配置につけ。五州二島の太守の刃、魔王の軍勢に叩きつけてやるよ。」


龍造寺が動き始めた頃、島津軍は既に鏡ヶ城を包囲していた。

この軍を率いるのは義久三弟の家久。

軍略では右に出る者がいないともされる戦の天才である。


「新納、織田は如何程くる?」


家臣の新納忠元に家久が聞いた。


「2万程かと、我らと同じくらいですな。」


「そうか。あの戦法を使うのが楽しみじゃ。」


家久がニヤリと笑った。


かくして九州攻めが始まろうとしていた。

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