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だいすきなひと  作者: 高塚しをん
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#6 スポーツフェスティバル

スポーツフェスティバルなんていう、スポーツが得意でない者にはフェスティバルでもなんでもない迷惑なイベントがこの学校にはある。残念ながら私はスポーツがからっきしなので、「スポーツフェスティバルは迷惑ですの会」会長だ。しかしながら、沙絵先輩のようなスポーツが得意な人にとっては輝きが止まらない一日であることは間違いない。


各クラスから、それぞれ出場する種目を決め、各学年三クラス、計九クラスでバレーボールやらバドミントンやらで戦い順位を競うわけだ。私はできるだけ早く出番を終わらせたいのと、チームプレーが苦手なので卓球を選び、早々に敗退した。残念ながら。非常に残念ながら。


出番が終われば自由が待っていて、他の人の競技を観に行って良い。ミーハーなことはしたくないので、沙絵先輩の競技を観になど行かないと決めていたのに、気がつくと私は沙絵先輩が出場するという、バレーボールの試合を観に来ていた。


先ほどの卓球の試合の時とは比べ物にならないほどの応援の数なのは、バレーボール好きがこの学校に非常に多いということだろうか。いや、沙絵先輩への声援がひっきりなしに聞こえたり、スマホで写メを撮っている人もいるところを見ると、やはり沙絵先輩を観に来ている人が多いのだろう。そう思うと顔が引きつるが、私も目的としてはそのうちのひとりなわけで。写メなんかは撮らない。どんな感じなのか、観に来ただけ。あくまでも軽い気持ちというか、まぁ、言ってみれば暇つぶしだ。晴香はバドミントンで勝ち上がり、まだまだ忙しいのだ。


体操服は皆同じデザインなので、白いシャツに紺色のハーフパンツだ。それに体育館シューズも同じなので、どの人間も同じ出で立ちであるはずなのに、なぜこうも違うのかというのは素材の違いだろう。


沙絵先輩はシャツの袖を肩まで捲り、長い手が露わになっていた。肩までシャツを捲るって、アクティブな人しかやらないやつの感じがする。なんなら私は体操服すら長袖希望だ。


バレーボールのことはよくわからないが、沙絵先輩がなかなかに健闘していることは私にもわかった。サーブは入るし、レシーブも出来て、アタックまで決める。バレー部の人ほど上手いのかはわからないけど、私を含め、沙絵先輩目当ての人間は上手さを堪能しに来たわけではない。プレーが引き立てるカッコよさを堪能しに来ているわけだ。


あぁ、言ってしまった。カッコよさを堪能しに来たとか。口が滑った。


しかしこの人の多さ、グイグイと前に前に観に行く人もいれば、私のようにグイグイ隊に気圧されて後ろ後ろへ行く人間もいるのだ。結局人混みからは沙絵先輩はきちんと見ることはできず、私は体育館を後にした。


カッコ良かったかって?言わないといけないですか?ふんっ。カッコ良かったわ。


キラキラしとったわ。



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