第9話〜これは現実なのか
この時期、腰とか肩とか肘とか膝とか本当に痛くなります。
肉体労働しても筋肉痛になるだけだったあの頃が懐かしい…。
…………。
救急品を使って傷の手当てをした。
あくまで簡易的なものなので、しばらくは激しい運動は控えるべきだろう。
階段の上を見る。
先が見えないほど長い階段が、真っ直ぐ続いている。
毎回長い階段を10分近くかけて上っている。
高さ、もしくは深さは相当なものだ。
一体ここはどこで、何のために…。
…………。
まだ答えは出ない。
情報が足りない。
なら現実的な問題と、やるべきことをするだけだ。
四階。
次の階がどうなっているのかは分からないが、これまで通りだと三階よりもさらに広い階層なのだろうか。
もしそうだとしたら危険度もさらに上がることだろう。
…………。
徘徊者が出てくる場所などは一通りメモしてきたが、確実に個体数も増えているし、ランダムに徘徊している個体もいる。
他にも厄介なモンスターは複数いるし、三階には簡単なものだったが罠もあった。
体のあちこちに小さな傷や治りかけている傷跡がある。
それらのほとんどが記憶にはないが、ここで付けられたものだろう。
その中でも今回腕に受けた傷は深いものだった。
記憶を失って最初の部屋で目覚める事になるにせよ、傷まではなくならない。
気をつけないと。
…………。
さて、どうするか。
1、このまま四階へ進もう。
2、一度最初の部屋に戻ろう。
3、もうしばらく休もう。
…………。
もうそろそろ先ほど戻っていった徘徊者とも距離ができただろう。
このまま四階まで行くのは危険だ。
危険は極力回避して、万が一に備えて情報を残しておかないといけない。
一度最初の部屋に戻ろう。
まだ全部の徘徊者を倒したわけでもないので、手巻き式のライトを充電しておく。
…………。
三階から二階に向かう途中の通路で先ほどの徘徊者を見つけた。
ちょうど部屋に入って行く。
先ほどは二体同時かつ連戦後でライトが保たなかったため不覚をとった。
しかし、
ーーーァアァアアア⁉︎
場所とタイミングさえ把握できていれば簡単だ。
ライトを当てるだけなのだから当然か。
さて、あとはもう徘徊者は倒してある。
一階の部屋に戻ろう。
…………。
部屋とメモに改めて今回の出来事を記していく。
これで三階まではマッピングを含め攻略ができた。
……ふと思ったが、まるでゲームのようだな。
階層ごとに歩き回ってマッピングし、モンスターの出現や傾向を把握、トラップや謎解きをして攻略していく。
「…………。」
もしかして、本当にそうなのか?
ここは本当にゲームの中なのか?
徘徊者を始め、現実にはいないはずのモンスターの存在。
毎回記憶を失って攻略情報だけが蓄積していく現状。
まるで、本当に、ゲームみたいじゃないか。
「…………。」
……馬鹿馬鹿しい。
そんなわけ、ある訳がない。
けれどそう考えると、この現実離れした現状の説明がつく。
説明が、ついてしまう。
これは、現実なのか?
さて、どうなんでしょうね?