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第72話〜探索(下)

…………。


石畳と言うにはお粗末な地面をほとんど音も立てずに進む。


ダンジョンへと潜ってから40分ほどが過ぎた。


通路の様相に変化はなく、素人では延々と同じ道をグルグルと回っているように感じられたかもしれない。


彼女たちにとっては慎重にゆっくりとした行軍だったが、一般人からしたらほとんど駆け足で進んだようなもの。


出来立てのダンジョン内はそれなりの広さはあったが、やはり範囲はそこまででもない。


地下への階段が無かったことも大きい。


平面のダンジョンはモンスターが出なければ大きな迷路でしかない。


同時に罠らしい罠もなく、部屋もないただの洞窟型。


C級冒険者パーティーにとっては1時間もあればくまなく探索することは容易だった。


ラナンの書き込む木版はどんどん黒線が書き加えられ、ダンジョンの地図をほぼ写し出していた。


そして残された空白地帯。


地図の最奥部分。


…………。


『宵薔薇の乙女』たちは、このダンジョンに入って唯一あった大部屋の中にいた。


部屋の中央にはゾンビと、ゾンビの上位種である屍喰鬼グール


見た目はゾンビよりも人の姿に近く、凶暴性がゾンビよりも高い。


一般人では数人がかりでなければ負傷者が出る。


駆け出しでは一騎討ちは困難だろう。


つまり『宵薔薇の乙女』の誰であっても瞬殺できる程度の強さだ。


「出てきたのはゾンビのみ。ダンジョンのボスもグールとあとは三体のゾンビのみ。本当に出来立ての初心者迷宮だったみたいね」


道中のゾンビ同様、ほぼノータイムで殲滅され、そこそこの広さの大広間はガランとしている。


「旨みのないダンジョンですね。手に入るのはゾンビとグールの魔石のみ。出来立てだから宝箱もなし。範囲も狭くて来るまでの立地も悪い。けれど放置するにはアンデッドは害が大きすぎる」


ラナンの言葉に頷く一同。


あくまで調査のためにやって来たが、冒険者としては未解明のダンジョンに期待していた部分も大きい。


未開のダンジョンの第一探索者は危険な分、手付かずの宝箱を手に入れることができるという大きなメリットがある。


しかし期待して開けてみた宝箱ダンジョンの中身が腐っていて大した値打ちもないとくれば徒労感を感じてしまう。


…………。


「まって、おかしくないかしら?」


ふと、自分の言葉に違和感を覚えたラナン。


「森には複数のゾンビの出入口があったわよね?」


「ええ、このダンジョンへの入り口……っ⁉︎」


「どこにも入り口以外に階段はなかったぜ?」


「地図にはそれらしい場所はないし、そもそも範囲もそこまでじゃない。森でゾンビが沸いていたポイントの中心位置だけど、どこのポイントにもこの地図の範囲は届いていない」


ラナンの疑問を皮切りに、次々とおかしさに気付いていく『宵薔薇の乙女』の面々。


「もしかして……っ!回避!」


ダフネが何かに気付き、とっさに指示を出したが一瞬だけ遅かった。


唐突に床が消失する。


いや、床全体が落とし穴のようになっていたらしい。


中央から両側に、下に向かって床が開いたのだ。


大掛かりな物理的な罠。


十数メートルもの高さを落下する『宵薔薇の乙女』たち。


そして地面に最初の一人が落下すると同時に、ラナンは魔力の反応を感じ取った。


部屋の床全体を覆うほどの巨大な魔法陣が現れる。


…………。


のちにB級迷宮【腐食の庭】と呼ばれる最悪のダンジョンが、『宵薔薇の乙女』たちに牙を剥いた。

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