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第41話〜絶望を直視するな

…………。


絶叫。


は、しなかった。


脳が見た光景を認識した瞬間、痛みより先に光が貫いていった。


一定値を超えた痛みを拒絶した結果なのか、思考がクリアになる。


一瞬の停滞、そして世界がスローで動き出す。


不幸中の幸いだったのは、プチデビルが喰い千切った左手を食べることに夢中になっていたことだった。


ガリガリ、グチグチと音を立てて咀嚼するその姿はまさに悪魔のようだった。


その隙に全力で後退。


このまま逃げても追いつかれる。


どうすればいい?


脳内に瞬時に選択肢が浮かぶ。


2本目のナイフを投擲した。


ーーーキュァ


妙に甲高い声を上げて、足の付け根にナイフが刺さったプチデビルが倒れこむ。


それを尻目に全力で走る。


トドメを刺すことは考えなかった。


…………。


幸いにも、左手首からの出血で死ぬことはなかった。


貧血になって倒れそうにはなったが、どうにか応急処置が間に合った。


もし他のモンスターに遭遇していれば間違いなく助からなかっただろう。


どうやらこのダンジョンはモンスターが少ないらしい。


いや、他のダンジョンを知らないので断言はできないが。


しかし血を流し過ぎた。


時間をかけて最初の隠し部屋に戻ってきた。


マッピングしていてよかった。


安全地帯セーフティゾーンに来れた安心感から、ピンと張り詰めていた緊張が切れてそこで意識を失った。


…………。

…………。


激痛で目が覚めた。


どうやら気絶していたらしい。


応急処置した左手首から脈打つように痛みが走る。


気絶している間にアドレナリンが切れたらしい。


痛みで意識が朦朧とする。


どうやら熱もあるようだ。


バックパックから水筒を取り出して飲む。


ついでに保存食も無理やり噛んで流し込む。


そこで限界がきた。


今度はゆっくりと意識が薄れていった。


…………。

…………。


気絶するように眠り、痛みで起きる。


それが何回も繰り返された。


水筒の水はもう残り少ない。


保存食はまだあるが、栄養価の偏りがある。


幻肢痛というのだったか。


手首の断面から先に痛みが常にある。


熱はまだありそうだが、なんとか起き上がれる程度には回復した。


早く動き出さないとまずい。


無くなった手が生えてくることはない。


今死んだところで失った左手は無くなったままだ。


もう【職業自由選択】のクールタイムは終わったが、さすがに欠損を治せる職業はLv:1にはない。


残った武器は剣とナイフ一本。


ナイフを差したベルトの位置を調節する。


利き手が残っていてよかった、そう思おう。


…………。


甘い考えは捨てろ。


心を落ち着かせろ。


絶望を直視するな。


死ぬ気で生き抜け。


クールになるんだ。


隠し部屋の扉に手をかけた。


…………。


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