第39話〜命懸けの迷宮探索
…………。
「ふんぬ!」
背中から床に倒れる。
ズブッ!
「ごふぁ!?」
ナイフが勢いよく抜けたのはいいが、シャレにならない痛みが文字通り体の内側を抜けていった。
しかししばらくすると痛みは引いていく。
見れば傷口も綺麗になくなっていた。
あの時はよく自害なんてできたな。
それだけあの男を前にして通常の精神ではいられなかったのか。
もしかしたら精神系のスキルなども持っていた可能性があるな。
「ふぅ…」
スキルというのはすごいものだ。
逆再生のようにみるみる傷跡が塞がっていく様子は興味深かった。
実の所不安だった。
スキル【不死者】は死ぬ直前の状態に戻すので、ナイフに貫かれた状態で絶命したからには傷跡はそのままの可能性もあった。
どうやらそんなことはなかったようだ。
胸に手を当てれば心臓の鼓動も感じられた。
死をトリガーとして発動するスキルなので、生き返ってからの傷は治らないと思っていた。
もしかしたらナイフに刺された状態で生き返り続けていたのかもしれない。
ん?
何か閃きそうだぞ?
…………。
…………。
苦労して塞いでいた扉を開け、外に出る。
もうここは危険地帯。
チュートリアルのように何度でも死んでやり直せるという事もない。
今はスキル【不死者】で死んでも生き返れるが、それも万全ではない。
それにデメリットを考えればすぐ死ねば、次は満足に動けなくなる。
それにモンスターに死体を食べられてしまえばそれまでだ。
命懸けの迷宮探索。
切り替えていこう。
…………。
場所は迷宮。
目覚めた場所とは移動しているうちに様子が変わっている。
床や天井、壁は全て同じ灰色の石材のようなもので出来ている。
天井までの高さは約3メートル、横幅は2.5メートルほど。
壁の中間辺りに10メートル間隔ほどで設置された光を発する松明状のブロック。
空気はひんやりとしていて、風などは感じられない。
しかし息苦しさや異臭なども感じないので、どこかで空気が循環しているのか、もしかしたら酸素を供給する仕組みでもあるのかもしれない。
…………。
隠し部屋はすでに閉じている。
一応目印は残してあるが、戻ってくるかは分からない。
バックパックの中に入っている食糧は有限で、結局は生き残るためには進まなければいけない。
メモ帳にペンで簡略な地図を描きながら進もう。
迷宮攻略のセオリーは分からないが、窓がないところを見るとここは地下の可能性がある。
移動している間にも外に繋がる場所は見当たらなかった。
感覚だが、チュートリアルのダンジョンよりも広い気がする。
すぐに分かれ道に出た。
さて、
1、右に進む。
2、前に進む。
3、左に進む。
4、後退する。




