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第38話〜それでも◯◯はぬけません。

…………。


身体が縮んだことは置いておこう。


生き残らないといけない。


まずは生き延びないと…。


この世界で生きていけるだけの力を身に付けないといけない。


その為の基盤を固めるんだ。


ひとまずの目標は栄養のある食事と牛乳が飲める環境を整えることだな。


早く大人にならないと。


このままだと頭脳は大人、身体は児童の探偵になってしまう。


ん?


なんで探偵?


記憶が思い出せないのはたまにモヤモヤするな。


…………。

…………。


ステータスを見て、あの男の能力の一端が分かった。


スキル【体術Lv:2】がなくなっていた。


おそらく【盗神の加護】によるものだろう。


あれだけ強力な能力、相当なデメリットか制限がありそうだ。


それがおそらく対価、条件だったのだろう。


何かを得る場合、対価として何かを与える、みたいな。


だから質問に答える対価に能力が発動した。


厳密に言えば違うのだろうが、確か強力な加護ほど特殊な能力を発現し、さらには付属的に複数の能力もえることができたはず。


クリア特典にはもっと理不尽なものもあったが。


しかし質問に答えるだけで相手のスキルを奪えるなんて相当に極悪な…。


いや、そんな単純なはずはない、か。


…………。


失ったものはあれど、得たものもある。


スキル【危機察知Lv:1】。


死ぬ前にはなかった、いや、死ぬ前にステータスを見たときにはなかったスキルだ。


結構簡単にスキルって手に入るんだな。


いや、死ぬ目に遭って得たスキルが一つだけだと考えれば……。


思えばこれまでも何となく嫌な予感を感じることはあった。


首の裏側がちり付くような、落ち着かない感覚だ。


あの男と対峙してる時もそれを強烈に感じていた。


こういった第六感的なもの、所謂感覚的なものも技能と同じように繰り返せばスキルとして発現するのか。


ある意味努力が結果として、というか見てわかるスキルという形で分かる世界なわけだ。


…………。

…………。

…………。


情報の整理はこんなものでいいか。


荷物のはいったバックパックを背負う。


ザッ


「あっ」


慌ててバックパックを下ろすと、背中の当たる部分に小さな穴が出来ていた。


「ナイフ抜くの忘れてた…」


胸にはナイフが突き刺さったままだった。


ナイフは深々と刃の根元まで刺さっている。


心臓も止まったままだな。


「…………。」


生き返ったけれど、生きていない。


不思議な感覚だな。


…………。


背中まで貫通しているナイフ。


柄を握って引っ張ってみる。


このままだと日常生活に支障が出る。


というか普通に不気味だろ。


ナイフに貫かれた子供とか。


「ぐぬぬぬ……!」


抜けない。


「ぐぬぬぬぬぬぬぁ!」


それでもナイフは抜けません。


こりゃじいさんばあさんに犬猫もいないとな。


だがネズミ、お前は駄目だ。


ん?


何を考えてるんだ?


ともあれナイフが抜けないのは困った。

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