第35話〜冥界師
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入り口の閉ざされた隠し部屋に二つの死体が転がっている。
そしてその傍らには1人の男。
血溜まりに沈む二つの死体にはそれぞれ致命傷しかなく、それを除けば死体は綺麗な状態だった。
「あはは、はは。潔く、死んだ、ね。結局、一つ、しか、食べられなかった」
全身黒ずくめの男は前髪に隠された顔に笑みを浮かべ、しかしつまらなそうに呟く。
そしてあっさりと踵を返し、塞がれた扉の前で解けるように消えた。
後に残されたのは二つの死体だけ。
もう血溜まりは広がることはなく、ただ時間だけが過ぎて行く。
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どこまでも深い闇。
水底のように暗く、水底と違って底がない。
そこには何もなく、しかし確実に何かが蠢いている。
誘われるように深く深く沈んで行く。
このまま無へと還る…。
直前、世界に光と形が現れた。
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「はっ!?」
意識が覚醒した。
直前の記憶、自分の心臓にナイフを突き立てた瞬間がフラッシュバックする。
「っ……」
起き上がろうとして、身体が、筋肉や関節が硬直してしまって動かない。
相当な時間倒れていたのだろう。
血溜まりは焦げ茶色のシミになって固まっている。
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「ふぅ……」
時間はかかったが、ようやく身体が動くようになった。
まだ違和感は強いが。
「【ステータス】。……やっぱりデスペナルティはでかいな」
目の前に半透明なボードが現れる。
今のステータスはこれだ。
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種族:人族(♂7歳)
名前:ナナシ
階位:2
職業:冥界師
状態:不死
腕力:F 体力:F
魔力:G 知力:D
敏捷:F 器用:G
運勢:E
称号
・転生者・迷宮探索者・輪廻の守り人
固有スキル
・言語理解・職業自由選択・進化の瞳
ユニークスキル
・迷宮適性Lv:2・不死者Lv:1
スキル
・観察眼Lv:3・短剣術Lv:2・追跡Lv:1・不屈Lv:6・隠密Lv:2・死霊魔術Lv:1
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階位が2下がり、腕力などの数値も軒並み一つずつ下がっている。
しかし職業は冥界師になり、状態が不死になっている。
新しく称号とスキルもある。
これはクリア特典で手に入れた【職業自由選択】によるものだ。
適性や条件を無視して自由に職業を選択することができる。
死ぬ直前、どんな手を使ってもあの場を生きて切り抜ける手はなかった。
だからクリア特典で、¨大前提として決して死ぬことがない、又は死んでも問題のない手段¨としてあらゆる選択肢を吟味して選択した【職業自由選択】を使用したのだ。
冥界師の職業につくと、ユニークスキル【不死者】を得ることができ、結果として死んでも生き返ることができた。
ただしレベルは半分になる上、ステータスも一つずつ下がってしまう。
他にもペナルティは存在するが。
しかし結果オーライだ。
生きてさえいればこちらの勝ちだ。
チュートリアルから学んだことの一つだな。
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ちなみに【ステータス】は転生者たちが使えるステータス閲覧コマンドのようなもので、ステータスには表記されないコマンドのようなものだ。
他者も一緒に見ることができるのがベルが使っていた【ステータス閲覧】で、支援妖精専用コマンドだ。




