第24話〜状況分析
…………。
『すいません、取り乱してしまいました』
ベルが顔を赤くして頭を下げてきた。
まだ初対面から時間が経ってない相手に愚痴をこぼしてしまったのが恥ずかしかったのだろう。
ん?
服の構造上、角度的に胸元が……。
これ以上はいけない。
俺は紳士、俺は紳士、俺は紳士。
変態紳士に非ず。
幼女趣味に非ず。
とりあえずあとでさりげなく下着をつけるよう進言しよう。
「いや、気にしないで。それよりクリア特典のことなん…」
『あ、ちょっと待ってください!』
ベルが口に指一本を立ててきた。
つまり、黙って待っとけ、な?的な感じですね分かります。
『こちらに向かって複数のモンスターが近づいてきてます。また移動しないと…』
モンスターだと?
影とか小鬼とかのことか。
…………。
ここで改めて自分のことだ。
性別は男。
鏡はないのでどんな顔をしてるのかは詳細は不明。
ただ客観的に見た記録では特に特徴らしい特徴のない、普通の顔だったはずだ。
前髪が伸びていてあまりよく見えなかったが。
手や腕、身体を見てみた感じ中肉中背で太っているわけではなく、むしろやや筋肉質な感じだ。
身長は170センチ強といったところ。
一応肌は白いが黄色人種で、髪の色は黒。
目立つ傷痕などはない。
着ている服はどこか簡素で丈夫な服に革製の胸当てやサポーターなど。
ベルトには頑丈そうなナイフ数本、腰に一本の剣。
目立たない色のバックパックを背負っており、中には保存食と干し肉に塩などの調味料、塗り薬など。
側から見たら初期装備の冒険者といった風貌か。
…………。
1、モンスターと戦おう!
2、こんな危ない所にいられるか!俺は帰る!
3、敵戦力を確認してから決める。
ふむ。
チュートリアルの時の記憶は戻っている。
武器もあるし、戦うだけなら出来そうだ。
ただ話を聞くにもう死んでも記憶を失ってやり直し、とはいかない。
感覚的には戦えそうだが、この世界に転生してから体が創り出されてからまだ間がない。
そんな状態で未知との遭遇は避けたい所だ。
ならば逃げるか?
どうやらベルには索敵能力があるらしい。
おそらくここまでにも何もいないことを確認しながら来たのだろう。
ならば敵から逃げ続けることも可能。
…………。
クールになれ。
この先逃げ続けていても、この世界では生き残れない。
説明が確かならこの世界は迷宮そのものみたいなもの。
冒険しなければこの世界では生きていけない。
かと言って、素人が無茶したところであっさりと死ぬ可能性の方が高いな。
これはまず情報収集だ。
索敵能力のあるベルと協力してモンスターのことを知り、退路を確保しつつその場で判断するのがベストのはずだ。




