第23話〜【混沌】と【探求】を司る者
…………。
『管理者様は、もともとは【混沌】と【探求】を司る管理者だったんです…』
あの方は、より面白いことが好きなのではありません。
より¨面白そうなこと¨が好きなのです、と。
ベルは遠い目をして言った。
結果の決まりきったことなど、認めるはずがなかった。
だからこそ『冒険こそ日常!日常こそ冒険!』の世界をより複雑怪奇に面白おかしく創り上げることができたわけだ。
そして本来ならば多くても10個の異世界の無垢な魂を試験運用するところ、様々な異世界の¨特に染まりきった¨魂を800個用意させた。
さらには擬似的に創り上げられた迷宮世界にランダムに振り分けられ、合格した100名には特典ボーナスを授けるシステムを構築。
そして全員がチュートリアルを終えた段階で、異世界に前世の記憶を失っただけの状態で放り出されたというわけらしい。
…………。
「無駄あり過ぎじゃない?」
『はい…。』
記憶はないがそれくらいは分かる。
『正直なぜそんなシステムが必要なのか…。そもそも一度に800個も用意する必要はないです。わざわざ別々の異世界から選んで集める必要だって。ここがただの運用試験専用の世界ならば分からなくもないのです。でもなぜわざわざ肝いりの新世界でそれを行うのかは謎です』
ベルの口から愚痴が止まらない。
そういえば自己紹介で支援妖精と言ってたな。
予想するに会社でいう平社員的な立ち位置か?
管理者の補佐に万物の書のアカーシャが付き、さらにその支援にベル。
つまり社長の無茶な計画と発案を秘書が企画書にまとめあげ、現場はとにかく修羅場。
……自分で考えていてよく分からなくなった。
とりあえず苦労しているらしいベルに何か声をかけて現実に戻ってもらおう。
…………。
1、それはロマンだね。
2、それは浪漫だよ。
3、それが男のロマンさ。
4、元気出して。
5、現実見ろって。
…………。
「…………。」
元気出して?
心の中で呟くに留めておこう。
ファンタジーの代名詞みたいな妖精が延々と黒い愚痴を吐き出してるのをみるのは堪えるよ。
嗚呼、それにしても物語が進行しないなぁ。




