第14話〜チュートリアルの終わり
これで一応一区切りですかね…。
流血する場面などがあります。
ーーーァァアァア!
ーーーグギャガァ!
とうとう均衡が崩れた。
ダークシャドウとボブゴブリンが距離を詰めてくる。
ボブゴブリンから倒す。
倒すための条件が難しいダークシャドウは後回しだ。
ボブゴブリンがちょうど中間の位置になるようサイドステップで移動する。
ズキンッ!
「っ……!」
痛みは無視しろ!
ーーーグギャギャ!
大振りで殴りつけてくるボブゴブリン。
それをギリギリでかわしてナイフを振るう。
ザシュッ!
ーーーグギャガ⁉︎
首を狙ったが、かわした直後の崩れた姿勢のせいで肩の筋肉を斬りつけることしかできなかった。
これでは致命傷にならない。
驚いたような声を上げているが、怯んだ様子もない。
ブンッ
力任せに払われてきた腕が頭上を通過する。
とっさにしゃがんで避けたが、踏み込む以上の痛みが一瞬頭の中を白く染め上げた。
ーーーギャガア!
バキィ!
衝撃。
ゴロゴロと転がって大部屋の壁にぶつかって止まった。
遅れてようやくボブゴブリンに蹴り飛ばされたことが分かった。
「あ……かはっ⁉︎」
息を吸った瞬間に胸のど真ん中で痛みが避けるように広がった。
胃が、肺が、臓器が痙攣する。
反射的にこみ上げてきたものを吐くとドロリとしたものが混じっていた。
コップの中身を溢した程度の赤い染みが広がる。
自分が喀血したことを頭が理解したのか、全身に寒気と軋むような痛みが伝播した。
「うぶっ⁉︎」
さらなる衝撃。
ボブゴブリンに踏みつけられた。
成人男性相当の体躯が、体重をかけて相手を踏みつける。
衝撃や質量の逃げ道のない床に挟まれている状態でのそれは、致命傷を負った体に対してそれは、あまりにも強烈な一撃だった。
「あ…ぁぃぁ…!」
物理的に肺が潰されて意味のない音が出る。
死にたくない。
激痛に頭が埋め尽くされる中、唯一できた思考がそれだった。
死にたく、ない。
無意識に抗おうとする体、生き延びようとする本能。
無理矢理に引き延ばされた思考が打開策を、逃走経路を探す。
まともに動く眼球が情報を求める。
何かないか?
何でもいい。
離れた位置にナイフが落ちている。
衝撃で手放してしまったのか。
さらに奥に小さな破片。
いまはどうでもいい。
1、何かないか?
2、何かないか?
3、何かないか?
4、…
5…
…
「ぁ……?」
あれは、何だ?
床に転々と転がる欠片とは違う、ナイフのすぐ横に落ちている破片。
何かのパーツ?
見覚えが、ある。
あれは…
『バキィ!』
なぜか脳内で先ほど蹴り飛ばされた時のことが再生された。
何か硬いものが砕けるような音。
骨ではなく、何かプラスチックのようなものが砕ける音…?
「………ぁ」
ナイフのすぐ横に、粉々に壊れた手巻き式のライトの残骸が落ちていた。
再び衝撃。
またボブゴブリンに踏みつけられた。
けれどもう体が反応しても脳が受け入れない。
視線の先、床にばら撒かれた残骸だけしか頭にない。
あれは何だ?
嫌でも理解する。
ライトだ。
ライトだったもの。
あれがないとダークシャドウが倒せない。
戦いが終わらないと大部屋からは出れない。
敵を倒すための唯一の手段は無くなってしまった。
詰んでる。
もう、選択肢が、ない?
ーーーァァアァア!
視界を遮るように、ダークシャドウがゆっくりと迫ってきた。
もう諦めてしまったことを理解しているのか、引き延ばされた視界の中でも分かるほどにゆっくりと、鋭い爪がせまって…
いやだ!
死にたく…
…………。
~GAME OVER~
→・CONTINUE?
…………
残機がありません。
~GAME OVER~
チュートリアルを終了します。
ゲームは終わり、です…。




