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ぼっち、異世界へ行く。  作者: 藍 うらら
第2章 彼ら彼女らの戦いが始まる
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第三十四話 サプライズ

 何とか難を逃れた俺は、その足で元居たシルバの部屋、つまり参謀長室へと向かった。

 そして、待っていたのは労いの言葉でも心配する言葉でもなく……。


「あれっ? アンタいつの間にいなくなってたの?」


 というスズカによる160キロ以上のド直球ストレートであった。もう、やめてください。俺のライフはゼロよ!


 それはさておき、その後、いつどこでゴードンなどの関係者に対する読んで字の如く公開処刑が行われるかが話し合われた。

 そして、その舞台は明日行われる定例会議に決定した。

 定例会議とは、週二回定期的に行われるギルド幹部が一堂に会する会議だという。そこでは、ギルド運営に関する様々な決定が行われる――のだそうだ。

 というのも、俺がこういった内部事情を知る由もなく、認知したのはつい先ほど。俺は何も分からないのだ。



 明くる日。その定例会議は、ギルド本部のとある一室、もっと言えば、俺が初めてゴードンを知るきっかけとなった、かの緊急会議と同じ部屋で行われた。

 相も変わらず、天井部にはシャンデリア、広大な部屋のど真ん中に出席者全員が囲める大きなテーブルとギルド幹部が一堂に会するに見合った素晴らしいまでに設備の整った一室だ。

 これから、この豪華な設備の整った一室を舞台にゴードン他複数名に対する公開処刑が行われる。無論、情報はどこから流出するかどうか分からないので俺たち以外の全出席者はこのことを知らない。

 まさに、サプライズと言ってよいだろう。

 本来、サプライズと言えば誕生日パーティだのなんだの楽しそうな出来事が行われるように聞こえるわけだが、今回のサプライズはゴードンたちにとって勿論良いことではない。

 俺も誕生日パーティだのといった良いサプライズなどを経験したことは皆無なので、一切同情しないがな。糞くらえってんだ。

 そんな実にくだらないことを考えているうちにつつがなく会議は開始された。

 そして、予定通りの議題を全て終え、会議がお開きなろうかという時だった。


「私から緊急の議題がございます!」


 透き通った凛々しい声が会場内に木霊する。普段とは、一人称が異なっているが、誰あろうスズカである。

 突然の一声に会場がやや騒めく。その騒めきの中でも、ひときわ目立っていたのがゴードンだ。

 ゴードンは少々驚いた表情を浮かべながらも、瞬時ににやりとした意味ありげな顔へと変化させ口を開いた。


「おやぁ? もしかして、先の『GF』との関係悪化に関してついに責任をお取りになる覚悟をおかためになったのですか?」


 ゴードンの口調は相手を挑発するようなものだった。実に嫌らしいやり方だことで。

 ちょっと、イラっとするぜ。


「いえ、そうではありません」


 そんなゴードンの挑発にスズカは毅然とした対応でたしなめる。

 すると、ゴードンはすかさず「では、シルバ参謀長のおっしゃっていた代案とやらが成功されたということですかなぁ? いや、きっとそうでしょうなぁ。でなければ、こんな責任も取らずにのうのうと過ごせていませんよねぇ」とくっくっくと下衆な笑みを浮かべた。


「んで、参謀長さんよ、どうなんです?」


「いえ、それは破談に終わりました」


 向けられた質問に答えたシルバの表情は、平生よりも少々苛立った様子に見えた。


「代替案があるから待ってみれば、それも破談に終わっただって……? さらには、責任の一つも取らない。いやはや、もう笑うしかありませんなぁ」


 ゴードンがそう言って高らかに笑うと、それに同調するかの如く数人の幹部が微笑を浮かべる。場の雰囲気は最悪だ。

 だがまあ、そう言っていられるのも今のうちだ。

 即座に、シルバが机上に証拠である『GF』との奴隷売買密約書を取り出した。


「ん? なんですかな、それは? 辞表ですかなぁ」


「いえ、ゴードン財務長。あなたが『GF』とつながっていたという決定的な証拠ですよ」


 愉快気なゴードンだったが、シルバが放った一言でその表情は一変した。


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