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ぼっち、異世界へ行く。  作者: 藍 うらら
第1章 彼と彼女たちの歯車は動き出す
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第一話 さっそく問題発生

 俺が異世界に来てしまったという、アニメ的ラノベ的ファンタジーのような奇妙なる事実に遭遇してから一体どのくらいの時が過ぎたのであろうか。

先程まで直線上にあった太陽――この世界でもその名称なのかは不明――が、少し傾いている。


 ふっと何かを思い立ち、立ち上がる。

 そして、目の前の空間を再び手当たり次第に触れる。

 すると、先程と同様にメニューコマンドが表示される。

 まさに、以前どこかのアニメで目にした、俺のいる時代には存在しない次世代ゲームVRMMOの仮想世界のようである。

 さらに、右上にある自身のものと思しきプロフィールを再び覧ずる。

 そこには、技種『剣士』と記されている。

 ということは、つまり、だ。

 ここがゲームのような世界なのであるとすれば、どこかにあるはずだ。

 剣士が身につけるであろう、――(ソード)、が。



 俺は片っ端から体のあちこちを手探りで探す。

 しかし、特にない。ただ俺が先程まで身につけていた服の生地に触れるのみだ。

 そして、メニューコマンドを探しまくり、その中から所持アイテム欄を見つける。

 すると、あった。

 ――剣と思しき名のアイテムが。

 そのアイテムをオブジェクト化してみる。

 その刹那、俺の手元に光の粒が集まり、剣の形をつくりだした。


「うわっ」


 その途端、俺の手にずしりと重みがのしかかる。

 手には、ずしりとした重みとともに、金属らしい冷淡な感触が伝わった。


「これが、本物の剣、か」


 実際に実物の剣を持ったことなどなかっただけに、興味津々に見つめる。

 それにしても、ここまで来ると夢とも思えない。

 ならば、これが現実である。

 うーん、と唸りながらその場で立ちすくみながら思考を巡らせる。

 だが、一向に考えが浮かぶわけもない。


 その刹那、ぐぅぅという雑音が腹部から鳴り響いた。


「……お腹、空いた」


 朝から何も口にしていないのであるからに、お腹が空くのも当然である。

 といっても、食べ物など持っているはずがない。

 先程アイテム欄を全て閲覧した時に、アイテムに食材がないことは確認済みだ。

 ならば、どうすれば良いのであろうか。

 なに? 近くで通行人見つけて、近くにファミレスありますか、って聞きゃいいわけ?

 なにそれ、超難易度高いじゃん。

 第一、俺、見知らぬ人に話しかけるなんてことは絶対にしないいい子だから。

 ほら、小学生の頃に習ったじゃん。見知らぬ人について行ってはいけません、って。



 だが、見るからにこの場所一体は何もない草原地帯のど真ん中であり、俺の求めるファミレスなどありそうになかった。

 なんて不便な土地なんだ。

 今度ファミレスに行った時、お客様の声のところに苦情を書いとかねば。

 そう、これは善良なる消費者の勤めである。断じて、クレーマーじゃないから。



 とまあ、くだらないような思考でぐるぐると脳内をかき回していると、草原の脇からガサリという何かが擦れる音と共に、影がこちらに迫ってきた。

 まさか、ライオンでも襲ってきたの?

 いや、ちょっと来ないで。近づかないで。

 俺、そんなに肥えてないから美味しくないぞ。


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