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【東方】<八雲梗>【九尾伝】  作者: 甘味料
第壱章:避け難き火種
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<第四刻:天真爛漫な幻影>

不知火には決して触れる事は叶わない・・・。

そして、不知火も彼らに触れる事は叶わなかった・・・。


『精神の幻想』の中で対峙する二人。


俺はポケットに手を突っ込んで余裕をかましていた。


一方の不知火は俺の出方を伺うように少し距離を置いていた。


「おいおい、いつになったら攻める気だ?。ここだって今は外と同じように時間が流れてるんだ。こんな何も無いところでお前といつまでも睨めっこなんて御免だぜ?。」


しかし、不知火の耳には入っていない様子だった。


それでも不知火は俺との間合いを徐々に詰めていた。


(・・・来る。)


そう思ったのと同時に不知火が先に仕掛ける。


一気に俺に近づき、至近距離から炎の弾を飛ばす。


俺は不知火が弾を飛ばすタイミングを見切り不知火が弾を飛ばす寸前に横に回避した。


横に回避した俺を追うように不知火も横に飛ぶ。


右拳に炎を灯し俺めがけて振りかざす。


しかし、身長差が50cm以上もあるため、完全に間合いには入れない。


俺の間合いには既に不知火は入っているので俺は左足で不知火の右拳を払う。




両者再び対峙・・・。


「近接戦闘じゃ無理だな、俺のは武術の心得がある。ド素人のお前じゃ俺を間合いに捉えられねえ、勝てる可能性を見出すにはやっぱ、弾幕を織り交ぜないとな。」


「キッ!。」


不知火の目つきが一層鋭くなる。


(可哀そうに、可愛い顔が台無しだ・・・。)


<炎符:紅炎赤文字>


不知火がそう唱えると「赤」の字をなぞった炎の弾幕があらわれ俺に狙いを定めて飛んでくる。


それにしても驚きだ、<ここ>で弾幕が撃てるとは・・・。


精神の想像力がこの空間では弾幕を生み出す。生半可な精神力じゃ、この空間で体の形を形成するのですら難しい。


ましてや弾幕を撃つとは・・・。なかなかの精神力・・・いや、信念か。


弾幕がせまる。


「が・・・薄いな。」


俺は体をひらりと浮かせ弾幕をかわす。自慢じゃないが弾幕の回避には自信がある。


このくらいの密度の弾幕ならなんてことはない。


「ん。」


「はあぁ!。」


不知火は俺が弾幕をかわすのと同時に俺に近づき再び近接戦をしかける。


この状態で相手の攻撃を避けるのは難しい。


不知火が掌を俺に突きつける。俺は先のように足で不知火の攻撃を払う。


空中で払われ体勢の崩れた不知火に今度は俺が仕掛ける。


カウンターを警戒し、右足でリーチの差を生かした蹴りを放つ。


不知火は避けられず、両腕で蹴りを受ける。


不知火は吹き飛ばされず、そのまま俺の足にしがみつくと俺の腕をそうしたように今度は全身を炎で被い俺の足を燃やす。


「くっ。」


「とらえたつもりだったろうが、捉えたのは私のほうだ!。」


振り払おうにも全身でしがみつかれているので払えない。


「くっ、少し手荒い真似をさせてもらおう。」


俺は空中にあった体を回転させながら自分の右足を地面に不知火ごと叩きつける。


その衝撃で不知火は俺の右足からひきはがれる。


右足も腕同様に溶けているが、想像力で右足が再生する。


といっても見た目だけだ精神にはさっきのダメージがしっかり入っている。


右足が溶けるほどの精神ダメージは決して軽くない。


思っていた以上に手ごわい相手ってことか。


それにしてもあいつの体は便利だな。炎じゃ本体にダメージは入らないってことか、そうでなきゃ、自分の全身を燃やすなんて芸当しようとは思わないか。


両者三度対峙・・・。


(どう仕掛ける?。)


俺はまた相手の出方を伺う。


「・・・!。」


(来た。)


不知火は弾幕を放たずに俺に一直線に向かってくる。


(近接か?いや、先のように弾幕で間合いを詰めてくる可能性もある。)


さあ、どう来る?。


不知火は空中に飛んだ。そして構えをとった。


(弾幕か!。)


<炎符:火の雨>


俺の頭上から炎が雨のように降り注ぐ、それも土砂降りの量だ。


しかし、ここから他の技に派生すような技ではない。なら。


<夢符:弐重結界>


俺の周りを覆うように結界が現れる。シャボン玉のような色をした結界が炎の雨を弾く。


不知火はしばらく炎の弾幕を放っていたが結界を破れないと分かると撃つのをやめた。


「随分と淡泊な攻撃をするじゃないか。」


結界を解きながら言う。攻め方が単調すぎる。弾幕からの近接かその逆、二つの攻めしか組み合わせていない。そんな攻めじゃ<八雲>はとらえられない。


「本気になっていない奴が良く言う。」


「あ?。」


「妖気が全く放たれていないじゃないか。」


よく言う・・・。


「そんなに俺に本気になってほしいのか?。」


「子供みたいだからって手加減されるのが気に食わん。」


~妖気~


妖力が実体化したような物。


各自の特徴を象徴してような色の妖気を各々の妖怪がまとう。


相手に気付かれない様に表に出すのを抑える事が可能。


格下への威嚇などにも用いられるが。


単純な質量だけではなく密度なども求められるので妖気で相手の正確な実力を測るのは困難。


ちなみに不知火がまとている妖気は明るい赤色(朱色に近い)



「お前、私に手加減してるだろ。本気で来い。」


「本当にわがままな奴だ・・・。」


右耳の後ろをかく。藍様に指摘された癖だが直りそうにない。


「仕方ねえ・・・そこまでいうなら・・・仰せのとおりに!。」


妖気の解放。混り気のない鮮やかな桔梗色の妖気が俺を包む。


「!。」


「さて・・・今度は俺からいかせてもらうぜ!。」


そう言って一瞬で不知火との間合いを詰める。


「くっ!。」


不知火は両腕で俺の攻撃をガードするが。


「弱いっ!。」


その両腕の上から右腕で突きを放つ。


その衝撃で不知火は後方に勢いよく弾き飛ばされる。


「まだまだ!。」


後方に呼ぶ不知火との間合いをすぐに詰める。


不知火は地に足がつくとそのままふんばり、反撃の構えをとる。


<紅炎符:炎神の槌>


左腕に炎をまとい突きを放つ。


「遅い!。」


攻撃のタイミングを見切り不知火の右側に回り込む。


「そこだ!。」


右足で上段に蹴りを放つ。


不知火も何とか反応し、ガードをとるが・・・。


「!。」


蹴りの軌道が空中で変化し不知火の腰に入る。


「がはっっ!。」


<幻武:雷電>


「どうした!?防戦に一方じゃねえか。」


そのまま不知火の左膝へのローキック。


それも一撃ではない。有無を言わせぬローキックの嵐が不知火の左膝を襲う。


「ッ。」


不知火は右足で地面を蹴り上空に逃げる。が。


「逃がすか!。」


<幻武:龍起>


右手で全体重をささえ、空中に向け足で不知火の腹部に蹴りを放つ。


「!。がはっ。」


不知火の口から血が噴き出す。


蹴りにより吹き飛ばされた不知火の体は宙に弧を描き地面に落ちた。


ヨロヨロと立ちあがり不知火は俺を見た。


そのめには覇気はなく俺に対しておびえているような様子だった。


「どうした?。俺が怖いか・・・?。」


無理もない。決定的な力の差を見せつけられ、ここは精神の空間。


ここを出る方法も分からない状況が年端もいかない少女の脆い精神を揺さぶる。


でも、もうそんな苦痛に耐える必要はない。


これで・・・・。
























「・・・詰みだ。」


不知火の目の前につめより弾幕を放つ。


弾幕が弾けるのと同時に二人を再び光が包む・・・。



敵とは言え、少女の顔面に弾幕ぶつけるとか~。梗くん容赦ねぇ・・・。

精神の幻想で死んだらどうなるのでしょう・・・。



初めてのバトルシーンを書いたわけですが、いかがでしたか?。「こうしたほうがいい。」といった意見のほうを下さるとうれしいです。


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