第三話 パイパイ星人
「はぁ、はぁ、はぁ…」
夜の暗い道路を必死に走っている男がいた。
その男の名前は、[伊藤義徳]。おっぱい学校に通っている3年生。
彼は去年の大会で、武音見多男を倒し見事チャンピオンを獲得。
史上初の2年でチャンピオンとなった男だ。
そしてチャンピオンになった翌日、生徒達は彼をこう呼んだ。
『パイパイ星人』
もちろん史上初の2年チャンピオン、生徒達も混乱していたのだろう。
先生達もまさか予期できなかった一年VS二年という戦いだった。
そして見事勝利。歓迎されるハズだったのに。
「2年で勝ったとかすごくね?別の星のやつじゃね?」
「おっぱい好きだからパイパイ星から来たんじゃね?」
「あいつパイパイ星人じゃねーの~」
「ウケる~!パイパイ星人だから3年に勝ったんだね多分」
彼には『パイパイ星人』の意味が、わからなかった。
彼はおっぱいに対する情熱、気持ち、思い入れ全て武音見多男より優っていた。
だから、パイパイ星人なんて…
まるで、『パイパイ星人』だから勝ったように言うな!
俺は『パイパイ星人』だから勝ったんじゃない![伊藤義徳]だから勝ったんだ!
だから… だから…
次のチャンピオンになって、アイツ達に俺が『パイパイ星人』じゃなくて[伊藤義徳]だってことを…
分からせてやる!!
彼は、本気で体を鍛えていた。
そんな伊藤義徳の苦労など知らず、武音見多男と乙杯隆はいつも通りのおっぱい生活を送っていた。
「ついに3日前となったな。」
「おいおイ、本当にチャンピオンになんかなれるのカ?なんにも鍛えてないのニ。」
「いけるいける!だって大事なのは、愛だとわかってるからさ!」
「そりゃモチロン愛も大事だけどヨ。体鍛えた方がいいと思うゼ。」
「なんでだよ…別にそこまで運動音痴なわけでもねーよ。」
「いやいヤ… 今回の3年はマジヤバなんだっテ!」
乙杯は怖い表情で言う。
「どうやラ… 今回の3年はこの決定戦に向けて相当特訓してるらしいゼ。俺もこの間見たんだけド…」
「お、おう。どんな感じだった?」
「30人以上かナ… 夜だってのに公園でマラソンや筋トレしてたんだヨ。それも相当強いメンバーガ。」
「相当強いメンバーって誰だよ」
「前回お前が勝っタ、[大竹留]とカ[満月実]とかだヨ。」
「ああ、あいつらか… でも、多分勝てるだろ。」
「いヤ、それを毎日やってるんだヨ。チャンピオンになるためにはスタミナも必要、って言わんばかりにネ。ちょっト、やばいんじゃなイ?」
「いいんだよ筋トレなんて…」
「やっているのとやっていないとでハ、全然違うと思うけド?」
「…っち わかったよ。少し走ってみる。だけどな、メガネ…」
「ン?どうかしたカ?」
「………いや、やっぱりこれはいいや。それよりお前も、チャンピオン目指すんだろ?このままじゃ俺に情報伝えただけで終わりになっちまうぞ?」
「いヤ、俺2日前から走ってるかラ」
「ちくしょおおおおおぉぉぉぉお!!!」
だんだん、チャンピオン決定戦は近づいてくる…!