優しいキス番外編=明の苦労話=
「(たく、何が悲しくて野郎と一緒にお化け屋敷に入らなきゃいけないんだか・・)」
明の苦労物語
それは数分前のこと。
明、美月。そして、有馬と千里の4人はダブルデートで遊園地に来ていた。
「なぁ!なぁ!4人であのお化け屋敷入んねぇ??」
この有馬の一言が今回の物語のキッカケである。
有馬の頭の中は千里との ムフフンな状況を想定しての事なのだが、
「嫌よ絶対!」
「入りたければ1人で入りなよ」
千里と明の(特に千里からの)猛反対に遭ってしまい、
そこまで言うのなら・・と諦めかけていると、
「私、お化け屋敷入ってみたい!!」
と美月の言葉により
「美月が言うなら」
と明が承諾した。
しかしそれでも千里は嫌らしく、
グズっていたのだが、「じゃぁ、千里。私と一緒に入ろうよ☆」との声に
断念したのか承諾した。
が、今度は“ソレ”を明と有馬がOKする訳もなかったのだが、
女2人には勝てず、最初の言葉が出てきたのであった。
「ギャーーー!!!!!死ぬぅ〜〜〜!!」
「放せボケ!」
何とかして有馬を自分の身から引きはがした明は歩きながら重いため息を吐いた。
「いい加減にしろよ、有馬。お前が入りたいって言ったんだろ?」
「イヤ〜。ココまで恐いと思わなくてよ。」
そう言いながらも明の背に隠れるようにして歩く有馬にいい加減キレそうな明。
彼は美月以外にはモノすっごい短気になるんです。
単に美月にベタ甘なだけ、とも言いますが。
「そんな姿、猪飼さんが見たら、ただでさえ『腰抜け』とか言われてるのに
なおさら幻滅されるよ?」
イメージアップどころじゃないね。と続ける明に有馬が軽く睨む。
「しゃーねーだろうがよ。
人間、不得意なモノの1つや2つ、あるもんだぜ?」
「お前はその“不得意なモノ”があり「ギャーーーーー!!出たーー〜!!」
『あり過ぎなんだよ』と言おうとしたトコロ、背後から顔の半分がドロドロに
溶けてしまった妖怪が突如襲ってき、
あまりの事に思考回路がパンクした有馬は明を火事場の馬鹿力のごときパワーで
抱きしめ、そのまま出口に向かって走り出した。
「あ、あり、ま!く、苦し・・っ」
「ギャーーーーーーーー!!」
「(あばら骨が何か変な音をたてている気がする・・)」
そして明はあまりの苦しさに記憶が飛んだそうな。。
哀れ明の苦労物語はまだまだ続くのであった。
「ギャーーーー!!」
「・・・おぼえ、てろよ・・」←魂半分飛びかけ。