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The world of rights 【わるらい】  作者: SAKURA
第二章 超越の再演編
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3-12 カナリア先生の模擬戦

学園に入学してから今日で4日目だ。

first grade fightまで3日。


今日は魔術の他にも選択していた武術と運命学の内の武術の講義がある日だった。


そこは魔術の講義を受けるような教室ではなく、武道館と呼ばれる広い室内がある建物だった。


学園の校舎から外れた一階建ての建物の扉を開くと既に数人が到着していたようで、入り口付近に貼られた貼り紙を見ていた。


人が少なくなってきた頃にそれを見るとこんな内容が書かれていた。


武術の講義を受ける生徒へ


この講義では様々な武具や武術を学び、実践できる他、決めたそれらの磨きをかけることができる。


制服を着替える必要があるので男女別々のロッカールームがあるのでそこで着替えて武道場へ来るように。


※ロッカールームに練習着が人別に置かれているので自分の名前を確認するように。


と手書きの乱雑な字で書かれていた。


その内容に従ってひとまずロッカールームに移動し、自分の名前が書かれた無地の服があったのでそれを取って着替えた。


部屋から出て武道場へ行くと、数十人の生徒が誰1人話さずに正座をして待っていた。


全員が正座をしている先には木剣を床に突き立てて威圧感を放っている耳より後の赤髪を後ろに纏めた女性が一人一人に目を通して立っていた。


その空間はお前も座れと言わんばかりの雰囲気を漂わせており、屈強そうな男でさえもそれに逆らうことが出来ずに大人しく正座していた。


俺も空気を読んで正座を始めていた所、俺の隣にも新しく人がきた。


全員バラバラに彼女に向かって正座している中、なぜ俺の隣に?と思い、その人の顔を確かめた。


【ルキナとジルグは一緒に登録した時に聞いていたからこの講義をとってないことはわかってる…。シロか…?】


遂に俺もシロの気配をつかめるようになったかと思いながら目を向けると、髪型こそハーフアップに変わっていたが、いつしか曲がり角でぶつかった金髪の女の人だった。


俺が彼女だと気がついたことを感じ取ったのか、小声で彼女は話しかけてきた。


「あの…。先日、あなたと曲がり角でぶつかった時にネックレスを落としてしまったみたいで、なにか知りませんか?」


憂わしげにそう耳打ちしてきた彼女にラウルは一瞬動揺してしまったが、なにか返さなければと思い、ラウルも同じように小声で耳打ちし返した。


「チェーンが切れていたから直しておいた。制服のポケットに入ってるから後で返すよ。」


「そうだったんだ!ありがと…」


「コラァ!そこの2人!」


俺の言葉を聞いて胸を撫で下ろした彼女の感謝の言葉を遮った赤髪の先生はこちらに木剣を向けて睨んでいた。


「貴様ら…そこの壁に私語厳禁と書かれているのが見えないのか!」


彼女が剣を振った先には入り口と同じような乱雑で大きな字で私語厳禁との貼り紙があったが、彼女の威圧感が凄すぎてそこにまで2人の目は行っていなかった。


「丁度いい。全員集まったようだし早速講義を始めよう!アタシは武術の講義を担当するカナリア・ティレルだ。説明は入り口の貼り紙に貼ってあった通りだ!」

「まず今日の講義では2人1組で軽く手合わせを行なってもらう。この講義では許可された強化系の魔術以外は禁止だ。」

「それでは2人1組を作ったら邪魔にならないところに座れ!」


全員が次々と相手を見つける中、ラウルとカリナはカナリアに手招きされていた。


「お前らはコッチだ。アタシが直々に2人とも相手してやる。」


突然の状況に2人は困惑していたが、カリナは小声で「私が話しかけたから…。ごめん…。」と謝ってきたが、それに返事を返す間もなく、武道場の中央に立った彼女に呼びつけられた。


「まずはアタシとそこの2人からだ!壁にある好きな武器を取れ!」


壁に並べられていたのは紛れもなく本物の剣や槍だった。


「安心しろ!この武道場にはコロッセオと似たような魔法陣がある!切断された胴体がくっつくほどに強力だから心配なぞ無用だ!」


彼女の言葉を聞いたカリナは一直線に剣を取った。


「剣で挑むか…。面白い!先達の力というものを見せてやろう!そっちの方は…お前も剣か!」


俺が取ったのは彼女と同じ剣。普段ならルーブクから最も鍛えられたナイフを選ぶだろう。


ただ…。相手は剣。リーチの長さで不利を取ってしまう。


しかし俺が持っているのは剣だけではない…。懐にはしっかりとナイフを何本か隠してある。


「さぁ!来い!お前たちの力を見せてみろ!」


彼女の合図で早速試合は始まった。


カナリアは剣を横に構えて2人を迎え撃つ姿勢を取った。


しかし完璧な2対1はできない。なぜならこれは即興のタッグ。お互いの力量や戦い方すら把握していない2人にとっては噛み合わせられることができない今は1人ずつ戦った方が自分の実力を遺憾なく発揮することができるのだ。


「こうなったのは私のせいだから。私から行く。」


「いや…別にそんなこと気にしなくても…。」なんて言う間もなくカリナは剣を構えて一気にスタートを切って床を踏み抜きカナリアへと迫った。


鋼の剣と木の剣。普通なら鋼の剣が木の剣を打ち破るものだ。


しかしその剣は違った。カリナが横一閃に振り抜いた剣は木剣の受けになんなく止められてしまった。


「な、!」


「ううん…いい速さだ…。だが、重さが足りねぇな!」


カナリアは驚いて隙を見せて空いていたカリナの腹部を蹴り抜いて彼女を吹き飛ばした。


「ゲェホッ、!」


カリナが咳き込んでいるところにカナリアは追い討ちをかけるべく彼女に詰め寄る


カリナが顔を上げた時、カナリアは既に剣を振る体勢に入っていた。


「まずは1人だ!」


【マズイ…やられる!】

【早く魔力で身体強化して回避、いや間に合わない!】


明らかに遅れてカリナは振り落とされる木剣を防ぐべく剣で斬り上げようとした。


木剣が眼前まで迫った時、木剣は軌道を変えて別方向から飛んできたナイフを弾いた。


ナイフを投げたのはラウルだった。


「ナイフまで取ってたか手癖の悪い奴め…」


「別に1つの武器しか取ってはいけない、なんて言われてなかったので。」


2人はお互いに口角を上げてそう言った。


「身体強化の魔術。使ってもいいですよね?」


「いいだろう。どうせなら本気のお前をボコボコにしたいからな!」


「教育者が使っていい言葉か?あれ。」なんて野次が観戦者の中から聞こえてきたが、あくまで戦闘中。そんなことでカナリアは目線を逸さなかった。


「まだ私の番は終わってない!」


「っと、、」


カリナは激昂しながら剣をカナリアに振ったが、斬撃は空を切り、彼女は軽々と逸れて回避した。


「大体のお前の実力はわかったんだがなぁ…。」

「私ははやくあの小僧とやりたいんだ。悪いがお前にはリタイアしてもらう。」


カナリアは瞬きする間に木剣で彼女の鋼の剣を叩き割った。


「な!」


突然壊れた剣を眺めているたった一瞬が命取りだった、カナリアはすぐさまトドメの一撃を入れようと蹴りを放った。


"身体超越(トランサ・ダ・コール)"


ラウルは目にも止まらぬ速さで彼女の蹴りを同じ蹴りで受け止めた。


「一応今は共闘してるので横槍、入れさせてもらいます!」


「それがお前の身体強化か!お前のオーラからは感じられないほどの力だな!」


身体と脳が発達してラウルーレンスはその力の一部を自らで引き出せるほどになっていた。


しかし身の丈に合わない力はそれ相応の代償を払う、はずだった。


先日の事件の日からそれは訪れていない。しかし今はわかる。代償は来ない。今は。


ただ、時間制限があることを身体は知った。

その時間は3分。それが今の身体で継続して戦える時間だった。


【こうなったら短期決戦だ。】


ラウルとカナリアは拮抗していた蹴り比べからお互い離れ、距離を取ってお互い仕掛けるタイミングを見計らっていた。


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