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The world of rights 【わるらい】  作者: SAKURA
第一章 アネモネ学園入学試験編
22/30

2-10 グレーシス先生の占い面談

ついにラウルたちの順番へとまわり、それぞれ行くべき教室の紙を手渡された


「2人ともどこの教室でした?私は408教室でした!」


「私は物理室ですね。」

「ラウルさんはどこでしたか?」


「ここなんだが…。占命術教室。」

「占命術ってなんだ?」


聞き慣れない単語に、ルキナはともかくジルグなら知ってそうだと、なんとなく思ったので聞いてみた


「私は聞いたことありませんね」


【まぁ。だろうな。】


「そうですね。私も聞いたことはありませんが'占い'という言葉が使われているということは占いの一種なのでは?」

「その教室で面談するのでしたらおそらくそこの管理者の教師や実際にその授業を行う教師が相手だと思うので面談ついでに聞いてみては?」


「そうだな。時間があれば聞いてみるか。」

「立ち話もここら辺にしてそろそろ行くか。」


話をしている間にも他の合格者たちが次々とそれぞれの教室へ向かっているのをみて、待ち時間がその分長くなると思った3人は最後に小さな約束をした。


「それでは!次は入学式で会いましょう!」


「もう合格者気分ですか…。面談とはいえこれは試験ですから油断は禁物ですよ?」


「そうだぞルキナ。面談で粗相してお前だけ、落ちたー!なんてことがないようにな。」


彼女のウキウキな様子とは打って変わっている2人の言葉を受けてルキナは頬を膨らませた


「むー。ここは相槌を打って'入学式で会おう!'っていう場面でしょうが!」

「このムードクラッシャーズが!」

「2人こそ学園内で迷子になって、教室に辿り着けなかった。なんてことがないようにしてくださいよ?」


「そんなことある?」


「いいえ。ないですね。案内の看板だってありますし。」


ジルグの言う通り、廊下のあちこちに〇〇教室はこちらなどと看板が立っていたり貼られていた


「まぁ。そういうことだ。この試験も合格して入学式で会おうぜ!」


「そうですね。ここまで来たのですからちゃんと合格を掴み取って、笑ってまた再会しましょう」


「まったく…。最初からそういえばいいのに。ラウルは私の言葉パクらないでください。」

「それではまた会えることを楽しみにしてますよ!」


ちょっとした言い争いはあったが3人はこの試験を合格して再び会うことを約束してそれぞれの道へと進んで行った


【良いヤツらだったな。】

【あいつらとならこの学園生活楽しくなりそうだ。】


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「えっと。ここか、占命術教室。」


外にはすでに2人ほど並んでおり、教室の外に並び置かれていた椅子に座って待機していた


【単純計算で10分とちょっとってところか。俺も座るか。】


椅子に座って順番を待っていると、今、面談をしていた人が出てきた


教室から出てきた彼の様子は落ち込んだ様子で見るからに明るくはなかった


【落ちたのか?ただの面談で?】


最初はたまたま彼が落ちただけ、きっとあの人が失礼な態度を取ったか、常識的ななにかを間違えた、そういう大きなミスを犯してあんな様子だったのだと思うことにしていた。


しかし、次の人も、そのまた次の人も絶望した顔をしてこの教室から出てきた


そして次はラウルの番だった


【出てきたってことは俺の番か…、一体どうなってるんだ?面談とは言ってもちゃんと不合格になるのか?】

【とりあえず行かないとか。】


ラウルはドアをノックした。扉の向こうから「どうぞ」と声がして「失礼します」と言い扉を開けた


黒いカーテンが閉められ、真っ暗な部屋の中、部屋のあちこちに灯る蝋燭だけが唯一の光源だった


その教室は、教室というよりあやしい研究室に近かった


部屋の壁には本棚がずらりと並び、部屋の中央には小さな机と向かい合うように置かれた2つの椅子があった。


そしてその椅子には深い緑色の長いボサボサの髪で丸いメガネをした白衣を着た若いが痩せ細い男が座っていた


【なんだこの人…。】


「どうぞ。座りなさい。」


「はい。」


促されるまま席に着いて彼と向かい合った


「面談を始めます。私の名前はグレーシス。グレーシス先生で構いません。」


第一印象はとても冷たい。決して感情の籠もっていない。普段からこの調子なのだろうと感じた


「まず名前は?」


彼は書類を確認しながら質問した


「ラウルーレンス・アスランです」


「少しばかり手を出してくれませんか?」


突拍子もなく言われたが、あの3人のことを思い出して、とりあえず右手を出して机の上に置くと彼はこれまでにない勢いでその手を掴んでまじまじと見た後、その手を机の中央に置いた


「動かないように。」


「え?」


この行為の意図が全くわからずその場で何も言わずに待っているとグレーシス先生はそっと机に触れた


「運命よ。かの者の行く道を我に示せ。」


その詠唱と同時に机に描かれていた魔法陣が光りだした


【暗くて気づかなかった、!魔法陣!?】


しかしすぐにその光は途絶え、その部屋は静けさに満ちた


「えっと…。今、なにを?」


「…。」


ラウルの問いにグレーシス先生はなにか考え込む様子でこっちのことなど見ていなかった


ただ光を失った魔法陣をただ見てため息を吐くだけだった


「いいでしょう。合格です。」


「え?」


さっきの人たちの様子からは想像もできなかったこの状況にラウルは戸惑いを隠せなかった


【こんなあっさり!?】

【だって…。まさかこの魔法陣で占いでもしたのか?】


「合格です。と言いました。早く行きなさい。次の人もいるんです。」


「いや、!そうじゃなくて!」


なにをして、なにを知ったのか知りたかったが彼は面倒だといわんばかりに威圧してきた。


「無駄な会話は必要ありません。私はあなたがこの学園に入るに相応しいと判断したまで。それ以上もそれ以下もありません。」

「わかったら。事務所にこの封筒を渡したら帰ってもらって構いません」


【はぁ?なんなんだこの人!だってあの3人は見るからに落ちて、俺だけ…?】


なぜ合格となったのか。それを詳しく教えてくれないグレーシス先生に少しムカッときてしまったが、合格と言われたならば、やっぱ取り消し!なんてことは絶対に嫌だったのでラウルは大人しく封筒を受け取り席を立ち「ありがとうございました。」と挨拶してその部屋を立ち去った


グレーシス、彼1人だけとなった蝋燭の火が揺らめく部屋の中で彼は笑っていた。


「くふふ…。面白いですね。まさか救世主になろうとする者が来たとは…。」

「実に興味深い。先程までの受験生は平凡で退屈で何も成すようなことがない者たちだったと言うのに。」

「大志を抱く者は好きですよ…。」


コンコンコン


彼は扉のノックの音でハッと我に返った


「そういえばまだあと1人待たせていましたね。」

「どうぞ」

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