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第六話
洞窟内は予想以上に危険だった。
通路の天井からはトゲ付きのコウモリがぶら下がり、地面からはスライムが突然湧き出る。中層を超えたあたりからは、斧を振り回すゴブリンの群れまで登場した。
「こいつら、マジで容赦ないな……!」
「カケル、右! くるよ!」
「《ファイアスパーク》!」
咄嗟に放った魔法が、火花のように弾けてゴブリンの動きを封じる。
(少しずつ……スキル、扱えるようになってる)
スキル一覧はバグって空欄のままだが、感覚で“意図”を叩き込むと、魔法が発動するようになってきた。普通の魔法ではない、プログラムコードのような魔力の干渉。
《Input : Fire + Spark → Output : Burst》
もはやこれは、呪文ではなく構築式スキルだ。
「……俺、システムそのものに干渉してるのか?」
そんな異常性に気づきつつも、今は目の前の敵に集中する。