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『バグって転生!? 不審者カケル、世界最強の賢者になる』  作者: MZKDM
【第1章】不審者、異世界に現る
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第四話

そしてその夜――


ガチャン、と軽い音とともに、牢の錠が静かに外された。


「……アスヴェルト様。迎えに来ました」


現れたのは、猫耳と柔らかな尾を揺らす獣人の少女だった。背は小柄で、盗賊のような身軽な服装をしている。


「よし、待っておったぞリーネ」


「急ぎましょう、見張りの巡回が来る前に……え? 誰、その人……?」


「俺はカケル。巻き込まれた……っていうか、召喚されたけど逃げたら捕まってた」


「はぁ? なにそれ。不審者でしょ?」


リーネは明らかに警戒の色を浮かべ、すぐにアスヴェルトに顔を向けた。


「アスヴェルト様、この人、連れてくんですか? 不審者ですって、街でも話題になってたし……」


「見るのは“名”ではなく、“目”じゃよ、リーネ」


その一言に、彼女の目が揺れた。


「この男の目を見てみろ。“欲望”も“敵意”もない。あるのは――己を見失わぬ意志、だ」


リーネはしばらく黙って、俺をじっと見つめていた。

やがて――


「……信用は、まだしない。でも、様子くらいは見てあげてもいいかも」


「それで十分だ。助かる」


「変な動きしたら、すぐ蹴るからね」


「覚悟しとく」


アスヴェルトが笑みを浮かべる。


「さあ、行くぞ。世界の“可能性”を持つ者たちよ――この牢を抜け、外の世界へ」


こうして俺は、“不審者”のまま牢を脱出し、獣人の少女と元宮廷魔術師と共に、冒険の第一歩を踏み出すことになった。

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