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第四十三話
目が覚めたとき、俺は丘の上に座っていた。
リーネとノア、アスヴェルトも同じく、無事だった。
「……成功、した……?」
ノアが端末を開く。
「世界構造、安定してる。観測干渉ゼロ。……カケル、あなた……本当にやったのね」
「無茶だよ……でも、カケルらしいね」
リーネが笑ってくれる。
「……お前という存在は、やはりこの世界の“変数”だった」
アスヴェルトが静かに言う。
そして、俺は空を見上げた。
観測のない空。
でも、どこか遠くに、別の世界の匂いがした。
「もしかしたら、次は……そっちかもな」
物語は、まだ続いている。
誰かが“選択肢のない世界”で迷っているなら――
俺は、いつだって“選ばせる自由”を渡しに行く。
たとえ、それが“またバグる未来”だったとしても。