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『バグって転生!? 不審者カケル、世界最強の賢者になる』  作者: MZKDM
【第7章】世界の再定義と賢者の選択
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第四十二話

世界は、静かだった。


観測者の消失から三日。

空は青く、風は穏やかに吹き、街には少しずつ日常が戻り始めていた。


「……本当に、終わったんだな」


王都の丘の上、俺は独り、空を見上げていた。


すべての始まりは、“不審者”としての転生だった。

ジョブも、ステータスも、スキルも異常だらけの、バグまみれの人生。


けれど俺は――ここにいる。

仲間と出会い、守り、選んできた。


もう“誰かの選択”じゃない。

これは、俺自身が選んだ世界だ。


背後から、足音がした。


「やっぱり、ここにいた」


振り返ると、そこにはリーネとノア、そしてアスヴェルトの姿があった。


「各地の干渉波、消えたわ。もう、外から観測されている痕跡はゼロ。

でも……同時に、ひとつの支柱も消えたの」


「観測者がいなくなったことで、“世界の安定基盤”が揺らいでいる」


アスヴェルトの言葉に、俺は頷いた。


「……だから、選ぶ必要がある。

このまま、構造が崩壊するのを黙って見ているか。

それとも、“世界を書き換えて”安定させるか」


ノアが、俺にデータパネルを渡す。


《System:再定義提案構造式》

《実行条件:RootAccess保持者による同意》

《影響対象:世界構造コード全域》


「このコードを実行すれば、“観測なき世界”を維持できる。

でもその代償として、おそらく――あんたは、“この世界から存在を切り離される”」


「観測者の代行になるってことか……」


俺は、パネルを見つめた。


“自分が消える代わりに、世界を残す”か――

“自分が残る代わりに、世界が崩れる”か――


どちらも、“正しい”とは言えない。


でも俺は、ひとつだけ信じている。


「……なら、第三の選択肢を選ぶさ」


「え?」


俺は笑って言った。


「全部、俺が“バグらせて”書き換える。

自分が残ったまま、世界も守る方法――“バグ”に不可能はないんだろ?」


アスヴェルトが、驚いたように目を見開いた。


「……そんな再定義、コード上では“矛盾”だぞ」


「だからいいんだよ。“不審者”の特権ってやつだ」


パネルに手をかざし、コードを書き換える。


《Execute:Code Rewrite》

《条件追加:自存在を保存しつつ構造定義再構築》

《警告:論理破綻の可能性――無視》


「これが、俺の選択だ――!」


光が、世界を包んだ。


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