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『バグって転生!? 不審者カケル、世界最強の賢者になる』  作者: MZKDM
【第7章】王都を発ち、追放の賢者を訪ねて
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第四十話

「この地点で間違いない。古代の儀式場――“神語の裂け目”だ」


アスヴェルトの言葉に、俺たちは立ち止まった。


そこは黒霧山脈の最奥、山腹を削るように建てられた灰白色の石造神殿。

かつてこの地に存在した“第一時代の神”を祀る祭壇の跡地だという。


風は止まり、空は鈍く澱んでいる。

世界の端がここに集まっているような、言いようのない圧迫感。


「ここなら、外側のレイヤーに接続できる。

観測者の存在を“こちら側”に引き寄せられるはずだ」


アスヴェルトが神殿中央の魔法陣を修復しながら、俺たちに視線を送る。


「だが、やつらも黙ってはいないだろう。接続が進めば、必ず妨害が入る。

この儀式が破られたら、もう二度と観測者に届くことはない」


「つまり、全員で守り切るってことね」


ノアが背中の砲塔を展開する。リーネは弓を握りしめて頷いた。


「私は絶対に、カケルの“選択”を邪魔させない」


「……ありがとう」


俺は、儀式陣の中心へと歩みを進めた。


アスヴェルトが展開した術式は、もはや魔法とは呼べないレベルだった。


膨大な魔素が大気中から抽出され、構文化され、

空間の壁が文字通り“削り取られて”いく。


《観測層への接続儀式:コード・オリジンアクセス》

《発動開始まで残り89秒》


「――来るぞ!!」


外縁部の結界が、瞬時に崩壊した。


現れたのは、王国神殿直属の執行部隊。

そして――その先頭には、懐かしくも凛とした姿があった。


「……王女エリス……!」


「カケル……なぜ、ここにいるの……。

その儀式は、王国法により“神に等しい力への接触”として禁じられている。

これ以上続ければ、あなたを……敵とみなすことになる!」


彼女の瞳は揺れていた。

だがその背後に控える騎士団と聖騎士たちは、容赦のない殺気を放っている。


「だったら……やってみろよ」


俺は静かに言った。


「この世界が誰かに“選ばされている”ってわかってて、黙っていられるかよ。

俺は、選ぶ。誰にも決めさせない、この世界の“これから”を」


「……カケル!」


「来いよ、エリス! 俺たちは、ここを守り切る!」


戦端が、開かれた。

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