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『バグって転生!? 不審者カケル、世界最強の賢者になる』  作者: MZKDM
【第7章】王都を発ち、追放の賢者を訪ねて
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第三十九話


「やっぱり来たか――!」


アスヴェルトの叫びと同時に、隠れ家の外壁が爆音と共に吹き飛んだ。


「侵入者――いや、“送り込まれた者”か」


霧の向こうから現れたのは、黒い外套に身を包み、顔を仮面で覆った者たち。


その動きは常人の域を超え、空間すら歪める異常な干渉をまとっていた。


ノアが即座に端末を展開する。


「コード反応あり……これは、“観測干渉型エージェント”よ!」


「まさか……観測者の手先だってのか?」


「そうとしか思えない! 直接行動を起こしてくるなんて……!」


敵は言葉を発することなく、ただ淡々と、殺意と干渉データを放ってくる。


「来るぞ……!」


俺は叫び、前へ踏み出す。


《Skill Bug:パラメータ指定外上書き》

《スキル“見えざる刃”を自動反転》

《結果:相手の攻撃ログを逆転・自滅誘導》


黒い仮面の一体が、自らの攻撃ログに引きずられるように転倒、爆散する。


「バグで……反転させた……!?」


「ログそのものを“改ざん”する――そんなの、世界法則を無視してるじゃない……!」


「俺にとっては、バグ技こそ“正常”なんだよ!」


一気に間合いを詰める。

カケルの拳が、観測エージェントの中心核を叩き割る。


リーネは山小屋の上から跳躍し、風のように駆け抜ける。


《固有スキル:スカイリンク・ステップ》

《連撃:雷牙三射》


三本の光矢が、残る敵を寸分違わず貫いた。


「はぁっ……これで、全部……!」


霧が静まる。


倒れたエージェントたちは黒い煙となって消え、まるで最初から存在しなかったかのように痕跡を残さなかった。


「……奴らは“この世界の住人”じゃない。

観測者の干渉によって生まれた、外部実行ファントム――“投影体”だ」


アスヴェルトが言い切る。


「つまり……あれは、“試された”ってことか」


「違う。“警告”だ」


カケルは、拳を握ったまま静かに呟いた。


「観測者は、自分たちが見られていることに気づかれたくなかった。

でも……俺たちは、もう目を逸らさない」


ノアが端末を閉じ、真顔で頷いた。


「ここまで来たら、もう戻れないよ。

この世界が“選べる”かどうか――カケル、あんた次第だね」


そして、アスヴェルトがカケルの肩に手を置いた。


「この先、“世界の選択”が待っている。

だが、選ぶ権利がある者は、選んだ責任を背負わなければならない。

――覚悟はあるか?」


「……あるさ。最初から、命がけでここに来たんだ。

“世界が選べない”なら――俺が、その自由を“作る”までだ」


夜の霧が晴れ、空が開けた。


遥か彼方、星空の奥――

確かに、まだ“誰かの視線”を感じていた。

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