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『バグって転生!? 不審者カケル、世界最強の賢者になる』  作者: MZKDM
【第7章】王都を発ち、追放の賢者を訪ねて
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第三十六話

王都ファルガニアは、いつになく静かだった。


魔王軍の侵攻が沈静化し、人々の生活は表面上の平穏を取り戻していたが、

その裏で“再定義”に関する噂が王宮から徐々に漏れ始めていた。


「観測者……この世界を外から見ている何者か、か」


王宮の塔――賢者局の一室で、俺は呟いた。


世界の“再起動”は止めた。

けれど、それを見ていた“存在”がいる。空の向こうから、コードの奥底から――確かに、誰かの視線を感じた。


「カケル、やっぱり行くの?」


背後から聞こえたのは、リーネの声。

彼女は俺の決意を知っていた。それでも、問いかけてくれる優しさが、胸に沁みる。


「ああ。行くよ、アスヴェルトの元へ。

この世界の裏側にあるもの――“観測される世界”の真実を、知るために」


あの男は、かつて宮廷で“反逆者”とされた天才賢者。

そして、リーネの師でもある。


「……あの人、昔はね、笑わない人だった。でも、私が迷ってたとき、世界を嫌いになりそうだったとき――助けてくれた」


リーネは、そっと胸元に下げた古い銀製のバッジを握りしめた。

それは、彼女がアスヴェルトから授かった“意思を継ぐ者”の証だった。


「だから、信じてる。あの人は、きっとこの世界の歪みに気づいていた。

カケルとなら、きっと……答えに辿り着ける」


ノアが扉の向こうから顔を出す。


「準備、できてるわよ。あんたたちのこと、王女エリスには“極秘任務”ってことにしておいた。

何かあったら、わたしが責任持って後始末するから」


「頼りにしてる」


「当たり前でしょ。情報屋の名折れはできないからね」


俺たちは、少しだけ笑った。


だがその笑顔の奥に、それぞれの“覚悟”があった。



目的地は、王都の北、常人立ち入り禁止とされる“黒霧山脈”。


数年前に消息を絶ったアスヴェルトが、そこに潜伏しているという情報を掴んでいた。


「この先は……俺たちが誰で、何者であるかを、もう一度試される場所だ」


俺は拳を握り、歩き出した。


仲間たちと共に――

この世界の“目に見えない支配者”と対峙するために。


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