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『バグって転生!? 不審者カケル、世界最強の賢者になる』  作者: MZKDM
【第6章】古代賢者の記憶と世界の真相
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第二十六話

塔の中央には、静けさだけが残っていた。


冥刃のヴァリウスは、強制転送によってその姿を霧散させた。

戦いは終わった。けれど、俺たちに残されたものはあまりに大きい。


「リーネ!」


俺は駆け寄り、小柄なその体を抱き留める。

微かに呼吸はある。意識も……戻ってきた。


「……ありがとう、カケル……」


リーネは、かすかに微笑んだ。


「凄い力だった。もう……カケルのこと、不審者扱いできなくなっちゃった……」


その言葉に、思わず苦笑がこぼれる。


「いや、今さらかよ。もう“バグ賢者”って名乗ってんだけど?」


「ふふっ……じゃあ、“最強のバグ”って呼ぼうかな」


「それはそれで聞こえが悪いな……」


軽口を交わしながら、俺は傷の浅い部位から治癒魔法をかける。

《Heal.Sub = Mild》――ノアの調合薬と合わせて、急速に回復が進んだ。


ノアが近づき、腕を組んで言う。


「まったく、派手にやってくれたね。塔の外壁にまで干渉が出てたよ。

……でも、あなたにしかできなかった。ありがとう、カケル」


「……いや、俺一人じゃどうにもならなかった。ふたりがいたから、ここまで来られた」


塔の上空が静かに開き、蒼穹の光が差し込んでくる。


この戦いは、ただの防衛戦じゃなかった。

“自分の存在が、この世界でどう定義されるのか”を、俺自身に問い直す戦いだった。


そして今、答えは出た。


――俺は、もう“不審者”じゃない。

世界のルールを越え、“意志で在る者”としてここに立っている。


風が吹いた。

静かで確かな、“変化の兆し”が、その背中を押していいた。

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