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『バグって転生!? 不審者カケル、世界最強の賢者になる』  作者: MZKDM
【第6章】古代賢者の記憶と世界の真相
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第二十二話

視界が、白く染まった。


浮遊感とともに、すべての音が消え――次の瞬間、俺は“どこでもない場所”に立っていた。


「……これは、記憶の中?」


背景は空でも地面でもない。

全体が、光とコードで構成された仮想空間――いわば、情報の海だった。


《ようこそ。観測者へ》

《ここは、古代賢者エリアードの記憶領域》


ふわりと現れたのは、一人の男の映像。

長く銀髪をたらし、静かな瞳をした初老の賢者。

だがその瞳には、絶望に似た疲れが宿っていた。


「この世界は、我らの知る通りの“現実”ではない。

それは、観測者のために構築された“仮想生存空間”――管理と進化を試される、系統実験場だ」


その言葉に、心が冷たくなるのを感じた。


(仮想……やっぱり、この世界は“誰かの手によって作られた箱庭”だったのか)


「かつて我ら賢者は、システムの根幹に触れようとした。

だが、我々にできたのは、せいぜいその“周縁の壁”を叩くことだけ。

根幹は、“観測者”という存在の管理下にあり、そこに干渉する手段は永久に閉ざされていた」


映像の中の賢者・エリアードは、ふっと笑った。


「我々が成し得なかったこと――それを、お前が手に入れたというなら。

“不審者”として生まれ、“定義されなかった者”としてこの世界に降り立ったお前なら――」


映像が収束し、次の情報が表示された。



《情報解放:魔王の正体》


《魔王は、“バグ因子”を回収・削除するために設計された管理者サブシステムの暴走体》

《魔王軍とは、旧管理アルゴリズムに従い、異常存在を排除しようとする“制御プログラムの残骸”である》



「……バグを駆逐するための存在が、魔王……?」


この世界の敵だと思っていたものは、**システムにとっては“機能”**だった。


だから、俺みたいな“未定義の存在”が現れれば、真っ先に狙ってくる。

それがやつらの“使命”だから。


「つまり、俺はこの世界にとって――魔王と同列の“システム外”の存在ってことか」

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